高橋真琴さんをご存知でしょうか？少女漫画に出てくる女の子たち・・・瞳の中に星が描かれている・・・そんな女の子たちを見たことがある人はたくさんいるでしょう。あのキラキラ瞳の元祖と言われているのが、高橋真琴さんです。

先週、日比谷図書文化館で行われたセミナーに行ってきました。去年、このイベントのチラシを見たわたしは即申込。

高橋真琴さんの熱烈なファンではなく、宝塚ファンでもないのですが、必ず誰もが一度は見たことがあるこのタッチのイラスト。これは、会いに行くしかない！そう思いました。

夢見る少女たち

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高橋真琴
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本を読み、人を読む

わたしがこういった著名な方に会いに行こうとするモチベーションには理由があります。数年前、あるチャンスがあり、谷川俊太郎さんとお会いすることができました。谷川俊太郎さんもかなりのお年ではあります。しかし、その"人間"から発するオーラ・・・というより覇気がものすごかったのをよく覚えています。お年だから目は子どもとはちがい、うっすらとにごってきている。しかし、その目を突き抜けて真実を見るようなまなざしに、圧倒されました。

ぼやぼやしていると、昭和の著名な方々はどんどん会えなくなってしまいます。

わたしがお会いできずに後悔した中の一人に岡本太郎氏の養女である岡本敏子さんがいらっしゃいます。美術館等を中心にイベントをたくさんされていることも知っていたので、「いつでも会えるや」なんて思っていました。そしたら、ある日訃報が・・・。後悔しました。

高橋真琴さんにお会いできてよかった

セミナーは宝塚についてのセミナーであったので、高橋真琴さんの絵が中心のものではありませんでしたが、セミナーに出ることでたくさんのことをわたしなりに理解しました。高橋真琴さんの描く女の子のキラキラ瞳は、物質的というよりも精神的なものであること、が一番大きく理解したことかもしれません。

まんがとして女の子の絵を描く時、かわいく描いたほうが売れるから、キラキラ瞳を描くのだ。そう思っていました。違うんですね。結果として売れているわけですが、あのキラキラ瞳を描く高橋真琴さんは、描く前から女の子の瞳の中にキラキラを見ている。

ちなみにこの"女の子"とは、幼女という意味ではなく、決してロリコン的な意味があるものではありません。セミナーには質問タイムがあり、参加者から質問があがりました。「なぜ、大人の女性を描かないのか」と。高橋真琴さんはこたえました。「あなたにも・・・ここにいらっしゃる多くの方にあった一瞬を描いているんです」と。少女から娘になるときの、潔癖感や清潔感、凛とした感じ、そういうものを描きたいのだと。

わたしは、黒澤明監督の映画、「姿三四郎」に出てくる娘のことを考えていた。彼女が神社か寺に行き、（たしか）主役の無事を祈ってお参りする、その横顔がとても美しいのだ。それは外見的なものではなく、思慮深く精神性の高い静謐な感じ。

ああ・・・きっとあのような感じなのだろうな。自分なりに高橋真琴さんのイメージを掴んだ時、単なる絵としか見なかったイラストは、メッセージを持って迫ってくるようだった。

本だけでは、絵だけではわからないものがある。

だからこそ、人に会いに行こう。

本を読むように、人を読む。

その醍醐味を思う。

【追記】
リンクを貼った「夢見る少女たち」は、高橋真琴さんの画業60周年記念画集で、永久保存版です。高橋真琴さんのファンでは特になかった、と言いましたが、中を見るとわたしが幼い時に大好きだった「おやゆびひめ」や「にんぎょひめ」等の絵本挿絵を描いていたのが高橋真琴さんだったということがわかりました。結構お世話になってたんですね。。。感慨深い1冊です。。。

【補足】

黒澤明監督の姿三四郎は、黒澤明監督の記念すべきデビュー作です。白黒ですが、大変よい映画です。見たことがない方は、機会があったら是非見てみて下さい！