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鉛筆の持つ永遠の力

鉛筆の持つ永遠の力

郷 好文

株式会社ことば代表“ことばのデザイナー”。Business Media 誠「うふふマーケティング」を連載中。生活者と商品の真ん中にある“やんごとなきこと”をえぐって、ことばのギフトを贈ります。

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知人の書家 平田美記さんからのメールに「子供の小学校、休校から春休みに突入で~す」とあった。「おや通信簿はPDFでメール渡しですか?」とふざけてしまったが、災害は卒業式も卒園式もぶっとばし、入社式も入学式も地味になりそうだ。

ある文具店の社長は、自分の住む市の中学3年生全員に、2本ずつ鉛筆を毎年渡していたという。鉛筆には「努力は幸せの貯蓄なり」と刻印した。その話を知って「強力な鉛筆削り」と「永久鉛筆」を紹介したくなった。

【電動ドリルの鉛筆削り】
It has been practically years since I've used a pencil, so pencil sharpeners usually don't have a place in my life. However when I stumbled upon the Drill Powered Pencil Sharpener, I was totally intrigued. 引用元 (鉛筆を使わなくなってもう何年になるかな。鉛筆削りだってないさ。だけどこのドリル鉛筆削りを見たらぶっ飛んだよ)

Drill-Powered-Pencil-Sharpener-1.jpgこれはなるほど!シャープナーの部分をドリル(手持ちの汎用品)に装着し、ぐぃ〜んっとガンガン削れるのだ。確かに電動鉛筆削りと同じなんだが、ドリルが使えるのは気づかなかった。

41yi9P3MJ9L._SL500_AA300_.jpg「先生!鉛筆削ってくるのを忘れました!」
「よし。じゃあ工作室へ行ってこい」なんて(笑)

スペックでは15分で144本削れるそうだ。そんなに鉛筆使うかって?クラス全員の削ってあげよう。いや、くだんの社長が配る市の中学生全員の450本だって、45分で削れる米国Amazonで8ドル弱で発売中

【永遠の鉛筆】
The solid metal 'nib' consists of a metal alloy, that leaves a mark on most types of paper. If you use the sort of paper typically used in printers and photocopiers, the pen leaves a mark that looks as if it was made by a pencil. 引用元 (硬質のペン先は合金製で、大抵の紙片にマークを残せる。プリンタとかコピー用紙を使ってこのペンで書けば、まるで鉛筆で書いたような感じで書けます)

beta_pen.jpgもうひとつご紹介はロンドンの鉛筆。商品名は『Beta Pen』、ケータイWatchの記事によれば「4Hとか5Hとか、かなり硬度のある鉛筆で字を書くときの感覚に限りなく近い」そうだ。何しろ「永遠に減らない」のがうたい文句なので、初期投資は高いが(約21ドル)元は取れる。書いているうちに先が丸くなっても、紙ヤスリで尖らせる。こちらで販売中

努力は"生きている限り"永遠にするものなのだ。

【生きていてほしい】
さて、中学生に鉛筆を贈る文具店の社長の話に戻る。まずこの市とは「陸前高田市」という。そう、今回の東北大地震で壊滅的な打撃を受けた岩手県の市だ。2011年3月24日現在、死者804名、不明1,700名。避難所で確認されているのは1万1,516名、合計すると1万4,020名だが、人口は2万数千名なので、被災の実態はまだ不明だ。

その文具店は伊東文具店という。岩手県陸前高田市高田町字馬場前46-2に「あった」。経営者は伊東進さんで、市内の中学生に鉛筆を贈ってきた人だ。ぼくは伊東社長を知っているわけじゃない。偶然、その贈る記事を地方紙で読んだだけだ。

だがどうされているのかと思って調べてみると、伊東さんの消息を訊ねるツィートを見つけた。地震発生後、お客さまを店外に誘導し、店員を帰宅させて、店の戸締まりをしているのは目撃された。その後、ご存じありませんか、という内容だ。

GoogleのPerson Finder/消息情報にその名前を入れると、「この人が亡くなっているという情報を寄せられています」と出ていた。案外生きているのかもしれない。生きていて欲しい。鉛筆の力、書く力、ことばの力の永遠を知る人だろうから。