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クーポンは悪魔の行列?
»2011年1月11日
うふふなマーケティングの贈りもの
クーポンは悪魔の行列?
株式会社ことば代表“ことばのデザイナー”。Business Media 誠「うふふマーケティング」を連載中。生活者と商品の真ん中にある“やんごとなきこと”をえぐって、ことばのギフトを贈ります。
当ブログ「うふふなマーケティングの贈りもの」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/uff-recipe/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
暮れから年始にかけてのビジネス話題のひとつは"クーポン"。
ネットクーポン大手の『グルーポン』で購入したお節料理が、広告と違って期待外れだったとか、配送にも落ち度があったとか、せっかくの新年のお節が台無しとがっかりする人がいた。それはザンネンでしたが、消費者庁や農水省までの出番なのかと言えば別問題でしょう。購入者は厳粛に返品手続きをして「あそこで二度と買うもんか」と臍をかむのがスジである。食中毒等の事故が起きなかったのはよかったなと考えたい。
むしろクーポンビジネスがどんな特徴があるのか?新マーケティングツールになるのか?それを考えた方が実りがある。
ネットクーポンは、PRや販促したい売り手と、お試しや安価を望む買い手を、限定割引クーポンという購入権利で結ぶ仕組みである。制限時間中に購入者が設定数まで到達すれば発行、売れた分は折半が基本。そのポイントは「時限による追い込み」「成立/不成立ゲーム」「お得感バランス」にあると思う。
その1:時限による追い込み
これは「締め切りまでに買わなきゃ」と思わせるアオリ。販売とはいかに買いたいと思わせて、ストンと落とすかの勝負。その「ストン」がグルーポンには内包されている。紙のクーポン券は「いつか使おう」と思いつつ忘れがちだが、グルーポンは「いつまで」が明確なのが凄い。
その2:成立/不成立ゲーム
これは「買い手が集まるか集まらないか」をゲーム感覚で楽しめること。集まるか集まらないか読み切れないゲーム要素があるので、売り手は見込み発注がブレがちになる。そこにお節の落とし穴があったと言える。
似たビジネスモデルにネットプライスがある。同社は商品企画/開発をメーカーと共同で行い、最少購買数を決めてギャザリングをする。モノを優先させるのに対して、グルーポンは(今のところ)サービスや飲食品を優先しているように見える。それはモノ買いは飽和が早いが、コト買いは飽和しにくいからである。現にネットプライスは一時の勢いは失せているように見える。
その3:お得感バランス
「いくらならお試しする?」という買い手との駆け引き。割引率がいくらなら動くのかリサーチとして有効である。商品ごとの"買いだね"という割引率を把握することはできる。
ただクーポンとは本来、割引による販売促進なので、費用計上としては普通なら数%、せいぜい10数%が充てられる。さらにクーポンを配布しても使用される率は100%ではない。「あ、忘れた」というのが見込まれている。だがグルーポンは成立すれば、割引分が100%費用になってしまう。
従来のクーポンの広告宣伝効果 費用≦効果
グルーポンによる直接集客効果 費用≧効果
だから「非稼働よりは稼働させた方がマシ」というさおだけ屋型ビジネスモデルなら受け容れやすく、サービス業が増える。それがグルーポンのメニューでエステや美容が多いワケである。半額でも利益を出そうとすれば、ビジネス構造を変えざるをえない。クーポンはそんな売り手への圧力にもなりそうだ。
そこでふと「クーポンって行列と似ているじゃないか」とヒラめいた。「並びたい、並ばせたい」「参加したい・PRしたい」こういう買い手と売り手の思惑と重なるのである。
そこでぼくのメールマガジン『ことばのデザイナーのマーケティングレシピ』Vol.003では「クーポンは悪魔の行列?」を書いて、グルーポンのポジショニング図も入れてみた。『経営の洗たく 第2回 プロリーグの人材戦略』『心の売場づくり講座 第3回 トイレの神様にある原風景』も。最初の1ヶ月は無料です。
ネットクーポン大手の『グルーポン』で購入したお節料理が、広告と違って期待外れだったとか、配送にも落ち度があったとか、せっかくの新年のお節が台無しとがっかりする人がいた。それはザンネンでしたが、消費者庁や農水省までの出番なのかと言えば別問題でしょう。購入者は厳粛に返品手続きをして「あそこで二度と買うもんか」と臍をかむのがスジである。食中毒等の事故が起きなかったのはよかったなと考えたい。
むしろクーポンビジネスがどんな特徴があるのか?新マーケティングツールになるのか?それを考えた方が実りがある。
ネットクーポンは、PRや販促したい売り手と、お試しや安価を望む買い手を、限定割引クーポンという購入権利で結ぶ仕組みである。制限時間中に購入者が設定数まで到達すれば発行、売れた分は折半が基本。そのポイントは「時限による追い込み」「成立/不成立ゲーム」「お得感バランス」にあると思う。
その1:時限による追い込み
これは「締め切りまでに買わなきゃ」と思わせるアオリ。販売とはいかに買いたいと思わせて、ストンと落とすかの勝負。その「ストン」がグルーポンには内包されている。紙のクーポン券は「いつか使おう」と思いつつ忘れがちだが、グルーポンは「いつまで」が明確なのが凄い。
その2:成立/不成立ゲーム
これは「買い手が集まるか集まらないか」をゲーム感覚で楽しめること。集まるか集まらないか読み切れないゲーム要素があるので、売り手は見込み発注がブレがちになる。そこにお節の落とし穴があったと言える。
似たビジネスモデルにネットプライスがある。同社は商品企画/開発をメーカーと共同で行い、最少購買数を決めてギャザリングをする。モノを優先させるのに対して、グルーポンは(今のところ)サービスや飲食品を優先しているように見える。それはモノ買いは飽和が早いが、コト買いは飽和しにくいからである。現にネットプライスは一時の勢いは失せているように見える。
その3:お得感バランス
「いくらならお試しする?」という買い手との駆け引き。割引率がいくらなら動くのかリサーチとして有効である。商品ごとの"買いだね"という割引率を把握することはできる。
ただクーポンとは本来、割引による販売促進なので、費用計上としては普通なら数%、せいぜい10数%が充てられる。さらにクーポンを配布しても使用される率は100%ではない。「あ、忘れた」というのが見込まれている。だがグルーポンは成立すれば、割引分が100%費用になってしまう。
従来のクーポンの広告宣伝効果 費用≦効果
グルーポンによる直接集客効果 費用≧効果
だから「非稼働よりは稼働させた方がマシ」というさおだけ屋型ビジネスモデルなら受け容れやすく、サービス業が増える。それがグルーポンのメニューでエステや美容が多いワケである。半額でも利益を出そうとすれば、ビジネス構造を変えざるをえない。クーポンはそんな売り手への圧力にもなりそうだ。
そこでふと「クーポンって行列と似ているじゃないか」とヒラめいた。「並びたい、並ばせたい」「参加したい・PRしたい」こういう買い手と売り手の思惑と重なるのである。
そこでぼくのメールマガジン『ことばのデザイナーのマーケティングレシピ』Vol.003では「クーポンは悪魔の行列?」を書いて、グルーポンのポジショニング図も入れてみた。『経営の洗たく 第2回 プロリーグの人材戦略』『心の売場づくり講座 第3回 トイレの神様にある原風景』も。最初の1ヶ月は無料です。