誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
転職をすると短期的にはパフォーマンスは下がる
»2011年4月26日
メディアとWebと人材と
転職をすると短期的にはパフォーマンスは下がる
理系学生向け就職情報誌『理系ナビ』初代編集長。ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務等もお手伝い中。
当ブログ「メディアとWebと人材と」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/careerbase/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
「転職をすると、実は年収が下がることの方が多い」という話を前回させてもらいました。転職をすると下がりがちなのは、年収だけではありません。発揮できるパフォーマンス、仕事で出せるアウトプットなどにもマイナスの影響があると思っています。
しかも年収は下がるとは限りませんが、パフォーマンスなどはほぼ間違いなく下がるものだと私は考えています。
en japanが「転職は慎重に」というキャッチフレーズを使っていますが、「年収アップを狙って転職したい」という人だけではなく、「環境を変えて活躍したい」という人にも一度慎重に考えてもらいたいので、今回の記事を投稿しています。
さて、パフォーマンスが下がる理由にもいろいろありますが、ざっと次のような要因が挙げられるのではないでしょうか。
◆業務領域の変化
◆所属企業の立ち位置の変化
◆企業文化の変化
◆上司・同僚との人間関係の変化
それぞれの要因について簡単に説明していきましょう。
◆業務領域の変化
これは分かりやすい話だと思いますが、転職すると担当する業務が変わってきます。職種自体を変えた場合はもちろんですが、同じ職種で転職したとしても、カバーする領域が変わることが多いのではないでしょうか。
例えば営業職。前職では見込み客を獲得するマーケティング部門が優れていて、用意されたリストにただアプローチすればよかったのに、新しい職場では見込み客のリストを作ることが求められるかもしれません。その場合には電話でアポを取ったり、ダイレクトメールで見込み客を発掘したりといった業務まで必要になることも。電話アポに慣れてない人なら、短時間で相手の興味をどう喚起するか、不慣れなことに苦労するかもしれません。
◆所属企業の立ち位置の変化
業界の中で1位の企業なのか2位の企業なのか、あるいはまったく名前の知られていないベンチャーなのか。所属する企業の立ち位置によって求められる能力は変わってきます。
ここでも営業職を例に考えてみます。
1位の企業であれば、相手担当者と良好な人間関係を築き、これまでの実績を説明し、自社製品への誇り・自信を持って強気の交渉で受注額を増やせるかもしれません。
対して2位の企業になると、1位企業との違いを説明し、1位企業に対して顧客が感じている不満を解決する手段を考え、自社の優位性を認めてもらう必要があるでしょう。
それがまったく名前の知られていないベンチャーになると、トライアルだからと限界まで価格を下げて、とにかく使ってもらうことも重要になります。さらに1位の企業でも2位の企業でも実現できない、まったくの新商品を開発するヒントを顧客との対話から収集し、商品開発までを考えなくては売上を伸ばせないかもしれません。
◆企業文化の変化
その会社がどんなスタイルを是とするか、どんなタイプが評価されるか、という点も発揮できるパフォーマンスに影響を与える要因でしょう。ただ、これはプラスにもマイナスにも働く要因だと思います。
スピード重視でとにかく行動することが求められる企業、失敗が許されない慎重な企業、人とのコミュニケーションやチームワークを重視する企業、成果だけ上げていればとやかく言われない企業などなど。転職先の会社がどんな人物であることを求めてくるかによって、仕事のスタイルも多かれ少なかれ変化を求められます。自分に合うスタイルならパフォーマンスは上がるでしょうが、合わないようならマイナスに働くことでしょう。
◆上司・同僚との人間関係の変化
転職をすると同僚との人間関係もゼロから築き直さなくてはいけません。以前の会社では陰に日向に同僚からのサポートを得られていたのかもしれませんが、新しい会社ではサポートが得られないかもしれません。
転職先の社員にとってあなたは新参者。新しい職場では慎重に人間関係を築いて行かないと、他部署のキーマン、女性社員を束ねるお局様の心証を悪くしようものなら、いくら正論を説こうが、プロジェクトは前に進みません。
人間関係は一朝一夕で築けるものではありませんから、よほど前職で人間関係を悪化させていたのではない限り、転職することは仕事上マイナスに働くことでしょう。
また機会をあらためてまとめたいと思いますが、「もっと裁量が欲しい」「こんな仕事を任せてもらえるようになりたい」といった理由で転職を考えているようなら、転職せずに現職のまま上司と交渉して実現できる可能性も大いにあります。
そもそも、実績を残していない段階で転職しても、相手企業があなたのことを今以上に評価してくれるとは思えません。「もっと活躍したい」というのが転職の理由なら、自分に至らぬ点がないか、現職のままで状況を打開できないか、慎重に考えてから転職活動を始めるべきではないでしょうか。
とまぁ、転職のマイナスの面を中心に取り上げてきましたが、転職は悪いことばかりではありません。逆に転職をすることで得られることについて、次回は記していきたいと思っています。
※ 以下に温めているネタを列記しておきます。週1本くらいのペースで書いていくつもりですが、興味のあるネタがありましたら早めに書きますので、 Twitterアカウント(@YoshiNaka)宛にリクエストを送ってください。レスポンスは遅いと思いますがご容赦ください。
【ネタ帳 兼 備忘録】
・ 自己プロデュース能力とはなんぞや(就職/転職ネタ)
・ 35歳を過ぎたら普通の転職活動をしてはいけない(転職ネタ)
・ 転職のメリット(転職ネタ)
・ 転職する前に考えるべきこと(転職ネタ)
・ 人材業界&採用担当の経験から語る賢い転職術(転職ネタ)
・ 人気業界にあこがれる罠(就職ネタ)
・ 役に立つ資格/経歴を傷つける資格(就職ネタ/転職ネタ)
しかも年収は下がるとは限りませんが、パフォーマンスなどはほぼ間違いなく下がるものだと私は考えています。
en japanが「転職は慎重に」というキャッチフレーズを使っていますが、「年収アップを狙って転職したい」という人だけではなく、「環境を変えて活躍したい」という人にも一度慎重に考えてもらいたいので、今回の記事を投稿しています。
さて、パフォーマンスが下がる理由にもいろいろありますが、ざっと次のような要因が挙げられるのではないでしょうか。
◆業務領域の変化
◆所属企業の立ち位置の変化
◆企業文化の変化
◆上司・同僚との人間関係の変化
それぞれの要因について簡単に説明していきましょう。
◆業務領域の変化
これは分かりやすい話だと思いますが、転職すると担当する業務が変わってきます。職種自体を変えた場合はもちろんですが、同じ職種で転職したとしても、カバーする領域が変わることが多いのではないでしょうか。
例えば営業職。前職では見込み客を獲得するマーケティング部門が優れていて、用意されたリストにただアプローチすればよかったのに、新しい職場では見込み客のリストを作ることが求められるかもしれません。その場合には電話でアポを取ったり、ダイレクトメールで見込み客を発掘したりといった業務まで必要になることも。電話アポに慣れてない人なら、短時間で相手の興味をどう喚起するか、不慣れなことに苦労するかもしれません。
◆所属企業の立ち位置の変化
業界の中で1位の企業なのか2位の企業なのか、あるいはまったく名前の知られていないベンチャーなのか。所属する企業の立ち位置によって求められる能力は変わってきます。
ここでも営業職を例に考えてみます。
1位の企業であれば、相手担当者と良好な人間関係を築き、これまでの実績を説明し、自社製品への誇り・自信を持って強気の交渉で受注額を増やせるかもしれません。
対して2位の企業になると、1位企業との違いを説明し、1位企業に対して顧客が感じている不満を解決する手段を考え、自社の優位性を認めてもらう必要があるでしょう。
それがまったく名前の知られていないベンチャーになると、トライアルだからと限界まで価格を下げて、とにかく使ってもらうことも重要になります。さらに1位の企業でも2位の企業でも実現できない、まったくの新商品を開発するヒントを顧客との対話から収集し、商品開発までを考えなくては売上を伸ばせないかもしれません。
◆企業文化の変化
その会社がどんなスタイルを是とするか、どんなタイプが評価されるか、という点も発揮できるパフォーマンスに影響を与える要因でしょう。ただ、これはプラスにもマイナスにも働く要因だと思います。
スピード重視でとにかく行動することが求められる企業、失敗が許されない慎重な企業、人とのコミュニケーションやチームワークを重視する企業、成果だけ上げていればとやかく言われない企業などなど。転職先の会社がどんな人物であることを求めてくるかによって、仕事のスタイルも多かれ少なかれ変化を求められます。自分に合うスタイルならパフォーマンスは上がるでしょうが、合わないようならマイナスに働くことでしょう。
◆上司・同僚との人間関係の変化
転職をすると同僚との人間関係もゼロから築き直さなくてはいけません。以前の会社では陰に日向に同僚からのサポートを得られていたのかもしれませんが、新しい会社ではサポートが得られないかもしれません。
転職先の社員にとってあなたは新参者。新しい職場では慎重に人間関係を築いて行かないと、他部署のキーマン、女性社員を束ねるお局様の心証を悪くしようものなら、いくら正論を説こうが、プロジェクトは前に進みません。
人間関係は一朝一夕で築けるものではありませんから、よほど前職で人間関係を悪化させていたのではない限り、転職することは仕事上マイナスに働くことでしょう。
また機会をあらためてまとめたいと思いますが、「もっと裁量が欲しい」「こんな仕事を任せてもらえるようになりたい」といった理由で転職を考えているようなら、転職せずに現職のまま上司と交渉して実現できる可能性も大いにあります。
そもそも、実績を残していない段階で転職しても、相手企業があなたのことを今以上に評価してくれるとは思えません。「もっと活躍したい」というのが転職の理由なら、自分に至らぬ点がないか、現職のままで状況を打開できないか、慎重に考えてから転職活動を始めるべきではないでしょうか。
とまぁ、転職のマイナスの面を中心に取り上げてきましたが、転職は悪いことばかりではありません。逆に転職をすることで得られることについて、次回は記していきたいと思っています。
※ 以下に温めているネタを列記しておきます。週1本くらいのペースで書いていくつもりですが、興味のあるネタがありましたら早めに書きますので、 Twitterアカウント(@YoshiNaka)宛にリクエストを送ってください。レスポンスは遅いと思いますがご容赦ください。
【ネタ帳 兼 備忘録】
・ 自己プロデュース能力とはなんぞや(就職/転職ネタ)
・ 35歳を過ぎたら普通の転職活動をしてはいけない(転職ネタ)
・ 転職のメリット(転職ネタ)
・ 転職する前に考えるべきこと(転職ネタ)
・ 人材業界&採用担当の経験から語る賢い転職術(転職ネタ)
・ 人気業界にあこがれる罠(就職ネタ)
・ 役に立つ資格/経歴を傷つける資格(就職ネタ/転職ネタ)