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よいマネージャーになるには(後篇)
»2011年12月14日
未来の人事を見てみよう
よいマネージャーになるには(後篇)
人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
本日のエントリは昨日に引き続きイギリスの人事専門誌、HR Magazineより。
How to be a better manager? Look at your role from the point of view of the employee
良いマネージャーになるにはどうすればいい? 社員の目線で自分の役割を確認すべし
昨日のエントリの最後で、著者たちの以下の問題意識を取り上げましたが、
If it is so easy to draw up a list of what makes an effective manager, why are there so many bad managers out there? Why do so many people fail to walk the talk? And, given that this gap exists and has existed for a long time, what can we do about it?
優れたマネージャーを構成する要素をリスト化することが簡単なのであれば、なぜ世の中にはいまいちなマネージャーがはびこっているのか? なぜ多くの人々が有言実行できていないのか? そして、このギャップが存在、しかも長い間存在していることについて、我々は何ができるのか?
なぜ優秀な人なのにうまくマネジメントができないのか?その理由を部下側にインタビューしたところ、次の3つの要素が出てきたとのことです。
1. Managing well is harder than it seems
1. よいマネジメントは想定よりはるかに難しい
つまり、
For most aspects of management, it is possible to get it wrong in both directions.
マネジメントの多くの側面において、両極端に振れることで物事が悪化することはよくあるものだ。
裁量を与えないのも良くないが与えすぎても良くない。困難な課題を与えるのは良いが、簡単すぎたり難しすぎたりするのもよくない。
Balance is the key in all these areas. What makes this difficult is that each employee has his/her own unique set of skills and motivations.
バランスが全ての側面でのキーポイントとなる。これが困難なのは、それぞれの社員がそれぞれ独自のスキルやモチベーションをもっている、ということに由来する。
ある人にはOKでもある人にはNG、ということがあるんですね。
2. Managers have competing priorities and limited time
マネージャーは優先度が重複する状態にあるだけでなく時間が限られている
many managers have five or six people reporting to them, each with different needs, as well as their own work to do and calls on their time from dozens of other people across the organisation.
多くのマネージャーは5~6人の部下を持っており、それぞれが異なるニーズを持ち、かつマネージャー自身も自分の仕事をしなければならず、組織内の関係各所へ適切な時間を見計らって電話をかけなくてはならない。
さらに不況などの経済環境が加わると、もういっぱいいっぱい、というところ。
3. Managing well requires non-intuitive behaviour
3. よいマネジメントには直感的でない行動が必要
どういうことかというと、もともと人は自分勝手(selfish)で管理したがり(control-oriented)でリスクを避ける傾向(risk-averse)にあり、これは生存にとっては必要なことだが、マネジメント上は障害になる、という話のよう。マネジメントは会社が望む方向に社員を向かせ、権限委譲しつつ管理し、リスクをとることで学習の機会を与える必要があります。
For most of us, doing these things goes against our "gut" instinct. And the more unpredictable or uncertain the business environment, the harder this becomes.
我々の大半が、これらのことを"直感"に反して実行している。そしてビジネス環境が予測不可能あるいは不透明であればあるほど、これを遂行するのは難しくなる。
非常時はトップダウンで進めることも必要ですが、一方で現場をわかっているのは最前線の社員、という場合も多く、適切なバランスをとるのは非常に困難です。これは先の震災時の対応で我々も身にしみて認識しているところではないでしょうか。
さて、それでは、どうやって、よいマネージャーになればいいのでしょうか? 著者たちは2つのポイントを挙げています。
1. See the world through the employee's eyes - on a regular basis
1. 世界を社員の目線で ― 定期的に ― 観察する
これは"thought experiment"(思考実験)ではなく、実際に行動を変革するというレベルで必要だ、と著者たちは説きます。
そのための方法として、例えば'skip level' meetings(階層を飛び越しての会議)、web-enabled discussion(ウェブベースでのディスカッション、イントラネット上でのフォーラムやSNSなど)、frontline work(最前線の仕事を実際にやる、幹部が数日間倉庫整理をしたり伝票をチェックしたり)、reverse mentoring(年齢や経験の浅い人が、年齢や経験の高い人にメンタリングを行うこと、特にIT技術などでこの傾向が最近高まっている)などが提案されています。
2. Package the work into projects
2. 仕事をプロジェクトとしてまとめる
古くはトム・ピーターズも全ての仕事はプロジェクトである、と書いていましたが、
Most people find project work more interesting than routine work, for the simple reasons that a project tends to have a distinct objective, a deadline and a clear person in charge.
多くの人がプロジェクトワークのほうがルーティンワークよりも面白い、と感じているが、それはプロジェクトが一般的に明確な目的や締切、責任者をきちんと備えているからというシンプルな理由によるものだ。
全てのルーティンワークをうまくセグメント化してプロジェクト化することが重要だと言います。
また、上記2つとはまたちょっと異なる方法として、
Work yourself out of a job
自分をその仕事から外すようにする
というものもあげられています。具体的には、
one useful way of approaching a management job is to imagine the role won't exist in, say, two years' time, and that your job is to train everyone up so they can do your job as well as their own.
マネジメントの仕事に対して有効な一つのアプローチ方法は、その仕事が例えば2年の間で存在しなくなると想像してみることだ。そうすると、あなたの仕事は全ての部下を鍛えて、彼らの仕事だけでなくあなたの仕事をもできるようにしなければならなくなる。
人事制度でいえば、入学要件的な動きですね。上のレベルができるようになって初めて昇格させる、常に上の仕事を目指させる、という仕組み。
この実行は非常に難しいのですが、著者たちの経験から言って、有用な部分が大いにあると語ります。
this discipline of pushing down the structure as much work as possible has the effect of changing the nature of the work you do as a manager - it forces you to spend more time on the mentoring and supporting activities and it results in better performance all round.
今のマネジメント構造をできるだけ下に押し下げていこうとするこの方針はあなたのマネージャーとしての役割を変えていく効果もある ― この動きによってあなたはより多くの時間をメンタリングや支援業務に向けることになり、結果としてチーム全体としてよりよいパフォーマンスが生まれてくる。
ここしばらく流行っている、servant leadershipの流れと言えるでしょう。
ともかく、
There are no shortcuts to becoming an effective manager. We all intuitively know what 'good management' looks like, but most of us don't follow through on this in our day-to-day actions.
よりよいマネージャーになるのに近道はない。我々は本能的に"よいマネジメント"がどのようなものであるかは知っているが、我々のほとんどが日々の行動を通してこれを成就しようとはしていないのだ。
うまくマネージャーの日々の行動が、マネージャーの成長に繋がるように、人事の方々も制度やOJT、はたまた今活発になっている研修の内製化などを通して、定着させる工夫を凝らすことが求められていると思います。
著者たちの研究結果では、
the best managers are the ones who adopt the discipline of looking at the world through the eyes of employees.
最も優れたマネージャーは社員の目線で世界を見るという姿勢をとりいれた人だ。
とのことです。なんらかのヒントになれば。
御一読感謝!
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社員の立ち位置から見る、という観点で、360度評価などの多面評価は最近再び脚光を集めており、当社でも現在プロジェクトが進行中です。
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