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IDEO的人間観
当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
以前「IDEOが重視する採用時の5つのポイント」と題した記事で、アメリカのデザイン・ファーム、IDEOを紹介しました。その創業者であるDavid Kelleyがリーダーシップについて語った記事が2年前ではありますがFast Companyに掲載されていました。簡単にご紹介します。
DAVID KELLEY ON DESIGNING CURIOUS EMPLOYEES
ここでの話は、IDEOの中心的な思考方法である、デザイン・シンキングに基づくものです。
デザイン・シンキングって何?という方は、上掲の過去記事や、以下のリンクをご参照ください。
人間中心のイノベーションへ IDEO:デザイン・シンキング (Harvard Business Reviewの翻訳の一部)
デザイン・シンキング
デザイン・シンキングのコンセプトチャート2枚 -IDEOティム・ブラウン氏のブログより-
デザイン・シンキングの要諦とリーダーシップ
The main tenet of design thinking is empathy for the people you're trying to design for. Leadership is exactly the same thing--building empathy for the people that you're entrusted to help.
デザイン・シンキングの基本的な信条とは、あなたがデザインを提供する人々への共感です。リーダーシップはそれと全く同じこと。自分を支援してくれるよう頼んでいる人々に対する共感を育むことです。
The way I would measure leadership is this: of the people that are working with me, how many wake up in the morning thinking that the company is theirs?
私がリーダーシップを測るのに使うには次のように考えるといいでしょう。自分と一緒に働いている人々が、朝目覚めたときに、どれだけ自社を自分の会社だと思ってくれているでしょうか?
透明性が共感を生み、それが創造性につながる
I'm trying to get people to remain confident in their creative ability. In order for them to have that kind of creativity, you have to be very transparent.
私はみんなが創造力について自信を持ち続けるように仕向けるようにしています。そして彼らが創造力を身につけるためには、自分自身の透明性を非常に高くしておかなければなりません。
デザイン・シンキング的に人を見る
I don't think people do anything out of fear very well. So I think the only choice is to have them intrinsically motivated.
人々が恐怖心によって優れた仕事が出来るとは思っていません。したがって、彼らが本来はモチベーションの高い存在である、と捉えることが唯一無二の方法だと考えています。
I'm looking for somebody who has a positive attitude and is confident enough to express their ideas. They're confident enough to disagree with me, confident enough to say what they think and paint a picture of the future as they see it. But at the same time, they're questioning whether there is some better solution and whether they're right or not. It's this balance between confidence and questioning. This represents a kind of curiosity, an open, child-like mind of being enthusiastic enough to talk about their ideas--and questioning them enough to build on that idea rather than think it's all done.
私が求めているのは前向きな態度を持ち自身の考えを表明することに躊躇のない自信を持つ人です。その人たちは、自信がある故に私に反対もするし、自らの考えを述べて彼らが見る将来についてのイメージを描きます。しかし同時に、彼らはもっとよい解決策が無いか、そして自らの考えが間違っていないか、常に自問自答します。重要なのはこの自信と自問自答のバランスです。これは自らのアイデアを述べるのに開放的で情熱的であること、いわば好奇心のようなものを指し示すと同時に、全てを考え抜いたと思うのではなくアイデアを積み重ねていくために常に疑問を持つことを意味します。
The main thing is I trust my intuitive mind... Mostly I say, "Why?" And then after they've answered, I say "Why?" again. You really learn a lot about them. The main thing is just trying to hang back and let them explain why they care about certain things.
自分の直感を信頼しています。... そして「なぜ」という問いを投げかけます。そして彼らが回答すると、再び「「なぜ」と問います。そこからは大変多くのことを学べるでしょう。ここでのポイントは、こちらからは切りだすことなく彼らになぜそのコト/モノについて彼らが気に掛けているのかを説明してもらうことにあります。
本来持つ創造力を開花させるデザイン・シンキング
I really think everybody is creative. There are just some blocks in the way... The best way to unlock that is to give them creative confidence. Sometimes it's getting them to be able to stand up and draw stick figures. Sometimes it has to do with getting them to make their strategic plan visual. But the main thing is you have to give them an experience... Creative confidence comes from us teaching... a methodology. We call it "design thinking" but it's really an innovation methodology.
私は全員が創造的だと強く思っています。ただそれを塞ぐカベのようなものがあるだけだと。。それを外す最上の方法は、彼らに創造性に関する自信を与えることです。それは時には立ちあがって棒線の画を描くことだったします。あるいは戦略的な計画をビジュアル化することもあるでしょう。しかしもっとも重要なのは何よりも経験を与えることです。創造性に関する自信は方法論を教えるところから始まります。我々はこれを「デザイン・シンキング」と呼んでいますが、これは本質的にはイノベーションを生み出す方法論なのです。
我以外皆我師
the most influential people in my life are my students... Every year there's a new group of students and they just have a view of the world that's different than mine... As an old fart, I'm thinking, "ugh, that won't work" and they're coming up with ideas that open my mind.
私に最も影響を与えてくれたのは生徒たちです。毎年新たな生徒の集団がやってくるのですが、彼らは世界の見方について私とは違ったものを持っています。私がクソオヤジ的に「おお、こんなの無理だ」と思ったとしても、彼らは私の心の眼を開かせるようなアイデアを携えてくるのです。
お読みいただきありがとうございます!
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この新著では、根本的な改革においては組織内の構造にメスを入れるべきという理論を展開しています。
当社が最初に出版した本書は長らく絶版となっていましたが、このたび、同文舘出版の厚意により、出版権フリーの著作として無料公開することが可能となりました。全文をPDFでお読みいただけます。