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便利すぎて黒船到来。Instapaperを始めとする「後で読む」サービス

便利すぎて黒船到来。Instapaperを始めとする「後で読む」サービス

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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インターネットで調べものなどしていると、最初はイルカの生態を調べていていたはずだったのに、いつの間にか「足裏マッサージの効果的な方法」を真剣に調べていた、などという事がよくあるものです。

この「連想ゲーム」のような性質こそがネットの大きな魅力とも言えるのですが、見つけたページが大変な長文であったり、仕事中の真面目な調査の最中に紛れ込んできた面白ページだったりすると、始末に困ります。

そんな時に便利なのがInstapaperのような「後で読むサービス」です。

Dead Sea newspaper
Dead Sea newspaper / inju

Instapaperは有名なので使っている人も多いと思いますが、簡単に言うとネットで見つけた面白そうな記事を、後で読むために保存しておくツールです。僕の場合は完全に「スマートフォンにWeb記事をバンバン送るためのツール」として使っていますが。

使い方はとても簡単で、ネットでたまたま気になるページを見つけた時は、あらかじめインストールしておいたブラウザー拡張の「Instapaper」ボタンや「ブックマークレット」をクリック。すると小さな「保存中」の表示が出てきて、そのページがネットのどこかにあるInstapaperのサーバーに記録される、という仕組みです。

instapaper_saving.jpg
そうして保存したページは、普通にパソコンのブラウザーから見ても良いですし、iPhoneであれば純正のInstapaperアプリ、Androidなら「Insta Fetch」のようなアプリをインストールする事で、スマートフォンから見る事もできます。

Instapaperの偉い所は、ただスマートフォンに記事を送るだけではなく、記事をスマートフォンで読みやすいように変換してくれる、という事です。こうして変換されたページには、テキストと主要な画像だけが残ります。

instapaper_iphone.jpg

この変換機能はかなりの優れもので、大抵の場合、こちらが期待した通りに記事の本文だけを抜き出して、レイアウトをシンプルにしてくれます。ちなみにこの機能は「Instapaper Mobilizer」という機能として独立しており、ブラウザーからこの機能だけを呼び出して、ページ変換をかける事も可能です。

モニターと向き合いすぎて乱視がひどい僕にとっては、この変換されたページの読みやすさが「やすらぎ」レベルの快適さで、もう普通のブラウザーでページを見るのが面倒に思えるくらいです。

同期しておけばどこでも読める

そしてInstapaperを使う事のもう一つの利点は、劣悪な通信環境への対策です。

最近スマートフォンが増えてきたからなのか、人が多くいる場所での通信環境はかなり悪く、ブラウザーでネットを見るのは結構厳しいものがありますが、Instapaperアプリを使う事で、この通信の問題はある程度解決できます。

スマートフォンのInstapaperアプリは「後で読む」にした記事をダウンロードして携帯に保存してくれる機能を持っていますから、あらかじめ電波状態の良い場所とか、無線LANのある家とかで、Instapaperアプリに記事の取り込みを行っておきます。そうすれば、もう電波が悪かろうが無かろうが、地下鉄でも田舎のサービスエリアでもゴルフ場でもお構いなく、快適に「後で読む」にしたWebページを読む事ができるようになるという訳です。

ただ、ページ内のリンクを開く場合はもちろんネットに接続しないと見れませんし、一部のページがうまく変換されなかったりする事もあるので、リアルタイムで快適にネットを見れる環境があればそれに越した事はありません。しかし「いつでも確実に読める」「待たずにすぐ読める」という2大メリットが、少しの不便など帳消しにしてくれます。

そしてこの「忙しい時には、後で読む」事と、時間の空いた時には「すぐに読む」体験は、Instapaperで人生を効率化したぜ。みたいな快感を感じさせてくれて、僕からInstapaperを手放せないものにしています。大げさに言うなら、まるでドラえもんの「時間貯金箱」みたいです。

便利すぎて黒船到来。後で読むサービス。

このように便利なInstapaperを始めとする「後で読む」サービスですが、iPhone4Sとほぼ同時にリリースされたiOS5には、この「後で読む」サービスにあたる、「リーディングリスト」という機能が標準搭載されているようです。リーディングリストはiCloudを仲介として別のデバイスにも同期されますし、文書を読みやすく変換する、「Instapaper Mobilizer」にあたる機能も備わっていて、まさに直接競合。

Read It Laterや、Instapaperが踏ん張ってきた「後で読む」市場にも、ついに黒船到来というところでしょうか。確かに、この「後で読む」機能はスマートフォンの特徴を最大に活かした本当に便利な機能ですから、標準機能にあってしかるべきとも思います。近くGoogleがAndroid陣営向けに「後で読む」サービスを作ってくるという事も、十分にあり得る事でしょう。

「あとで読む」サービス業界は試練の時を迎えているのかも知れませんが、裏を返せば多くの人に「あとで読む」機能を認知してもらえるチャンスであるのも確か。これを奇貨として、とても便利なInstapaperが、ますます発展してくれる事を願っています。