ルール共有の難しさ
社内の各種ルールは煩雑なもの。人事や管理部門が精一杯作成しても、一般社員の立場からすると、内容を理解し難いというケースは少なくありません。規程やガイドラインをよくわからない、あるいは存在自体を知らないという方も少なくないでしょう。そもそも、文章を読みたくないという方もいるかもしれません。
特に、若い世代は活字離れやビジュアル世代と呼ばれるように、文字によるコミュニケーションや情報共有を苦手とする傾向にあります。彼らと円滑に情報を共有して統制を図るためには、社内資料のビジュアル化・マンガ化が効果的。分かりやすく、直感的な情報共有が不可欠です。
円滑に管理できる仕組みづくり
人事や管理部門の役割のひとつに、社員を管理統制するためのルール作りが挙げられます。組織を円滑に動かすためには、規定や通達、ガイドライン、作業マニュアルなどを明文化することが欠かせません。情報をきちんと開示し、全員へ伝達しようと取り組んでいる担当者も多いと思います。しかし、社員の理解度が低い、規定に書かれている内容でも質問を受ける、自身でも解釈が分かりにくい規程があるといった問題を抱えているかもしれません。
会社が社内ルールを作成する狙いは職場全体の管理統制です。人事や管理側が会社のメッセージを分かりやすく発信すれば、問い合わせやルール違反が減るため、業務の負担が軽減されます。人事や管理の担当者の目的を達成するのは、文章作成ではなく、あくまでも管理統制を行うこと。そのために、文章に残しつつも、社員に展開するものは、従来の文章によるマニュアルから脱却するという方法が考えられるのです。
社員の理解度が高まり自発的に行動できる
大多数の社員が、社内ルール自体を理解したくないと考えているわけではありません。ただし、長文のテキストを読むのは骨が折れる作業です。現場で働く一般社員からすれば、時間がかかってしまう上に理解が難しく、なかなか読もうという気になれません。管理する側からすると、なぜ理解してくれないのかと感じてしまうでしょう。
しかし、社員が納得して共感できるのであれば、社内ルールは有効なものとして機能します。行動規範として活用できるため、自分が取るべき行動を自然と考えられるようになります。管理というよりも自発的に意識や行動を変えるという流れになり、管理という考え方を脱却できるのです。
インサイトマネジメントの事例
人事制度や社内ルールは、資料を作成することがゴールではありません。最終的には現場で働く社員の管理統制を行うことです。そのためには文書作成は有効ではありません。一定の効果を発揮するためには、きちんと情報を理解してもらえるような仕組みを作ることが大切です。従来の文書による情報共有では、どこまで浸透するか分かりません。
インサイトマネジメントは、社内の情報を浸透させる効果があります。ビジュアル世代の社員の理解を促進するのには、ビジュアル化やマンガ化が有効。社員に対して、会社のメッセージをわかりやすく提供し、直感的に理解させる効果をもたらすことができます。このインサイトマネジメントは、すでに多くの会社でも導入いただいています。ここでは、インサイトマネジメントの導入事例と成果をご紹介します。
導入によって起こる効果
インサイトマネジメントの導入事例として、就業規則のマンガ化が挙げられます。たとえば、遅刻を抑止する方法として罰則規程を設けているケースがありますが、就業規則を充分に理解していなければ、少しぐらい遅れてもいいだろうという感情が芽生えてしまうかもしれません。実際に給与から控除された時に問い合わせが来て、説明するよりも、社員があらかじめ理解している方が、よっぽど建設的と言えるでしょう。
ビジュアル化は社員に対して、モチベーションアップやキャリアパスを考えさせるきっかけづくりにも役立ちます。等級定義をピクチャー化することで、自分に求められている能力や考え方を把握できます。また、図表であれば文章よりも理解しやすくなることから、社員の仕事や規則に対する理解度を高めることができます。
ビジュアル化・マンガ化の積極的な活用の意義
社内のルール共有や管理統制の強化にあたり、インサイトマネジメントは大きな効果を発揮します。特に、社員に対して理解の浸透を図りたい項目はビジュアル化やマンガ化をすることで、ビジュアル世代にも情報が浸透するといえるでしょう。今までの資料や文章で成果が出なかったという会社にとっても有意義なものとなるでしょう。
報酬や評価といった人事制度、規程やガイドラインのような社内ルールは、社員のモチベーションや会社の業績にも大きな影響を与えるため、各社それぞれに工夫している部分かと思います。しかし、人事担当や管理部門が密度の濃い情報の文書を作成しても、従来のままでは成果が上がりにくいかもしれません。インサイトマネジメントは人材管理の中でも重要な領域にアプローチできる仕組みと言えます。
組織開発コンサルティング事業部 事業部長 藤本 正雄
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