■組織を活性化させるために
企業とは、社会・従業員などに利益をもたらすことを旨としており、その活動を行っていく中で常に継続・成長を続けなくてはなりません。恒常的に企業を継続・成長させるためには、組織の活性化が不可欠と弊社では考えています。活性化していない組織では、適宜、業務の最適化や効率化が行われず、全てがちぐはぐな方向へと向かってしまう可能性も少なくありません。
そういった事態を防ぐには、組織を活性化させるメソッドを管理職の人間が知識として有しておくことが、トップが打ち出す戦略の遂行に有効であると言えます。
●企業の持っている価値観
企業はそれぞれ独自の価値観に基づいて活動を行っています。これは、その企業の存在意義、活動指針、方向性などを示すものであり、基本的には会社のトップ層から生まれてきます。これを企業の利害関係者と共有することで、さまざまな効果が組織にもたらされます。特に、企業ともっとも深い繋がりを持つ「従業員」との共有は、中長期的な戦略にも影響を及ぼすでしょう。価値観は、従業員の活動における判断軸となるものであるため、この共有によって、組織が能動的にアクションを起こしていける仕組みを作ることができ、結果として組織の活性化に繋がるのです。
●価値観の共有が鍵となる
企業の価値観を従業員と共有していくためには、それを分かりやすく「有形化」し、正しく「周知・伝達」、さらに「仕組みとして定着」させるというスキームをとらなくてはなりません。つまり、普段は無形物である企業の価値観を形あるものにし、それを正しく伝えなければ、仕組みとして浸透していかないということです。
どの過程が欠けたとしても、組織の活性化は難しくなります。一連の流れをエラーなく遂行することが大切なのです。
■組織活性化のためのビジョンを策定する
価値観を共有し組織を活性化させる方法として、「有形化」、「周知・伝達」、「システムとしての定着」が一連の流れになることは上記の通り。この過程を実際に動かしていくために、管理職が担う役割は少なくありません。会社が有する価値観に対して、正しい知識を持ち、従業員を導く管理職が企業には必要なのです。
●価値観の有形化
通常、従業員は企業のトップ層の価値観や思考に触れる機会はそう多くありません。また更に、それらは有形化されておらず、目に見えるものになっていない場合も少なくありません。これが見えない状態で事業活動を続けていくのは、極めて非効率なことと言えるのではないでしょうか。価値観を有形化し、従業員の判断軸を設けてあげることで、自分の行動が会社の利益にどう繋がっていくのか、自分が組織の一員として求められることはどのようなことなのかを考える機会ができます。また、価値観を有形化することで、時間や場所の制限を超えて、多くの人へそれを伝えやすくなるというメリットもあります。
価値観は企業によって異なるものであり、その企業の過去・現在・未来を考えた上で構築する必要があります。先代の経営者のコンセプトを引き継いだ上で価値観を構築するのか、それとも全く新たな価値観を作り上げるのか、会社設立時からの企業理念をベースに考えつつ、価値観を固めていくことは、会社の大きな方向性を定義することにもなります。
●周知・伝達
有形化した価値観を周知する際は、その情報を正確に、分かりやすく伝える必要があります。従業員が上手くそれを受け取ることができなければ、それがマイナス方向に作用してしまうこともあるのです。それを防ぐためにも、価値観を従業員へ周知・伝達するときはその意図も合わせて伝えなくてはならないでしょう。
この伝達方法は、対象の利害関係者との距離によっても変わります。社内の従業員ならば勉強会や会議、社内ネットワークなど、ワークスタイルに合わせた方法を選択するのが望ましいです。従業員に適切に周知・伝達することは、その後社外に対して企業の価値観を広めていくための第一歩にもなります。コンセプトを定めた上で一貫性を持たせ、しっかりと定着するように道筋を立てながら施策進めることが極めて重要です。
●システムとして定着
有形化し、従業員に周知・伝達した価値観を仕組みとして定着させるためには、できる限りその価値観との接点を設けることが一番の近道です。ここで従業員に価値観との接点がないまま時が過ぎてしまうと、施策自体が風化してしまい、全く意味を成さなくなります。こうなると、再びその価値観を押し上げていくことすら難しくなってしまうため、スピーディかつ的確に実行に移すことが求められます。その際自らの行動が、企業の価値観に適合できているのかどうかを従業員自身が評価できるようにすると、より定着の精度も高くなります。一度、基本的な考えとして定着してしまえば、その後は継続して機能していき、組織の活性化、ひいては企業の成長へと繋がっていくでしょう。