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宇多田ヒカルUstライブと食べるラー油鍋

宇多田ヒカルUstライブと食べるラー油鍋

吉岡 綾乃

Business Media 誠で編集長をしています。本ブログ&Twitterでは、Webメディアや紙メディア、ネットビジネス、携帯電話、非接触ICなどについての話題が中心になる予定。


12月8日、19時から宇多田ヒカルさんのライブがUstreamで生中継されるというので、いつもより早く会社を出て、急いで家に帰ってきました。ライブそのものを見たい、というのはもちろんですが、もう一つ別の興味も。今年いっぱいで音楽活動を休止する彼女のライブをフルで放送するとなれば、これまでUstreamで放送された中でも屈指のキラーコンテンツ。どれくらいの人数が見るのか、どんな反応があるのかが知りたかったのです。

今回のライブは当初から非常に大勢の視聴が予想されていたため、メインURLとサブURLが用意されていました。メインURLはPCで、サブURLはスマートフォンやiPadなどで視聴する人向け、という説明。私はPCからのアクセスでしたが、メインURLでは画像も音声も切れるので(おそらく、開始後しばらくしてからのアクセスだったから。多くの人がメインURLから快適に視聴できたようです)、結局サブURLで見ていました。

 

●Ustライブを見ながらつぶやかれていたこと

ライブ中、Twitterのタイムラインをチェックしていましたが、流れる速度が速くてとてもすべては追い切れませんでした。宇多田ヒカルさん本人についてのツイートが多いのはもちろんですが、Ustreamについてのツイートが多いのも面白かった。TLを見ていて多かったのは「音がいい」「iPhoneでも結構見られる、むしろPCよりサクサクかも」など。「Ustreamって初めて見たけど、すごいね」といった、Ustream初体験の人の感想もたくさん見かけました。

もう一つ多かったのが「すごい人数、今○○人」など、人数(同時視聴者数)をカウントするツイートです。テレビでライブ番組を見ても「今何人見てる」と気にすることはまずないので、これはUstreamならではの文化といえるかもしれません。最終的にはメインが約6万2000人、サブが約3万7000人で、約10万人の人たちがUstreamで宇多田ヒカルライブを楽しんでいたようです。 (数字は公式発表ではなく、私の目視確認です)

 

「もしかして、日本のUstream同時視聴者数としては最高記録?」と思ったのですが、ちょっと今の時点では不明。今まででUstreamで最も大勢の視聴者を動員したのは、ソフトバンク孫正義社長とジャーナリストの佐々木俊尚さんが光の道構想について対談したときだと思うので、このときの最大同時視聴者数が分かれば順位が分かるはずです。いずれにせよ、日本のUstreamコンテンツとしては、ベスト3には入るであろう数の視聴者を、予想通り彼女は動員してしまったのでした。

●10万人......すごい数字なんだけど

ライブが終わったあとも、Twitterでは宇多田さん関連のツイートがたくさん流れており、上記の"約10万人"という数字も話題に上っていました。その中で一人、「Ustの凄さを感じつつ、宇多田ファンから敢えて言うと、それでも10万かぁというところに、Ustの伸びしろも感じる |宇多田ヒカルさんのtwitterのフォロー数が約30万、今日は孫さん達もtwitter上で予告している。その上での今回の数字。いろいろ検討する試金石になりそうですね」とつぶやいている方がいました。

 

そう、10万人というのは、Ustとしては化け物だけど、テレビならどうってことない数字なんですよね。例えば同じコンテンツがテレビで放映されて、視聴率30%で1200万人が見ていたとしたら、120分の1でしかない。1%にもなりません。今回のライブはみな無料で見たはずですが、それはペプシ(サントリー)がスポンサーとしてついていたから。Ustの大ヒットと、テレビの大ヒットとでは、視聴者数の桁が違う。スポンサーなしで成り立たない現状でその数字を広告主がどう見るか?広告主というのは、スポンサーした番組の視聴者に、自社の(商品の)情報を届けたいから、認知のためにお金を払うわけです。情報を届ける相手は多い方がいい、と考えるのは自然ですよね。

 

「スポンサー前提で考えず、アーティスト自身のプロモーション手段として(使うのは)ありでは?」と書いている方もいました。こぢんまりとやる分にはいいですが、これほど大がかりな配信だと、プロモーション予算をどう取るかが課題になりそう。無料のイメージが強いUstreamですが、商用利用の場合は利用料をお支払いすることになります。視聴者数が多ければ多いほど通信回線に負担がかかるため、支払う利用料も大きくなります。また、あれだけの規模の番組を配信するには、相当数の配信スタッフが必要。......そう、Ustreamって、大規模にやろうとすると、実は結構お金がかかるのです。

誠&Biz.IDでは積極的に動画コンテンツを増やしており、Ustream番組も何回か放送していますが、こうして仕事で動画に関わるようになって最近改めて思うのは、「テレビってやっぱり凄いな」ということ。何百万、何千万という人たちに対して、これだけ安い単価で情報を伝えられる手段って、いまネットの世界にはないと思います。見ている人一人当たりにかかるコストで比較したら、ネットはとてもテレビに勝てない。テレビCMは高いという印象がありますが、しかし例えば、「詳しい説明とかは不要で、ただ商品名さえ覚えてくれればいい」といったニーズなら十分ペイするはず。テレビくらい効率がいい手段って、なかなかないのです。

「Ustの視聴者数とテレビの視聴者数を比較することに何の意味があるんだ」とおっしゃってる方もいました。私も、限られたチャンネルしかない中から1チャンネルを選んで見るテレビと、星の数ほどある中から選ばれて見られるUstコンテンツでは1人の価値が違う、という思いはあります。でも「テレビで1200万人に伝えるよりも、Ustで10万人に伝えるほうが価値がある理由を述べよ」と言われたら、うぐぐと詰まってしまいそう。

 

●食べるラー油を鍋にしてみた

ところで私、今回の宇多田ヒカルUstライブを見ながら(聴きながら)、「食べるラー油鍋」を作っていました。鰹を昆布の出汁で作った寄せ鍋にラー油で味付けしただけなのですが、これがなかなかおいしかった。完全に思いつきのレシピです。こんなレシピを思いついた理由は、(1)いただきものの食べるラー油(数種類、すべて桃屋以外のもの)がなかなか減らないのが気になっていたから(2)ちょうどそのとき「今年流行ったものってなんだろう?」と考えていたから、という二つ。私の家の近所のスーパーでは、桃屋の食べるラー油がいまだに品切れなのです。これだけ中長期にブームが続いた商品は、なかなかないと思います。

 

今年流行ったもの......振り返ればいろいろありましたが、私の中での筆頭はUstreamと食べるラー油かなあ、なんて思っています(ワールドカップも捨てがたいけど)。図らずも、流行り物(Ust)ライブを見ながら、流行り物(食べるラー油)鍋を食べる、という、珍しい夕食になった夜でした。

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