Fast Companyがこの度発表した"THE WORLD'S 50 MOST INNOVATIVE COMPANIES"と、編集長によるその巻頭言を取り上げます。

Fast Companyの編集長であるRobert Safian氏の記事、Generation of Fluxを1/10の本ブログエントリでご紹介しましたが、今回のこのリストは

Our Most Innovative Companies list is like a guide to what works in a time of flux--both among our top 50 and in the nine industry-based "Top 10" lists in the issue.

人として、というよりも、フラックス世代において機能する組織とはどのようなものか？を説明するようなもの、とのこと。そしてそこには8つのテーマがあると言います。それぞれのテーマの抄訳とともに。

• Growth should be a tactic, not a strategy.
  成長は戦術であるべきで、戦略ではない。
  
  →ある店舗の小さい発見からスターバックスの再生は始まった


• Big companies need to be as nimble as startups.
  大企業はスタートアップと同じくらい俊敏でないといけない。
  
  →Amazon、Apple、Facebook、Googleはすでに大企業だが俊敏


• Tech is disruptive in unexpected places.
  テクノロジーは予期しない場所で常識を破壊している。
  
  →法曹界、倉庫のロボット、ファッションなど
  


• Design is a competitive advantage.
  デザインこそが競争優位性に。
  
  →Airbnbはテクノロジーではなくデザイン発で成功


• Social media makes products and services better.
  ソーシャルメディアが製品やサービスをよりよくしている。
  
  →テレビだけでなくドナープログラムまで


• Data is power.
  データこそ力だ。
  
  →LinkedInの成功も全てはデータから


• Money is flowing.
  お金は環流している。
  
  →SquareやPaypal、KickstarterやY Combinatorが良い例


• Copycats are history.
  模倣品は過去のものに。
  
  →ブラジルのBug Agents Biologicos、中国のGreenbox、インドのRedbusを見よ、どこもマネをしていない。

久々にちゃんと訳してみました(笑)。

私がこういう記事を紹介していて、いつも不安、というか、焦りを覚えてしまうのは、日本の大企業、特に人事をされている方において、このような特集で取り上げられている会社について、あまり知らないんじゃないかな、という点です。当然全ての新興企業が成功するわけではないものの、上記2点目で取り上げられている4社はかなり歴史が浅いにも関わらずすでに巨大企業になっていて、時価総額も日本企業(というか世界中の数多の企業)のはるか上を行ってしまっている現実があるわけです。

そして優秀な人材がこういった企業(この4社に行こうと思う人は既に安定的で大企業信奉者だ、という意見もあるものの)に入りたいと切望している以上、人事の方も真剣に、こういった企業をベンチマークにする必要があるんじゃないか、という思いにも駆られます。

と言いつつも、8つめのテーマのブラジルと中国の企業は名前も、私は全く聞いたことがありませんでした。まだまだ不勉強ですね(焦)。

閑話休題。

そして、最新の革新的な企業ランキングですが、10位まで以下に列挙してみます。

1. Apple: For walking the talk


2. Facebook: For 800 million reasons to share


3. Google: For expanding its hit lineup


4. Amazon: For playing the long game


5. Square: For making magic out of the mercantile


6. Twitter: For amplifying the global dialogue


7. Occupy Movement: For embodying all the traits that make a Fast Company


8. Tencent: For fueling China's Internet boom -- and boldly moving West


9. Life Technologies: For speeding up genetic sequencing


10. SolarCity: For brightening up the sun-power business

オキュパイが7位にランクインしているのが興味深いですね。この後リストが50位まで続いていきますが、なにせY Combinatorが50位ですから、どんだけイノベーティブなんだ、といった様相。

面白いのは、"COMPANY"と銘打っておきながら、12位に大学(Southern New Hampshshire University)が入っていたり、NFL(アメフトですね)や病院が入っていたりするところ。また、決してベンチャー企業だけではなく21位にはSiemensが入っていることから、歴史や伝統はイノベーティブになれない理由には当てはまらない、というところでしょうか。

そして何よりさみしいのは、日本企業が全く入っていないこと。。。これには、日本の経済環境も大きな影響を与えていると思う一方で、そもそも日本企業のイノベーションが英文メディアに取り上げられる機会が少ない、ということも大いに関係しているように思えます。そういうメディアがあるといいですよね。WondershakeやTonchidotなど世界で評判を得ているベンチャーは出てきていますが、規模や知名度に関わらず、日本の優秀な企業がもっと世界に発信されればよいな、と思います。

今回のリストはこの総合ランキングのほかに、個別カテゴリごとにベスト10がまとめられています。そのカテゴリが以下。インドと中国とブラジルが単独で存在している脅威！

• FINANCE / 金融
  
  ここにスタバが！アメックスもいます


• WEB/INTERNET / ウェブ/インターネット
  
  今話題のPinterestが9位に


• MUSIC / 音楽
  
  4位にビョークがｗ


• MOBILE / モバイル
  
  1位はSquare


• MEDIA / メディア
  
  NYTimesが3位に


• INDIA / インド
  
  1位はNarayana Hrudayalaya Hospitals(病院)です


• HEALTHCARE / ヘルスケア
  
  6位にIBM、10位に3M


• GAMING / ゲーム
  
  Zyngaが3位、ワーナーが8位


• FOOD / 食品
  
  1位はスタバ


• FASHION / ファッション
  
  7位ユニクロ！(9位KENZO！)


• EDUCATION / 教育
  
  1位は上記の大学


• CONSUMER ELECTRICS / 家電
  
  うーん、日本勢がいない(涙)


• ADVERTISING / 広告
  
  6位に電通ネットワーク・ウェストが！


• SOCIAL MEDIA / ソーシャルメディア
  
  ここでも6位にアメックスが、8位にYammer


• CHINA / 中国
  
  4位にLenovo、7位BYD、アリババや華為など


• BRAZIL / ブラジル
  
  5位に大手航空機製造のエンブラエル


• BIOTECH / バイオテクノロジー
  
  GEが5位


• RETAIL / リテール(小売)
  
  7位にユニクロ(ファーストリテイリング)！

2社だけですが、日本勢も顔を出しています。間接的ではありますが、当社もまだまだ企業のイノベーションを人・組織の観点から十分に支援できるよう頑張らねばっ。

お読みいただきありがとうございます。

Be Disruptive!

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Fast Company関連記事としては、昨年末に以下のエントリも書いています。よろしければどうぞお読みください。

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