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「生き残るための」文章の書き方(8)起承転結は、構成の王道
高瀬文人の「精密な空論」
「生き残るための」文章の書き方(8)起承転結は、構成の王道
フリーランスのライター/編集者/書籍プロデューサー。 月刊総合誌や『東京人』などに事件からまちの話題、マニアックなテーマまで記事を発表。生命保険会社PR誌の企画制作や単行本の編集も行う。著書に鉄道と地方の再生に生きる鉄道マンの半生を描いたヒューマンドキュメント『鉄道技術者 白井昭』(平凡社、第38回交通図書賞奨励賞)、ボランティアで行っているアドバイスの経験から生まれた『1点差で勝ち抜く就活術』(坂田二郎との共著、平凡社新書)、『ひと目でわかる六法入門』(三省堂編修所、三省堂)の企画・制作。
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文章の構成は「起承転結」で書くといい。
小学校の頃から、何度となく聞かされたフレーズだと思う。もともとは漢詩の絶句の作り方としていわれた言葉であり、日本人の発明ではない。しかし、世界中の物語がそのパターンに乗っている。
陳腐にも聞こえる言い古された言葉だが、やはりそこには真実があるのだ。
マンガで考えてみよう。
起承転結は、4コママンガの「黄金パターン」である。
ひとこまマンガは、あるシチュエーションを示してそこにキャプションや科白を入れて批評性を出すものだが、基本的にその場面で完結しており、絵や写真に近い。2コマ、3コマになって初めてストーリーの展開や動きが出てくるが、それが「物語」になるのはやはり4コマ必要なのだ。
このような定型的なストーリー運びに異を唱えるような小説や映画は昔からあった。小説では筒井康隆の名前がすぐ思い浮かぶし、映画やテレビのスラップスティックコメディー(私が思いつくのはモンティ・パイソンだけれど、古いかな)に代表されるように、起・承・転・転・転......と、最初の設定がどんどん話が展開していって、もともとの話が何だかわからないような作品群がある。しかしこれらも、起承転結的なストーリー運びへのアンチテーゼとして作られており、逆にいえば、アンチであるということ自体が起承転結の世界を踏まえ、そこから抜け出そうとすることで笑いを誘うという構造になっているのである。
起承転結は、以下のような展開をもつ。
起......話題を起こす。
承......起こした話題を受ける。
転......趣を転じる。
結......結ぶ。
これを、たとえば製品の企画書に当てはめるとこうなる。
起......こんな新製品を出したい。
承......その新製品のスペックはどんなものか。
転......その製品は、市場にとってどのように新しく、市場やユーザー満足をどう変えるか。
結......製造方法、販路、価格はどうか。
だいたい企画書として必要な事項を説明したことになるだろう。
窓口でお客と対応したことを上司に報告して指示を仰ぐとしよう。
起......こんなお客さんがいらっしゃいました。
承......お客さんが望んでおられるのはこういうことです。
転......私は、このようにお客さんの望みを受け取りました。
結......ついては、このような処理を行いたいのですが、よろしいですか。
起承転結を意識することは、上司や顧客などと「手堅くコミュニケーションをとる」ためにはなかなか便利なのである。