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マネジメントは週6時間が吉

マネジメントは週6時間が吉

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。


アメリカのビジネス誌、Fast Companyにおいて、マネジメントに関する興味深い記事がありましたのでご紹介します。


WHY MANAGERS SHOULD SPEND EXACTLY 6 HOURS A WEEK WITH EACH EMPLOYEE
http://www.fastcompany.com/3032972/hit-the-ground-running/why-managers-should-spend-exactly-6-hours-a-week-with-each-employee


副題として、


TOO LITTLE AND YOU'RE DISENGAGED--TOO MUCH AND YOU'RE MICROMANAGING. TURNS OUT THERE'S A SWEET SPOT FOR TIME SPENT WITH YOUR TEAM.

少なければやる気を失くさせるし、やりすぎればマイクロマネジメントすることになる。しかし今回、チームに対して費やすべき正確な時間が明らかに。

とありますが、原題のとおり、一人一人の部下についてちょうど6時間ずつ費やすのが最も良い、ということが明らかになったそうです。調査を行ったのはLeadership IQという会社。対象人数は32,000人。



6時間までは増えれば増えるほどよい。が...


一般的に、上司のサポートは多ければ多いほど良い、という気がしてきます。


In most cases, more time with the boss is a good thing. As people rose from one to six hours spent with their direct leaders, they became 29% more inspired about their work, 30% more engaged (that is, likely to recommend their company as a great place to work), 16% more innovative, and 15% more intrinsically motivated (finding something interesting in most of their tasks).

多くのケースにおいて、上司とより多くの時間を過ごすことは良い傾向だった。直属の上司と過ごす時間が1時間から6時間へと増えていくにつれて、仕事についての触発を受けるケースが29ポイント増し、やりがいを見出した率が30ポイント増加し(具体的には、働きがいのある会社として自社をおススメする、という傾向)、16ポイントほど創造力が増え、そして仕事自体へのモチベーションを見出す確率が15%増加した(自身の作業のほとんどにおいて何らかの面白さを見出す)。

では6時間以上費やすと、さらに数字が上がっていくのか、というと、そういうわけではないようです。


But then, above six hours per week, all of these measures flattened out, or even declined.

しかし、1週間あたり6時間を越えてしまうと、これらの数値の全てが一定のまま変わらないか、ものによっては下がるケースさえ出てきた。

一定を越えると、ちゃんとわかっているのに、さらに詮索/介入されて、面倒くさい、うざい、とマイクロマネジメントと捉えられる危険性が出てくるとのこと。



注意すべきバイアス


この記事でもきちんと書かれていますが、この調査結果自体には大きく2つの弱点がありますので、その点は十分に加味しておく必要があります。


people are estimating how much time they spend with their leaders, adding up face time, phone calls, and emails (rather than keeping a time diary during a work week).

人々は上司とどれくらいの時間を過ごすのかを足し合わせるわけだが、そこには電話や電子メールなども含まれてくる(仕事をしながらきちんと日誌に時間を付けているわけではない)。

正確に何分上司と関わったか、という部分は、個人の感覚/印象/主観によって決まってくる部分は否定できない、と。また、


engagement is a function of many things. People who like their bosses may naturally spend more time with them, though Murphy's analysis did try to control for this.

エンゲージメント〔≒やりがい〕は多くのことによってもたらされるものだ。Murphy氏の分析はこの部分をうまく制御しようとしているものの、上司のことを好ましく思う人々は自然と彼らと長い時間付き合うことになるのは自明だ。


この調査結果からの副産物


この調査結果から、新たに2つの示唆が導き出されています。1つは最近その是非が取りざたされることの多い在宅勤務についてであり、


Working from home one to three days a week will still leave space for six hours of face-to-face interaction, and since being on the phone counts too, employees could be remote most of the time.

週1~3日ほど在宅勤務をしたとしても面と向かって6時間やり取りをする余裕は十分に残されている。そして電話での応対もこの時間に含まれるとすれば、ほとんどの時間を在宅で過ごすことも可能となる。

また、組織のフラット化に伴ってしばしば議論となる、マネジメントのスパンオブコントロール(1人で見られる部下の人数)についても、


If managers need to interact with direct reports for six hours per week, they can't really manage more than six or seven people.

マネージャーが直属の部下と週6時間接触する必要がある場合、彼らは6~7人を越える部下をマネジメントすることは正直難しいだろう。

もし50人の部下を管理している、というマネージャーがいたら、それは眉唾ものだ、とのこと。また、日本の大部分の管理職に当てはまるであろう、マネジメント以外に自分自身の作業もしなければならないプレイングマネージャーであれば、生産性の観点から見てもせいぜい3~4人が限度だろう、とのことでした。



急に6時間にするのは難しいけれども


だからといって、急に1人に対し6時間分の打ち合わせを設定などしたら、上司も部下もすぐに疲弊するのは目に見えています。Murphy氏の助言としては、


if you focus on having "one really good, meaningful conversation this week," then team members will start coming to you whenever they have questions or want feedback. These team member-initiated conversations are much more valuable for making people feel like you truly want them to succeed.

もし〔マネージャーである〕あなたが「今週1つだけでもよりよい意味のある会話をしよう」と決めて集中して取り組めば、チームメンバーたちも、質問があったりフィードバックがほしい時にはいつでもあなたのところに来るようにし始めるだろう。このような部下からの自発的な会話が生まれれば、部下の成功を心底祈るあなたの姿勢が、より強化されることになります。

日本においては、以前であれば夜の飲みニケーションで代替が出来ていたのかもしれません。いろんな接点を探して、コミュニケーションの絶対量を増やしていく工夫が求められているようです。

お読みいただきありがとうございました。



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