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イノベーションにはぼけーっと考える時間が必要

イノベーションにはぼけーっと考える時間が必要

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
前回のエントリで、Harvard Business Reviewの平日更新のキュレーション・サイト、Morning Advantageを紹介したのですが、これが偶然にも先週から週1回の更新に変わってしまいました。残念。また新たな情報源を探さないと、です。さて、今日ご紹介するのは、3/27付のMorning Advantageにて紹介されていた、Jeffrey Phillips氏のブログ、INNOVATE ON PURPOSEから。本文は長いのですが、要旨だけ短く見ていきましょう。


As businesses become more streamlined, more efficient, more time bound, there's ever less time for contemplation, exploration, and...simply thinking about concepts, needs and alternatives. They are too busy to innovate.

ビジネスのスピードが加速し、より効率化し、期限もどんどん厳しくなっていく中、熟考したり、未知の領域を探求したり、はたまたコンセプトやニーズや代替案を考える時間さえも取れなくなってしまってきている。

特に役職が上がるにつれて、会議ばかりが増え、本来時間を割くべきものに十分な時間を割くことが出来なくなっている、と。どの会社でも、偉い人ほど会議に忙殺されていて、スタッフ側から見ると、承認(印)がもらえなくて待つだけで残業に、みたいな悲しいケースも多いのではないかと思います。

To many of these busy executives, innovation activities appear pointless in the short term. Gathering customer needs, thinking about how the future will unfold, contemplating new competitive threats and emerging needs, generating ideas, these actions don't drive revenue tomorrow

このような多忙な経営幹部にとって、イノベーションに関わる活動は短期的には意味を為さない。顧客のニーズを収集したり、未来がどう開けていくかを考えたり、競争上の脅威や新たなニーズの勃興について熟考したり、アイデアを生み出したり、といった活動は、明日の収益を生み出すわけではない

計画を立てるべき役割であるにも関わらず、火消しに走る人が多い、ということですが、それだけビジネスが難しくなっていることもこの背景にはあるでしょう。


アインシュタインはどう問題解決してた?


イノベーションといえば!ということで、ここでアインシュタインが出てきます。彼は優秀な物理学者であるだけでなく、イノベーティブな思想家でもあったわけですが、彼の問題解決の姿勢というのは、

When asked how he would spend his time if he was given an hour to solve a thorny problem, he said he'd spend 55 minutes defining the problem and alternatives and 5 minutes solving it.

厄介な問題を解くのに1時間与えられたとしてどのように時間を使いますか?と問われたアインシュタインは、55分を問題の定義付けと代替案の抽出に充て、5分を問題解決に使う、と答えた。

まさに、

Which is exactly opposite of what the vast majority of executives today would do. Most of them would simply define a solution, implement it and have 15 minutes to spare for checking email.

これこそ今日のほとんど多くの経営幹部がやっていることと正反対の内容だ。多くの経営幹部は単純に解決策を定義し、あてはめて、残り15分をメールチェックに費やすのだ。


よいマネジメントの復権を


この傾向を是正するにはどうするべきか?

We need to break the cycle of efficiency, not to return to sloth and inefficiency, but to return to good management. An executive who is constantly fighting fires and in meetings can't build the skills of his or her team or give adequate praise or feedback.

我々はこの効率化のサイクルを打破しつつ、怠惰かつ非効率な手法にではなく、よいマネジメントに立ち戻る必要がある。日々火消しや会議に追われる経営幹部には、彼らのチームのスキルを高めたり、適切な賞賛やフィードバックを提供することは出来ない。

そしてもちろん、マネジメントに加え、イノベーションを生み出すための活動に時間を割くことが必要です。

Good innovation almost always starts with noticing a problem or opportunity, contemplating a range of solutions, experimenting and interacting with those that have the challenge or problem, iterating a solution and then commercializing.

よいイノベーションは問題や機会に気づき、多岐にわたる解決策を検討し、実験し、課題や問題を抱えている人と積極的に交わり、解決策の適用を繰り返し、そして商用化していくことから始まる。

実はこのプロセス、明確な答えがない分、面倒です。火消しをしていたほうがアドレナリンが出てエキサイティングな面も多くあるでしょう。したがって、喜んでそっちの業務に逃げてしまう管理職の方も多いかもしれません。しかし、

We often need a "beginner's mind" but that requires leaving behind the expert's perspective.

我々には「初心者の感覚」が必要だが、それには専門家の視点をいったん置き去りにしていくことが必要になる。

無理をしてでも現在の忙しい喧騒から抜け出し、一人黙考する時間を作る必要がありそうです。
リダンダンシー(redundancy: 余剰、冗長性)の無さが、各企業の大きな課題になっていますが、改めて落ち着いて考えてみると、より効率的な対処法を思いつくことが出来るかも!?
ご一読感謝。

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管理職になって以降、特に部長以上になると、研修自体をやっていない、という企業にもよくお会いします。集合研修以外にも、ワークショップなど、実践的で経営に直結する「考える時間」を強制的に確保していく方法はいろいろあります。貴社に合ったやり方を一緒に考えていければと思います。

株式会社ビジネスパブリッシング社発行の人事専門誌『人事マネジメント』にて、『ブランド価値を高める人事』という連載を行っています。雑誌掲載から1カ月後にウェブでの記事公開が可能となっており、ようやく第1回目を以下のとおり公開させていただきました。早めにお読みになりたい方は是非雑誌をご注文ください。