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キャリア形成の秘密 ~あるOLがプロの占い師になるまで~
仕事と生活と私――ITエンジニアの人生
キャリア形成の秘密 ~あるOLがプロの占い師になるまで~
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Serverのすべてのバージョンを経験。趣味は写真(猫とライブ)。
当ブログ「仕事と生活と私――ITエンジニアの人生」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/yokoyamat/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
私の友人に、松原由布子さんというプロの占い師がいる。知り合った頃は派遣社員勤務と兼業だったのだが、現在はほぼ占い専業である。
この間から、占い師になった経緯がブログに連載されていて、これがなかなか面白い。このブログの読者で占い師になりたい人はそれほど多くないと思うが、何かの目標を持っている人は多いだろう。そこはきっと参考になるはずだ。
●画家になるはずが占い師に
松原由布子さん、もともとは画家になろうと思って東京に出てきたのに、趣味で友人を占っているうちに「占い師になる方法もあるよ」と言われ、有料鑑定を始めたあと挫折、改めて占術を学び、現在に至ったという。
ここで面白いのは「画家になるはずが占い師になった」ということと、「独学で挫折したあと、正式に学んだ」という所である。
自分が思ったキャリアから外れるのはよくある話である。そもそも、キャリアの多くは偶然に作られるという。
たとえば、私がWindows Serverを担当しているのは勤務先の米国本社がマイクロソフトと世界的な契約を結んでしまい、たまたまパソコンに詳しかった私が指名されたからだ。ジャーナリストの江川紹子さんはオウム真理教の取材で有名だが、友人の弁護士が事件に巻き込まれ、成り行きで関わったのが最初だという。路上ライブを中心に活動する歌手の宮崎奈穂子さんは、たまたま合格したオーディションの事務所が、たまたま路上ライブを展開していたのがきっかけだ。宮崎奈穂子さんの著書によると「歌手になりたいとは思っていたものの、路上ライブは考えたこともなかった」そうだが、今では天職と思っているそうだ。2012年には武道館単独コンサートを実現したのに、現在も路上ライブを継続しているくらいだ。
キャリア形成に与える偶然の影響については、クランボルツ氏によって「計画された偶発性理論」としてまとめられており、以前にも「書評『路上から武道館へ』『路上シンガー宮崎奈穂子』」として紹介したので、今回は省略する(タイトルだけを見て読んでない方は改めて読んで欲しい)。
●誰に師事するか
さて、今回、松原由布子さんのブログで面白かったのはもうひとつ、師匠の見つけ方である。
結果だけ見ると実に簡単な話で「自分が読んだ本の著者に連絡した」だけである。
私も、読んで面白かった本の著者には直接連絡するようにしている。昔は出版社に手紙を書くくらいしか方法がなかったので、返事が来るまでずいぶんと時間がかかったものである。今は電子メールもあるし、各種のSNSもあるのでずいぶんと手軽になった。
だが、感想を送るのと、師事を請うのとでは精神的なハードルが全然違う。彼女の場合は、レッスンプログラムに申し込んだだけであるが、ブログを読むとさまざまな葛藤があったことが分かる。それはとてもよく分かるが、実際の行為としてはメールを1通書いただけである。これで人生が変わったのだから、実に重要なメールである(人類にとっては些細なメールだが、1人の女性にとっては偉大なメールである)。
時間も費用も大してかからないのだから、会ってみたいと思う人がいれば、遠慮しながら連絡することをおすすめする。もっとも、単なるファンレターの場合、返事は期待しない方がいい。もし、直接話がしたいという気持ちが通じれば返事があるだろうし、返事がなければ熱意不足か熱意を伝える技術不足である。いずれにしても、もう少し力を付けてから出直す必要がある。
私に問い合わせが来ることはほとんどないが、知らない人からの技術的な質問だけのメールにはほとんど返事をしない。もうちょっと何か、私でなければならない何かが欲しいものである。ただし、中学生や高校生からの質問だったら、どんな内容であっても答えるつもりだ(残念ながら学生からの問い合せはまだない)。
私は学生時代、アマチュア無線をやっていて、無線機の自作もしていた。分からないことは雑誌記事の執筆者に手紙を書いたものである。そして、その都度、丁寧な返事をいただいた。当時は「コールブック」という書籍が出版されおり、アマチュア無線のコールサイン順に住所、氏名、電話(選択可)が掲載されていた。雑誌記事には、署名として必ずコールサインが入っていたので、連絡先は簡単に分かった。
昔は個人情報にうるさくなかったこともあるが、「先行者は初学者をサポートしなければならない」という暗黙の了解があった。今はアマチュア無線から離れているが、とても良い習慣なので、これからも伝えていきたい。また、質問のある人は、遠慮しながら直接聞いてみることをおすすめする。
●学習の4つのステップ
評論家の岡田斗司夫さんは、物事を学ぶには4つのステップがあるという。
- 理解する
- やってみる
- 成果を得る
- 人に教える
である(これについては「技術を習得するための4つのステップ」で書いた)。
松原由布子さんは、本で占術を理解し(ステップ1)、友人に対して披露し(ステップ2)、有料での鑑定を始めた(ステップ3)。そして、現在は占い教室を開催しているそうである(ステップ4)。
まさに、岡田斗司夫さんの主張をそのままなぞっているようだ。
そういえば、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)でも、一番成長するのはトレーニングを受ける新人ではなく、トレーニングをする側の先輩社員だという話もある。いずれ、このあたりの話もしてみたい。
●松原由布子さんのキャリア
松原由布子さんのキャリアについて興味を持った方は、ご本人のブログを読んで欲しい。以下に、今日までの記事のリンクを張っておく。
- 脱OLへの道 その1:占いとの出会いから (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その2:タロットの落とし穴 (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その3:ちょっとロンドンへ脱線 (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その4:そしてOLになる (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その5:自分だけの仕事とは? (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その6:紫微斗数で見てもらう (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その7:封印を破ってくれた友人 (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その8:100名様3000円鑑定開始 (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その9:中島多加仁先生の門を叩く (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その10:紫微斗数レッスン開始 (松原 由布子)
- 脱OLへの道 その11:質問から始まるレッスン (松原 由布子)