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よく練られた東京スカイツリーの「中と外」。情報ディスプレイ「東京時空ナビ」が面白い!

よく練られた東京スカイツリーの「中と外」。情報ディスプレイ「東京時空ナビ」が面白い!

高瀬 文人

フリーランスのライター/編集者/書籍プロデューサー。 月刊総合誌や『東京人』などに事件からまちの話題、マニアックなテーマまで記事を発表。生命保険会社PR誌の企画制作や単行本の編集も行う。著書に鉄道と地方の再生に生きる鉄道マンの半生を描いたヒューマンドキュメント『鉄道技術者 白井昭』(平凡社、第38回交通図書賞奨励賞)、ボランティアで行っているアドバイスの経験から生まれた『1点差で勝ち抜く就活術』(坂田二郎との共著、平凡社新書)、『ひと目でわかる六法入門』(三省堂編修所、三省堂)の企画・制作。

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東京スカイツリー開業まで、あと21日(5月1日現在)。
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第一展望台にあたる「天望デッキ」の内装は、シンプルなブラック基調で仕上げられている。 
それが逆に、天望デッキの中をも貫いている鋼管製の白い鉄骨を浮かび上がらせる効果を生んでいる。
直径2.3メートルに及ぶ、一番太い鉄骨は、1階の団体エントランスや4階の一般客用エントランスで見ることができるが、天望デッキではウインドウ越しでなく直接、スカイツリーを支えている部材を目の当たりにできる。
ちなみに、鉄骨がどのように設計され、組み上げられたかについては、『東京人』5月号に書いたので、どうぞ。明日、2日に、来月号の6月号と切り替わりますが、大きな書店さんは引き続き置いて下さると思います。

床をガラス張りにして真下を眺められる部分があるなど、天望デッキにはさまざまな工夫が凝らされているが、
中でも「東京時空ナビ」が面白い。
タッチパネルを装備した52型モニターを3台つなぎ、あらかじめ撮影された窓の外の景色を映している。
手を触れると、ランドマークや建物の名前が表示され、窓外の景色と対照させることができる。
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拡大したり夜景に切り替えることも可能な、インタラクション性に富む設計になっていて、ただ景色を眺めるだけでなく、「あれは何だろう?」という好奇心をうまく刺激して、眺望を能動的に楽しめる仕掛けになっているのが秀逸だ。
公共の場での、ディスプレイとタッチパネルを使ったインフォメーション提供はたいていうまくいかないが、この「東京時空ナビ」はよくできている。最近急速に普及しているデジタルサイネージの行き方にも影響を与える可能性がある。

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さて、天望デッキフロアからさらに天望シャトルに乗ると、第二展望台「天望回廊」に達する。
天望シャトルの天井はガラス張りになっていて、やはり白い鉄骨がトラス構造に組まれたエレベーターシャフトを突き抜けて昇っていく様子が楽しめる。ちなみに写真の下がタワー中心側であり、壁を隔てて、制震構造を構成する直径8メートル、高さ375メートルの巨大なコンクリート製円筒「心柱」がある。

エレベーターのドアが開くと、天望デッキのシックさとはまったく逆の、光にあふれた空間に包まれる。
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天望回廊はその名の通り、らせん状の通路が思い切り外に向かって張り出していて、本当に空中を歩いているかのような構造だ。天望デッキでもそう感じたが、ほとんど飛行機かヘリコプターに乗っているような感覚だ。ぐるりと一周すると、最高到達点451.2メートルに達する。
そこから少し下ると、天望デッキに降りるエレベーターホールとなる。なんだか名残惜しい。

東京スカイツリーのチケットは、個人(大人)の当日券が天望デッキ2000円、日時指定の事前購入券が2500円で、天望回廊は当日1000円となる。上る前は少し高いかと思っていたが、実際に体験してみると、充分その価値はある。おすすめである。

スカイツリーの内装デザインは、エントランス、エレベーター、それぞれの展望台、そして「東京時空ナビ」のようなインフォメーション機器を含めて「中と外」をうまく使い分けた秀逸なものだ。
ぜひ一度訪れて、実際に感じていただくようおすすめしたい。
もう1回を充てて、さらにスカイツリーの「世界像」について考えてみたいと思う。