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【フリーランス考2】 毎日、笑っていいともを見ているの?
アラキングのビジネス書
【フリーランス考2】 毎日、笑っていいともを見ているの?
ビジネスコンサルタント&執筆業。荒木News Consulting代表。業界をまたいで中小企業経営者のサポートを行う「究極のフリーランス」。2012年より、ビジネス書の執筆ならびに雑誌の連載をスタート。
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フリーランス。英語ではfreelanceと表記する。文字通り、様々な面において自由なのがフリーランスという職業。毎朝通勤電車に揺られる苦労はなく、お金は働いた分だけもらえるうえ、自分の好きな仕事に特化できる。「それはバラ色の職業ではないか!」などとサラリーマンは羨むかもしれないが、【すべてが自由であるとは、すべてが自由ではない】とも言える世界。
今回は自由なフリーランスの、自由な時間について・・・。
「笑っていいとも」を見られる生活?
スケジュールは自己管理が基本である。1日、1週間、1カ月、1年・・・、様々な時間の単位を超越しているのがフリーランスという商売。いつ、どこで働くかは本人次第、やろうと思えば"365連休"も可能である。しかし、働かないと食べていけないのが現実、時間が自由になるとはいえ、仕事を入れていかねばならない。
スケジュールの組み方には2つの要素が作用する。ひとつは<自分の生活>という観点。朝早くから仕事をしたくない人は、朝に仕事を入れなければいい。お昼頃目覚めて、のんびり笑っていいともを見ながら食事をとり、それから仕事をスタートさせても構わない。上司も部下もいないのだから、仕事に支障がない限り、自由。
もうひとつは<クライアントの意向>という立場。早朝から打ち合わせだよ~と言われれば、当然頑張って早起きして出向かねばならないし、いよいよ納期が迫ってくれば徹夜もこなす。誰もケツを叩いてくれないので、自分でムチ打つしかない。
自分とクライアント、双方のバランスを勘案しながらスケジュールを組むのが普通。そして、フリーランスである以上はクライアントを最優先するのが当たり前。ギャランティーを払ってくれる人なのだから・・・。時間は自由なようでいて、実はそうでもない。
労働基準法など関係ない
引き受けた仕事は完璧にこなすのがフリーランスの大前提である。いい加減なことをすれば信用を失い、仕事は回ってこなくなる。サラリーマンならミスしても怒られたり上司がカバーしてくれたり、何とかなるものだ。しかしフリーランスは責任をおっかぶせる人間がいない。成功がすべて自分の手柄なら、失敗もすべて自分に帰する。
ということで"仕事のプライオリティーはクオリティー"となる。決してヘタを打てない・・・、少なくとも私はそう考えている。クオリティーを保つために自由な時間を最大限に活用した結果、2か月休みなく働いていたなんてこともあった。「時間のバランス」と「仕事のバランス」、この2つをうまく組み合わせることが、フリーランスに必要なひとつの才能と言える。
ちなみに完全な成果主義なので、どれだけ働いたかはギャラに関係ない。2か月かかろうが1週間で済ませようが、値段は一緒。そもそも残業という概念はない。
海外旅行は一番安い時期に
フリーランスの人に共通するであろうと思われるのが【世間との時間のズレ】を利用する"小さな喜び"である。これは特権と言っても過言でない。
行列ができる有名ラーメン店も、平日の中途半端な時間帯にひょっこりと行くことができるし、ショッピングも空いている平日の昼間に済ませることができる。こういった話をすると、サラリーマンは羨ましいなあ、と言う。しかし特権は良いことばかりでもない!
私は以前「ファッション定点観測」の仕事をしており、どのような商品がどのような層にウケているのか? といった消費者の購買行動を探っていた。クライアントに提出するレポートのため、有力な商業施設に頻繁に通っていた。そのひとつに、新宿にある「伊勢丹メンズ館」があった。
"大人のオトコのためのファッション"を標榜してリニューアルオープンし、各方面のメディアからも新しいタイプの百貨店として注目を集め、"ちょい悪オヤジ"が社会現象化した時である。仕事のためにオープン時からずっと観察に通っていたのだが・・・さすが良い商品が揃っている。ついついいろんなモノを買ってしまう羽目に。ジャケット、帽子、靴・・・行くたびに何かを購入してしまった。
挙句の果て、今日はもう仕事は終わりだ! 平日の昼ならパチンコの新台が打てるぞと、メンズ館近くのパチンコ屋に向かっては、また金をスル始末・・・。何度この愚かな行動を繰り返したことか・・・。平日の昼間は魔物がいっぱいなのだ。
唯一フリーランスの自由な時間を効果的に使っているのが海外旅行である。年末やGWなどのハイシーズンを避け、毎年、最も安い時期を狙って行くことができる。ハイシーズンとそうでない時期の価格差は非常に大きく、これは"大きな喜び"である。
あの人、きっと無職よ・・・と、囁かれる
昼間ウロウロしている。スーツを着ていない。そんな理由から無職と勘違いされることも多々ある。私は普段は自宅で企画書なりを書いて仕事をしている。気分転換のため、昼間に我が家の犬たちを連れてお散歩に出ると、マンション内で井戸端会議にいそしむ主婦たちがひそひそと囁き合い、ヘンな目で見られるなんてのはザラ。
私はビジネスコンサルタントのほか、まったく別のビジネスとして、2年ほど前に友人と共同で農業ブランド「MAKUWAURI」を立ち上げた。コンサル業は毎日べったりクライアントに張り付く必要がないため、フリーランスの自由な時間の有効活用として、現在は週の半分は千葉で無農薬の農業をしている。
そんな理由もあって、打ち合わせや面談は夜に設定することが多い。けっこう派手な格好をして夜な夜な出かけるものだから、今度は主婦連中からは"ホスト扱い"である・・・。
友人のライターが職業を問われて「フリーライターです」と名乗ると、年配の人は"あら、聞いちゃマズかったかしら・・・"みたいな表情になることがある。フリーライター。フリーター。確かに似ている。フリーターと完全に勘違いしているのだ。サラリーマンが一般的な日本社会においては、やはりフリーランスにまつわる誤解は多いのだ。
もう戻れない? 普通の生活
仕事は何と問われ、フリーランスと答えたなら、たいていの人は「時間が自由で良いですね」というような意味のことを口にする。フリーランスとしてかれこれ十数年、時間に関して言えば、確かにスケジュールを自由に組めるメリットは魅力的である。
ただし、自分をしっかり律することができなければ、毎日がグダグダになってしまう恐ろしさもある。フリーランスの時間感覚は普通の生活とはまったくかけ離れており、楽をしようと思えばいくらでもできるが、それは自分の首を絞めることになるだけ。
仕事が暇なとき、サラリーマンならちょっと嬉しいだろうが、フリーランスは逆の想いを抱く。「暇ほど恐ろしいものはナイ・・・」。暇恐怖症の人はけっこう多い。
反対に仕事をたくさん受け過ぎれば、クオリティーが下がったりまったく休みがなくなったり、こちらもよろしいことはない。自由とは言えども他律的にスケジュールが決まるコトもままあり、そうなれば3日徹夜して、3日ボーっとするなんてこともある。
そしてフリーランス最大の問題は【オンとオフの境目がない】ことである。自宅をオフィスにして活動している人が多いので、区別がつきにくい。みんなが遊んでいるときに仕事をしたり、反対に人々が働いている時間帯にお昼寝を楽しんでいたり、24時間365日を効率的にスケジューリングしなければならない。孤独な働き方でもある。
すべてが自由とは、すべてが自己の責任である。そして、すべてが残酷なほどに"結果"となって跳ね返ってくる・・・。それがフリーランス。専門性と高度なスキルを武器に"自由に働ける"が、自由の真の恐ろしさを知らないと、やっていけない職業でもある。
(荒木News Consulting 荒木亨二)
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