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ベンチャー経営、2010年の足跡と3つのテーマ。

ベンチャー経営、2010年の足跡と3つのテーマ。

島田 祐一朗

ディスカバリーズ株式会社 代表取締役社長。マイクロソフトで日本発の法人向けマーケティングプログラムを立ち上げ、現在は南青山でベンチャー企業を経営。慶應義塾湘南藤沢 (SFC)中・高等部同窓会 会長。

当ブログ「島田祐一朗のビジネスブログ「地道にコツコツ一歩ずつ」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/yshimada/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


2010年もあと数時間で過ぎ去ろうとしています。(この期に及んでという気がしないでもないですが)1年を総括したいと思います。弊社は2010年をメンバー3人で年明けし、四半期毎に目玉となるプロジェクトに挑んできました。サービス開発を行いながら受注した案件には社員総動員して対応し、直球でも変化球でも振らない球はないほど試行錯誤してきました。その結果、というわけではありませんが、サービスや表現を何度もチューンナップした会社概要のブローシャーは12月でバージョンが5.0.0となるほどの更新を繰り返しました。

そんな1年はまさに振り返ることなく走り続けてきたのですが、(ベンチャー企業は振り返ってられませんもんね...)総括の機会として、この1年を3つのテーマで振り返ってみたいと思います。

1. 社外取締役
2010年が始まる少し前に、ここではお名前を出せませんが、ある大手外資系のエグゼクティブと1:1をさせていただいた際に、ベンチャー企業では社外取締役を登用すべし、とのアドバイスを頂きました。

ベンチャー企業は当然初めは実績がないため会社の信用がありません。信用がなければ契約を獲得することはできませんし、実績のない企業の話しを聞いてくれる機会も少ないのが実情です。最大の問題は大手企業の場合、サイズの小さいベンチャーの場合は与信が通らないため直接契約ができません。

そこで、社外取締役がエグゼクティブのネットワークで紹介を受けて提案機会を頂くことがあります。あくまでも機会提供までですので、提案内容は努力次第ということになりますが、弊社のような対象顧客の中堅・大手企業というビジネスにおいては非常に大きな存在です。

ちなみに弊社のコーポレートサイトへのアクセス履歴を分析してみると、弊社の社外取締役の名前で検索されてくる方の割合が非常に多いです。自社サービス名で検索される割合を増やさなければ、というのが課題となってます(...汗)

2. サービス・フレームワーク
この1年で大きく前進したのは、提供するサービスが増えたことです。そして、それらが実績を得ることができたことでサービスの展開の仕方がはっきりしたということです。

つまり、非常にキャッチーで手軽に開始できるエントリーサービス、そこから次のサービスへのアップセル、クロスセルのプロモーションによるプロジェクト化、顧客企業内に展開していくための継続プロジェクト化、というステップです。

商品・サービスであれば、どこの企業でも行っている基本的なアプローチですが、弊社でもサービスのラインナップとライフサイクルが定義でき、フレームワークが準備できたことで、提案の幅が広がりました。

それぞれのサービスは創業当時から継続的に開発していたものではありますが、実は多くの場合、お客様からの意見や反応、声によって最終的にカタチになっていったサービスが大半で、実績を積ませていただきながら、新しいサービスのヒントまで頂けるのですから、お客様には感謝してもし尽くせぬ恩を感じます。お客様には、サービスの品質という形で恩返ししたいと思ってます。

3. パートナーシップ
創業以来の活動でもありますが、弊社のビジネスの中核にあるSharePontという企業内コラボレーションのプラットフォームの周辺には様々なパートナーが存在しています。サーバー構築するSIerを始め、開発を請け負う会社、開発したツールをパッケージにして販売する会社、ユーザーのトレーニングを行う会社等々。私たちはSharePointの活用を支援するコンサルティングとサービスを提供するので、得意な領域がそれぞれ異なる会社同士ではビジネスパートナーとなり得るので、様々な企業との関係構築も1つのテーマです。2010年は複数の企業とビジネスの相談や計画を立て、また実際に協業することもありました。

会社の垣根を超えた協業には、これまでにコンサルティングやマーケティングの役割では味わえないビジネス開発の醍醐味を感じるところですが、これが成り立つには非常に時間も労力もかかるため、目に見える成功というケースがまだできていません。ビジネスの目的と利益が異なる会社に属しているので当然まとまりにくいのは言うまでもありませんが、私は何よりも「コンテキストの違い」が最大の障壁になっているように感じます。

そういう点では所属していた会社のメンバーと話すときは、このコンテキストが同じなのもあって非常に話が早く、スムーズに進めることができます。阿吽の呼吸、というほどではありませんが、目指している方向と課題とリズム、社内用語が分かることで、所属先が異なってもコンテキストを共有し続けることができるのだと思います。

他のパートナー企業ともコンテキストを共有できるほど関係構築、ビジネスでのお付き合いを増やしていきたいという点を、2011年への抱負にしたいと思います。


以上の3点はできていて当たり前の環境の中で仕事をしてきた過去と比較して、経営者となって改めて重要と考えているテーマです。これらのテーマは、要するに1は内部環境(社内)、2は外部環境(顧客)、3は外部環境(パートナー)となります。2010年は十分ではないですが、これら環境整備の段階であったと振り返ります。さて重要なのは言うまでも無く2011年、どの展開(スケール)していくかが重要なテーマになってくると考えてます。

4月には創業3年目に突入しますが、ベンチャーと名乗れるのも来年まででしょう。過去に満足することなく、地道にコツコツとではありますが前進し続けて、社員・顧客・パートナーとの信頼を築いていきたいと思います。
あと、このブログでの執筆もですね(笑)

では、また来年もよろしくお願いします。