誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
「転職で年収アップ!」はウソ?
»2011年4月13日
メディアとWebと人材と
「転職で年収アップ!」はウソ?
理系学生向け就職情報誌『理系ナビ』初代編集長。ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務等もお手伝い中。
当ブログ「メディアとWebと人材と」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/careerbase/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
年収500万円が700万円に!――。そんな広告を見た記憶はありませんか?
脳天直撃のキャッチコピーに刺激され、ついつい転職を考えてしまった方もいらっしゃるかもしれません。ですがこの手の広告に対しては、ウソでは無いものの疑いの目を向けてください。転職すると年収アップするよりも、実はダウンする確率の方が高いのです。
半年ほど前のデータですが、リクルートエージェントが2010年9月に発表したデータによると、転職前後で年収は「前職よりは下がった」が46.4%。一方、「前職よりは上がった」は38.3%になっています。
「転がる石に苔むさず」とも言います。人材業界に片足を突っ込んでいる私が言うのもアレですが、転職は短期的に見た場合、年収面以外でもマイナスになることが多いのです。さらに短期間に何度も繰り返していると、多くの企業から見向きもしてもらえなくなります。実際、人材紹介会社に候補者集めを依頼する時に「転職回数3回以内」といった具体的な条件を付ける企業もありますし。
こんなネタ振りをしたのは、「今の職場/年収に不満があるから転職する」というネガティブな理由で転職を考えている人が、特に20代~30歳前後で多いように思うからです。心情的には理解できますが、短絡的な転職は決してプラスにはなりません。
転職するとなぜ年収が下がるのでしょうか? もちろん、2010年9月のデータなので、景気の影響も少なからずあるでしょう。ですがここでは別の理由を挙げている記事を紹介しましょう(かなり前になりますが、私が読んで腑に落ち、今でも記憶に残っています)。
ロサンゼルスMBA留学日記:MBA後の転職の難しさ――ダーマ神殿に行ったら"レベル1"になった
ここではタイトルに「MBA後」と入っていて、未経験職種への転職の場合とされています。未経験の仕事なら転"職"でレベル1になるのも肯けますが、同業界・同職種の転"社"であったとしても、転職すると仕事のパフォーマンスが短期的に落ち込むこともあるのです。
パフォーマンスが下がるのに年収が上がる。そんな都合の良い話は普通に考えると無いですよね。
転職するとなぜパフォーマンスが下がるのか、逆に転職することがパフォーマンスアップやキャリアアップにつながるケースはあるのか。そういった話はいずれ場をあらためて掘り下げたいので、ここではいったん筆を止めておきます。
と、ここまでは「短絡的に転職を考えるな」というメッセージを送りたいので、ネガティブな話の展開をしてきました。が、あらためて数字を見てみると、年収アップ:年収ダウン=38.3%:46.4%というわけで、そんなに下がってばっかりでもありません。2000年前半の調査の中には、年収アップの割合の方が高かった年もあったようです。
先ほどのデータを細かく見てみると、年収アップした層は、26~30歳の層の前後のようです。そのデータも多少踏まえつつ、年収アップするのはどんなケースか、いくつか思い浮かぶものを挙げてみます。
◆前職での待遇が明らかに同業界や同職種の水準よりも悪い
◆前職の業績はイマイチだったが、転職先はイケイケ
◆年功序列型のトラディショナルな企業から、パフォーマンス重視の外資・ベンチャーに転職
◆人事評価が適正に行われていない
◆転職者が転職先企業が欲しているナレッジ/コネクション/ブランドを持っている
◆前職は残業手当が付かなかったが転職先では付く
主だったものはこんなところでしょうか。私より詳しい方もいらっしゃると思うので、ご意見ありましたら加筆・修正しますので是非。
次回はそう遠くない日に、転職で得られるもの/失うものを取り上げながら、転職前後のパフォーマンス変化について書いてみようと思っています。
※ 以下に温めているネタを列記しておきます。週1本くらいのペースで書いていくつもりですが、興味のあるネタがありましたら早めに書きますので、 Twitterアカウント(@YoshiNaka)宛にリクエストを送ってください。レスポンスは遅いと思いますがご容赦ください。
【ネタ帳 兼 備忘録】
・ 自己プロデュース能力とはなんぞや(就職/転職ネタ)
・ 35歳を過ぎたら普通の転職活動をしてはいけない(転職ネタ)
・ 転職のメリット/デメリット(転職ネタ)
・ 転職する前に考えるべきこと(転職ネタ)
・ 人材業界&採用担当の経験から語る賢い転職術(転職ネタ)
・ 人気業界にあこがれる罠(就職ネタ)
脳天直撃のキャッチコピーに刺激され、ついつい転職を考えてしまった方もいらっしゃるかもしれません。ですがこの手の広告に対しては、ウソでは無いものの疑いの目を向けてください。転職すると年収アップするよりも、実はダウンする確率の方が高いのです。
半年ほど前のデータですが、リクルートエージェントが2010年9月に発表したデータによると、転職前後で年収は「前職よりは下がった」が46.4%。一方、「前職よりは上がった」は38.3%になっています。
「転がる石に苔むさず」とも言います。人材業界に片足を突っ込んでいる私が言うのもアレですが、転職は短期的に見た場合、年収面以外でもマイナスになることが多いのです。さらに短期間に何度も繰り返していると、多くの企業から見向きもしてもらえなくなります。実際、人材紹介会社に候補者集めを依頼する時に「転職回数3回以内」といった具体的な条件を付ける企業もありますし。
こんなネタ振りをしたのは、「今の職場/年収に不満があるから転職する」というネガティブな理由で転職を考えている人が、特に20代~30歳前後で多いように思うからです。心情的には理解できますが、短絡的な転職は決してプラスにはなりません。
転職するとなぜ年収が下がるのでしょうか? もちろん、2010年9月のデータなので、景気の影響も少なからずあるでしょう。ですがここでは別の理由を挙げている記事を紹介しましょう(かなり前になりますが、私が読んで腑に落ち、今でも記憶に残っています)。
ロサンゼルスMBA留学日記:MBA後の転職の難しさ――ダーマ神殿に行ったら"レベル1"になった
ここではタイトルに「MBA後」と入っていて、未経験職種への転職の場合とされています。未経験の仕事なら転"職"でレベル1になるのも肯けますが、同業界・同職種の転"社"であったとしても、転職すると仕事のパフォーマンスが短期的に落ち込むこともあるのです。
パフォーマンスが下がるのに年収が上がる。そんな都合の良い話は普通に考えると無いですよね。
転職するとなぜパフォーマンスが下がるのか、逆に転職することがパフォーマンスアップやキャリアアップにつながるケースはあるのか。そういった話はいずれ場をあらためて掘り下げたいので、ここではいったん筆を止めておきます。
と、ここまでは「短絡的に転職を考えるな」というメッセージを送りたいので、ネガティブな話の展開をしてきました。が、あらためて数字を見てみると、年収アップ:年収ダウン=38.3%:46.4%というわけで、そんなに下がってばっかりでもありません。2000年前半の調査の中には、年収アップの割合の方が高かった年もあったようです。
先ほどのデータを細かく見てみると、年収アップした層は、26~30歳の層の前後のようです。そのデータも多少踏まえつつ、年収アップするのはどんなケースか、いくつか思い浮かぶものを挙げてみます。
◆前職での待遇が明らかに同業界や同職種の水準よりも悪い
◆前職の業績はイマイチだったが、転職先はイケイケ
◆年功序列型のトラディショナルな企業から、パフォーマンス重視の外資・ベンチャーに転職
◆人事評価が適正に行われていない
◆転職者が転職先企業が欲しているナレッジ/コネクション/ブランドを持っている
◆前職は残業手当が付かなかったが転職先では付く
主だったものはこんなところでしょうか。私より詳しい方もいらっしゃると思うので、ご意見ありましたら加筆・修正しますので是非。
次回はそう遠くない日に、転職で得られるもの/失うものを取り上げながら、転職前後のパフォーマンス変化について書いてみようと思っています。
※ 以下に温めているネタを列記しておきます。週1本くらいのペースで書いていくつもりですが、興味のあるネタがありましたら早めに書きますので、 Twitterアカウント(@YoshiNaka)宛にリクエストを送ってください。レスポンスは遅いと思いますがご容赦ください。
【ネタ帳 兼 備忘録】
・ 自己プロデュース能力とはなんぞや(就職/転職ネタ)
・ 35歳を過ぎたら普通の転職活動をしてはいけない(転職ネタ)
・ 転職のメリット/デメリット(転職ネタ)
・ 転職する前に考えるべきこと(転職ネタ)
・ 人材業界&採用担当の経験から語る賢い転職術(転職ネタ)
・ 人気業界にあこがれる罠(就職ネタ)