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それほど自信のない人のほうが、より成功する?

それほど自信のない人のほうが、より成功する?

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
本日は心理学系の話題を取り上げます。対象となるのは以下の2つの記事。


The Worse-Than-Average Effect: When You're Better Than You Think
平均以下効果: もし自分が思っているより自分がマシだった場合

http://www.spring.org.uk/2012/06/the-worse-than-average-effect-when-youre-better-than-you-think.php

そして、

Less-Confident People Are More Successful
それほど自信のない人のほうが、より成功する

http://blogs.hbr.org/cs/2012/07/less_confident_people_are_more_su.html


最初の記事で話題になっているのは、Worse-Than-Average Effect (もしくはBelow-Average Effect) で、ここでは「平均以下効果」と訳しました。さくっと検索した限りでは、日本語での適切な解説は見当たりません。英語のWikipediaには短い解説があります

記事中の定義では、

when you're good at something, you tend to assume that other people are good at it as well. So, when you're faced with a difficult task that you are good at, you underestimate your own ability.

もし自分が何かが得意だったとき、同様に他の人にとってもそれが得意だと思いこむ傾向があること。したがって、もし自分が得意な物事において難しいタスクにぶち当たってしまった時に、自分の能力を過小評価してしまう〔なぜなら他の人は得意に違いないから〕

というちょっと屈折した、というか、自分にそれほど自信を置いてないが故の傾向ですね。
(正直、自分はこの傾向があると思います。って、誰も聞いてませんね...)

この説を唱えているクルーガーという学者は、一般的にはダニング・クルーガー効果で知られています。「知識の少ない人間が、もっと知識の多い人々より自分の方が物事をよく知っていると思い込む」現象のこと(参照リンク)。

こちらは尊大な人(上記リンク先ではそれほど学習能力が高くないと出ているのに、自信だけは非常に高いアメリカ人)を取り上げていますが、「平均以下効果」のような逆パターンも存在するということ。

この「平均以下効果」がどのような時に顕著に見られるかというと、

People underestimate their ability at stereotypically difficult tasks like playing chess, telling jokes, juggling or computer programming.

人々は、チェスやギャグ、ジャグリングやプログラミングといった、ステレオタイプ的に難しいとされる能力について過小評価する傾向がある。

ということで、自分がある程度学習して出来るようになった能力は、自分でも出来たんだから誰でも追いつけるはずで、自分はそれほど大したことないはずだ、という思い込みですね。実は習熟するまでにはそれなりの時間を投資しているにも関わらず。

一方でそれほど複雑ではない簡単な内容については、先のダニング・クルーガー効果のほうが当てはまる確率が高いようです。

面白いのは、

older people tend to assume they are less attractive and athletic than other people their own age.

年をとった人は、自分と同じ年齢の他の人に比べて、より魅力が無くなり運動能力も落ちたと過小評価する傾向がある。

同じ年齢なのに!
でもなんとなく、同年代で比べた時に、あいつのほうが若々しい、モテてる/モテそうだ、髪が...など、羨むことが多いような気もしますね。


そのようなどうにも扱いの難しい「自信」の取り扱いですが、Harvard Business Reviewに載った2番目の記事では、自信のない人のほうが、より成功する、という説を唱えていて、このメディア上ではコメント欄が200近くに達して軽く炎上しています(笑)。

著者のTomas Chamorro-Premuzic氏によると、

self-confidence is only helpful when it's low.

自分への自信は低い時に限って助けになる。

とのこと。ただ、extremely low (極端に低すぎる) のはダメ、とのことで、その案配がどうにも難しいところなのですが。

先のクルーガーの「平均以下効果」が発揮されているような自信のない人のほうが、自信満々の人よりも成功する要因は、以下の3点にあるとのこと。

  1. Lower self-confidence makes you pay attention to negative feedback and be self-critical

    低い自信はネガティブなフィードバックへの傾聴を促し、自分自身に対して批判的になれる

  2. Lower self-confidence can motivate you to work harder and prepare more

    低い自信はさらなる勤労・勉強と、さらなる準備に向けたモチベーションを起こさせる

  3. Lower self-confidence reduces the chances of coming across as arrogant or being deluded

    低い自信は傲慢になったり勘違いしたりといった傾向を減らしてくれる


さて、そのような心理学的傾向を踏まえながら、人事のデータを見ていくことも、一つ参考になるのではないでしょうか。

360度評価(360度フィードバック、多面評価、多面観察、などいろいろな言い回しがありますね)を実施する際には、自己評価(認識)と他者評価(認識)を比較し、そのギャップに着目していくのが、最も適切やり方となりますが、

GAP.png

上記でいくと、

  • 自己/他者両方の評価が高い真正ハイ・パフォーマーはそのまま我が道を突き進んでいただく

  • 自己認識は低いが周りから認められている過小評価型ハイ・パフォーマーは、今回の「平均以下効果」が表れているので、謙虚さを保ちつつ他者への感受性などを高めてもらう

  • 自己認識は高いが他者評価が低い勘違い自意識過剰な方は、まさにダニング・クルーガー効果ですね。きちんとギャップを認識し、改善のためのアクションが必要に

  • 自己/他者両方の認識が低い方々は、うーん、こういう場合は「能力」だけでなく「意識」面も含めた底上げが必要になります


といった対策が必要になります。自分自身、そしてみなさんの周りの方は、どのような方が多いでしょうか。認識のギャップが成長の妨げになっていたりしていないでしょうか?


過小評価型ハイ・パフォーマーなみなさんへのメッセージが、最初の記事にありましたので、これで締めたいと思います。

The moral of the story is simple: sometimes we do ourselves down, especially when faced with a difficult task or when we have special skills. Under these circumstances we are better than we know.

このストーリーの格言はシンプルなものだ: 我々はよく落ち込むことがあるし、とりわけすごく難しいタスクに直面したり特別なスキルが必要になる時にはなおさらだ。でもこういった事態に遭遇した場合、自分が思っているよりかはちゃんと出来るはずだよ。

お読みいただきありがとうございます!


人材アセスメントに加え、360度評価/多面観察のお問合せが増えてきています。より人の評価に信頼性・客観性・納得性を求める傾向が強まっているように感じられます。
特に多面評価は、以前一度導入して失敗した、あるいは、検討はしているのだが運用が大変そうで躊躇している、というお話をよく伺います。
そのとおり、運用がキモです。準備から実施、その後の結果をフィードバックして次につなげていくフォローの部分まで、運用をいかに適切にやるかが成否を分けます。
当社の強みはこの運用部分の強みにあると思っています。


今回の「平均以下効果」の方をはじめ、自己の能力やコンピテンシーを正しく理解いただくには、アセスメントも有効ですね。


他者認識の低い方に向けては、例えばこういう方策もあります。


リンクをもう一つだけ。お待ちしております!