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『リンジー・ローハン』という復活の映像美

『リンジー・ローハン』という復活の映像美

郷 好文

株式会社ことば代表“ことばのデザイナー”。Business Media 誠「うふふマーケティング」を連載中。生活者と商品の真ん中にある“やんごとなきこと”をえぐって、ことばのギフトを贈ります。

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 監視用アンクレットをはめたリンジー・ローハンは、どう復活するのか?

 保護観察期間中に宝飾店からネックレスを盗んだとして有罪判決を受けた米女優リンジー・ローハン(Lindsay Lohan、24)の自宅監禁が、26日に始まった。ローハン受刑者の足首には監視用のアンクレットが装着されている。引用元

 "お騒がせ"女優といえば、東が沢尻エリカなら、西はリンジー。単なるお騒がせではない。リンジーは桁外れの浪費家。しかも麻薬所持、飲酒運転などで2度に渡り逮捕され、アルコール依存症から抜けだせないリアルな"addiction(依存症)"でもある。そして昨年9月、宝石店でネックレスを万引き容疑で逮捕。このほど公判で窃盗を認めて、監視付きで自宅で服役中である(監禁は35日間=6月末までの予定)。

 その懺悔の開始のタイミングで、圧倒的に美しいビデオが公開された。


 ペインターのRichard Phillips氏が制作したショートフィルム(1分30秒ほど)は『LINDSAY LOHAN』。"今、私はひとりきり..."と言いたげな陰影のある横顔。ゆっくりとこちらを見る。目が離せなくなる。次のシーンではヘアをたくりあげて、哀感のある目でこちらを見つめる。何かを語ろうとする口元にじっと耳を澄ます。語ってごらん。水から上がり、呼吸を整える彼女の肌は水滴まで美しい。何かを心に抱えながら、ピュアになるリンジー。

 これは第54回ヴェニスビエンナーレ(6月1日から5日まで)で開催されるビジュアルアート展「Commercial Break」に出展する映像。服役が始まった時期に、この圧倒的な美を展開するのは、復活を飾らせる策、計算ずくの演出だろうか?そうかもしれない。でも計算だとしても、そこには演出を超えるものがある。孤独、脆さ、儚さ...。リンジーという存在がひとつのアートになった。

 スキャンダルからの復活のプロセスは幾つか策がある。

まず「忘れてもらうこと」。人の噂も七十五日。謝って小さくなって嵐の去るのを待つ。日本の世間には懺悔が似合う。「謝りながらも正当性を主張する」。撤退しつつもジャブを打つ。これはやり方を間違えると放火をさらに浴びる。「謝っても尚追われる」。お隣韓国では非難を浴びて人が死ぬこともある。

 俳優チャーリー・シーンは強いというのか、感じないというのか。ドラッグ、セックス、暴力のトリプル依存症で映画界から愛想を尽かされた。親友の好意でありついたTVコメディ番組も問題発言で降板。もうダメかと思われた矢先、ツィッターを開設すると、24時間で100万人のフォロワーを集める(2ヶ月半で400万人超えた)。道化師と言われても存在感は圧倒的だ。

 ゴルフのタイガー・ウッズはまだ立ち上がれない。陳謝の会見も開き、プレーも自粛した。贖罪の末に復帰すると、神のパワーは消えていた。世界ランク上位から滑り落ちて「普通の選手」になりつつある。だが素でもがく姿には、やはりスターがある。戻ってくる感じがする。

ピクチャ 1.jpg
 "復活のシナリオ"ーそれは台本の良し悪しもあるだろう。でも結局はそのスターの個性次第。人間の弱さに打ちのめされながらも、1/1スケールの実像が輝きを放つなら、苦悩のプロセスさえ輝くものである。