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数字がなくてもグラフを書ける時はある

数字がなくてもグラフを書ける時はある

開米 瑞浩

IT技術者経験をバックグラウンドに、技術系の専門的な情報を「分かりやすく書く」スキルの指導を得意とするドキュメント・コンサルタント。技術者向け文書作成研修経験多数。

当ブログ「技術屋のためのドキュメント相談所」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/doc-consul/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは。技術屋のためのドキュメント相談所・所長の開米です。

今日は久しぶりに晴れましたが、ツバメの写真は思うように撮れませんでした。そこで代わりに先日行って来た陸上自衛隊富士学校開校60周年記念行事の一コマです。

2014-0708-3.PNG
(陸自ヘリUH-1からの降下訓練中)

さて、今回は「<文章嫌いではすまされない! > エンジニアのための伝わる書き方講座」の中で取り上げた
下記の例文について考えてみます。

【課題テキスト】
近年、企業情報システムはより多様なデータを管理するようになりつつあり、保管期間も長期化しています。その背景にあるのは、新たな法規制や災害等の不測の事態への対応の必要性に加えて、現代のビジネス環境は本質的に変化が大きいという事実です。
そのようなデータ量の増大傾向に対応するために有効なのが高圧縮ストレージ・システムです。
(同書p.38)

要するに「データ量が増えてるから高圧縮ストレージが必要なんですよ」と言っていますね。

これに「なるほどそうか」と思ってもらうためには、「データ量が増えてる」という部分の説得力を高めたいですね。それにはどうしたらいいでしょうか?

「データ量が増えてる」という情報に説得力を持たせる手段は大まかに3つあります。

(A)増える理由を論理的に説明する
(B)増えた実績の数値を示す
(C)それらをビジュアル化する

このうち、原文には(A)の情報だけがあります。「多様なデータを管理する」や「保管期間の長期化」がその「増える理由」です。ただしこれらは定性的情報で、数字はありません。

過去5年間に平均年率30%ずつデータ量が増大しています

といった数字があればグラフを書けるので、(B)と(C)が一気に出来るのですが、これでは無理そうです。

・・・・・・と思って諦めるのは、まだ早い!!

実は、「数字がなくてもグラフを書ける場合」があります。

そもそもこの話の場合、「なるほど、データ量が大幅に増えつつあるんだな」という定性的な理解さえ得られればいいので、数字はなくても良いのです。そこでたとえばこんな絵を使ってみるのはいかがでしょうか。

2014-0708-1.PNG

これなら、サーバーが大型化し数も増えていることで「大幅に増えつつある」というイメージを持たせることが出来ます。その一方で、数字は出していないし過去と現在で違うアイコンを使っているので「4倍に増えたという意味か?」のような誤解もされにくい絵です。

単に言葉で「増大傾向」と書くのに比べて、こうした補助ビジュアルがあると印象が強くなります。

あと、もう一つの例としてこんな書き方も出来ますね。

2014-0708-2.PNG
(同書p.39より)

 これは「管理データの多様化」を縦軸に、「保管期間の長期化」を横軸にとって「データ量」を面積で表現することで、(A)と(C)を同時に表す図です。もちろんこれも定量的な数値があるわけではないので、具体的な量を示しているわけではないという注釈は必要ですが、「なるほど、そりゃ増えるよな」と直感的に理解してもらうにはこんな書き方もできるのです。

「数字がないからグラフは書けない」と早々に諦めずに、アバウトでもグラフ化できそうなところを探してみてください。それでわかりやすさ/説得力が増すことは少なくありません。

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今回の内容は、「<文章嫌いではすまされない! > エンジニアのための伝わる書き方講座」のp.38~39をもとにお届けしました。

<文章嫌いではすまされない! > エンジニアのための伝わる書き方講座
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