誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。

ダブル・ループ・マーケティングのすゝめ

ダブル・ループ・マーケティングのすゝめ

島田 祐一朗

ディスカバリーズ株式会社 代表取締役社長。マイクロソフトで日本発の法人向けマーケティングプログラムを立ち上げ、現在は南青山でベンチャー企業を経営。慶應義塾湘南藤沢 (SFC)中・高等部同窓会 会長。

当ブログ「島田祐一朗のビジネスブログ「地道にコツコツ一歩ずつ」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/yshimada/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


ダブルループマーケティングとは何か? 突飛なネーミングでトレンドを誘う新しいマーケティング手法ではありません。新旧様々なマーケティング手法が開発され応用されてますが、どれもアプローチも根本的には「顧客の創造」を目指す点は同質であり、これは企業活動そのものとも云えます。マーケティングが経営戦略に近いといわれる所以かもしれませんが、例えば営業や開発と比べても比較的、企業内で理解されてない機能ではないでしょうか。


ヒューレット・パッカードの創業者デービッド・パッカードは「マーケティングはあまりにも重要なので、マーケティング部門だけに任せてはおけない。...真に優れたマーケティング組織では、誰がマーケティング部門の人間なのか区別がつかないものだ」といっています。


マーケティングに課題を持つ企業で共通して不足しているのは、マーケティング戦略が全社レベルで認識されていないことです。優れたマーケティング企業は、マーケティング以外の部門もマーケティング活動への理解が高く、逆にマーケティング力の乏しい企業は、マーケティング部門が孤立しています。前述の通りマーケティングは経営戦略に近い存在です。それにも関わらず、戦略を認識しているのがマーケティング部門の中だけに留まっているとすれば、マーケティングの失敗といえるでしょう。


多くの経営者が用いるドラッカーの名言、「企業の目的は、顧客を創造し維持することにある。従って企業はたった2つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。それ以外の活動は、全てコストである。」は、組織の外部要因であるマーケティングと組織の内部要因であるイノベーションの両側面を機能されなければいけないことを示していると私は考えます。内部要因が外部要因を支え、外部要因が内部要因を拡大する。いわば車両の両輪のような存在であるはずなのに、これらが別々のベクトルへ舵をとっていては、前に進むものも進みません。

DLM.png


マーケッターは顧客を意識するのと同程度、内部である社内に向けて戦略や計画のメッセージを発信しなければいけません。顧客を生む活動をしている以上、製品やサービスの研究・開発を行い、顧客やパートナーの元に届ける物流、顧客とのダイレクトな接点を持つ営業やサポートといった様々な部門や担当者との連携があって初めてモノを売ることができます。マーケティング部門が単独でできることは限定的であるため、組織内に向けたメッセージの発信は極めて重要なのです。


デジタルマーケティングの領域でビジネスをしている経営者の視点で、日々の気付きや事例などを数回にわけて書いていこうと思います。最後までお付き合いいただければ幸甚です。