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女性活用を考える
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
最近アメリカのFast Companyに女性に関するエントリーが2つ上がっていました。ちょっと前に日経ビジネスオンラインで紹介されていた、ダイバーシティについて早稲田の入山准教授のエントリーとあわせてご紹介します。
アメリカもそう大したことはない
WHY MOST LEADERSHIP DEVELOPMENT PROGRAMS FOR WOMEN FAIL AND HOW TO CHANGE THAT
http://www.fastcompany.com/3035263/strong-female-lead/why-most-leadership-development-programs-for-women-fail-and-how-to-change
経営陣に対してコーチングを行っているJoelle K. Jay教授によるエントリーです。
日本に比べ、アメリカは女性の登用が進んでいる印象を、なんとなく持っている方も多いかと思います。日本では先日、厚生労働省の2013年度雇用均等基本調査において企業の課長以上に占める女性の割合が6.6%だったと報じられました。
ではアメリカはどうなのか、Jay氏によると、
the numbers of women in the top leadership positions at most companies remain largely the same. In America's top companies, only 4.6% of Fortune 500 CEO positions and 16.9% of corporate board positions are currently held by women--numbers that have barely moved in a decade.
多くの企業で上層部のリーダーシップポジションに占める女性の割合はほとんど変わっていない。アメリカの大手企業を見てみると、フォーチュン500に入っている企業の社長のポジションでは4.6%、取締役では16.9%しか現在のところ女性が占めてしないのだ。この数字はここ10年ほとんど動いていない。
とあるように、我々の想定と違ってそれほど女性の進出が進んではいないようです。男性についての数字がまとめられていますが、
- They represent 80% of the executive suite and corporate boards
男性は役員や取締役会の80%を占めている
- They hold 87% of line officer positions
男性は経営幹部のポジションの87%を占めている
- They hold almost 70% of management and top management positions
男性は経営幹部のポジションや管理職のうちほぼ70%を占めている
- They are twice as likely as women to advance and nearly four times as likely to make the jump to CEO
男性は女性の2倍出世し、社長になる可能性はほぼ4倍となる
- Meanwhile, women hold about 14% of executive officer positions, 17% of board seats, and only 3% to 4% of CEO positions.
一方、女性は役員の14%、取締役の17%、そして社長に至っては3~4%しか占めていない
極端に走る時は注意を
このような状態において、実はアメリカでも日本と同じように、広報的に会社を良く見せようと、実力をある程度無視してパフォーマンス的に女性を登用するケースはあるようです。
そしてその中でよく行われるのは、男性のチームだけでなく女性だけのチームを組成して、そこで女性ならではの視点を持ってパフォーマンスを出してもらおうと言うもの。しかしこれを行うときには注意が必要だ、というのが次にご紹介するエントリーでの研究結果です。
If You Want Female Employees To Be Creative, Don't Make Them Compete At Work
http://www.fastcoexist.com/3034820/if-you-want-female-employees-to-be-creative-dont-make-them-compete-at-work
ワシントン大学(ワシントン州でもなくワシントンD.C.でもなくミズーリ州セントルイスにあります)のMarkus Baer教授によると、女性にクリエイティブになってほしいときには、組織内で競争をさせてはいけない、とのこと。
"Groups composed of all women or majority women tend to do better when there's an absence of competition. When you introduce competition, those teams tend to fare worse," says Baer. "The opposite happens for men. Once you introduce competition for them, they get excited, start to gel together."
「全て、もしくはほとんどが女性で構成されるチームは、競争環境が無いほうがうまくいく傾向にある。もし競争を取り入れた場合、そのチームはうまくいかないことが多い」とBaer氏は語る。「男性に対しては逆のことが起こる。いったん彼らに競争を取り入れると、彼らは興奮し、一緒に仲良くやっていこうとするのだ。」
一方で、金銭的な報酬が無い場合であれば、女性に対して競争を取り入れても良く、かつ、誰かのため、という意欲が強ければ、その時も競争環境下で力を発揮するとのこと。
"I don't want to suggest women are inherently less competitive," says Baer. "I think a lot of it is either social roles that we adopt to in education or interactions. They guide the way we think about ourselves and others."
「女性が元々競争的では無い、と言いたいわけでもないのだ」とBaer氏は言います。「これまで受けた教育の中で受け入れてきた社会的な役割や他人との関わり合いなどに影響されているものだと思う。それらが自分自身や他人についてどう考えるかを導いていくものだから。」
そもそも効果のあるダイバーシティとはどのようなものか?
男女それぞれでチーム運営をするのは、一筋縄ではいかないようですが、ではダイバーシティ経営といった時に、いったい何をどうしていけばいいのか。
「日本企業に女性はいらない」が、経営学者の総論
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131220/257328/
こちらは日本語の記事なので詳細は省きますが、早稲田大学ビジネススクール准教授の入山氏によると、
- 「性別・国籍などを多様化することは、組織のパフォーマンス向上に良い影響を及ぼさないばかりか、マイナスの影響を与えることもある」という研究結果が得られている
- ダイバーシティには2つの種類(「タスク型の人材多様性」と「デモグラフィー型の人材多様性」)があり、その峻別が重要
- 組織に重要なダイバーシティとはあくまで「タスク型の人材多様性」のことであり、性別・国籍・年齢などの多様性は組織にマイナスの影響を及ぼすこともある
この3点目について、一般的にダイバーシティと言われるものは後者の「デモグラフィー型」であって、その理論としては、
組織のメンバーにデモグラフィー上の違いがあると、どうしても同じデモグラフィーを持つメンバーと、そうでないメンバーを「分類」する心理的な作用が働き、同じデモグラフィーを持つ人との交流だけが深まります。結果として「組織内グループ」ができ、いつのまにか「男性対女性」とか、「日本人対外国人」といった組織内グループのあいだで軋轢が生まれ、組織全体のコミュニケーションが滞り、パフォーマンスの停滞を生むのです。
ではどうしていくべきなのか。入山氏も当然ながら女性や外国人などを登用するなと言っているわけではなく、その解決方法として「フォルトライン(=組織の断層)理論」に注目していると述べています。これはダイバーシティにもいろんな観点があり、性別や人種、年齢層や、出身地や階層など、デモグラフィが複数混じると、それぞれのデモグラフィー間の境界線(フォルトライン)が無くなり、組織内のコミュニケーションがスムーズに行く、というもの。
「デモグラフィーが多次元に渡って多様であれば、組織内の軋轢はむしろ減り、組織パフォーマンスは高まる」という命題を支持する結果が得られています
したがって入山氏は
女性や外国人の登用など「デモグラフィー型の人材多様性」を進めるならば、中途半端にやるのではなく、徹底的に複数次元でダイバーシティを進めるべき、ということです。逆に、昨今のブームに乗っただけの「中途半端なダイバーシティ経営」は一番よろしくない
と結論づけています。
今の通り一遍の女性活用だけを推進すべき、との考えに違和感を持つ方にとっては、非常に興味深い理論ではないでしょうか。とはいえ女性を活用していくこと自体は現在の人手不足や今後長きにわたっていくであろう前回の人口減の話とも関連し、必須の流れとなります。いかに女性の意欲を高め、その才能を開花してもらい、貢献してもらうか。人事をはじめとしたマネジメントの力が試されています。
お読みいただきありがとうございました。
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2010年、2012年と実施してきたビジネスパーソンに対する意識調査を今年も実施し、現在結果をまとめています。女性についても1つの切り口として分析を行っています。どうぞお楽しみに。
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