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【中国人に聞いた Vol.1】中国人の60%は『努力は報われない』と思っているって本当?
»2011年12月16日
海外リサーチから見えてくること -日本人と外国人-
【中国人に聞いた Vol.1】中国人の60%は『努力は報われない』と思っているって本当?
外国人をマーケティングリサーチのモニターとして提供する事業を展開後、新たなステージに突入する。
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■好景気の中国において驚き
先日、アサツーディ・ケイの意識調査で中国人の60%は、努力は報われないと考えているという結果が新聞に紹介されているのを見て少し驚いてしまった。景気な日本人はまだしも、好景気の中国人がそのように考えるのは少し意外な感じがしたからだ。日本人も大学生の半分くらいは、努力は報われないと考えているという調査結果があり、両国が似た傾向を示したことになる。しかし、なぜ中国人は好景気にも関わらず努力が報われないと考えるのか?
今回は、実際に中国人に聞いてみました。※インタビューした方のプロフィールは記事の一番下に記載
■自分よりも家族のために生きる
【質問】
この調査結果を見てどう感じますか?【回答】そもそも、「努力が報われる・報われない」ということを意識することがあまりないような気がします。中国人は「今の自分の家族があってこそであり、家族なしに今の自分はない」と強く思っています。これは私の知る限り、一般の日本人が考えている家族への想いよりも強いように感じます。だから、家族を本当に大切にするし、家族を大切にすることそれ自体が自己実現に近いような気がします。だから、自分自身の自己実現のために努力するというよりも家族が幸せになるために、家族が豊かになるために生きています。つまり、私が言いたいのは、家族への気持ちが非常に強いので努力が報われる・報われないとか関係ないということです。それだけ家族への気持ちが強いから努力が報われない世の中だろうが何だろうが努力はするんです。自分自身のための努力よりも、大切な家族のための努力の方が勝るのではないかと個人的には思います。確かに中国は努力が報われないと思います。このあたりのことは後程お話ししますが。だけど、そんなことはあまり関係ないし、大きな問題ではないと思っています。
中国人は、家族への気持ちが日本人と比べて強く、そのため、努力が報われるかどうかはあまり大きな問題ではないという。確かに、それだけ家族への想いが強いのであればそんなことは言ってはいられない。単純に家族のためにひたすら生きているということだろう。中国人の家族への想いの強さは日本人では想像がつかないレベルなのかもしれない。中国人がなりふり構わず突進し続けるのはそのような気持ちがあるのだとも思った。しかし、日本人は豊かになったからと言って幸せになれるもんじゃないということも考える。この辺りは、どのように考えているのだろうか?どうも努力の方向性が違うような気がする。
■家族のためにお金を稼ぐ:仕事は、お金を稼ぐ手段
【質問】では、次にその家族のためにする「仕事」に対する考え方についてお聞かせ下さい。お金を稼ぐためには、自分自身が成長することが私なんかは必要だと思ったりするんですが、いかがでしょうか?特に、日本では人間として成長している人こそが多くのお金を手にすると思われているところがあります。それに、人間的に成長することが家族が幸せになることにもつながると思うのですが。【回答】日本人は確かにそういう傾向はあると思います。でも、多くの中国人は、悪い言い方をするとお金は楽(らく)して稼げた方が良いに決まっていると考える傾向があります。家族も苦しい思いをするよりも、少ない労力で大金が入ってくるビジネスをする方を家族は好むんじゃないかなと思います。日本では、地道に努力して汗水流して働くことが美しいと考えるかもしれませんが、中国人にそのような考え方はあまりありません。基本的に仕事というものはお金を稼ぐ手段であって、それ以上の意識を持っている人は少ないと思います。だけど、そんな方法で成功できる人なんて殆どいませんけどね。
本来ビジネスにおいて、少ない労力で大きな成果を出すことは何ら間違っていない。多くの汗を流してほんのわずかの収入ではそれはもはやビジネスではない。本人は、汗水流して働くことに美しさを感じるが、それは汗水流すことで生きていけるという必須の条件がある場合のみだ。汗水流して朝から晩まで働いても生きていくお金がないのであれば、そんな価値観はいずれなくなってしまうのは間違いない。
中国人にとってお金を稼ぐことは家族を幸せにする一つの手段であるから、皆がみんな家族のためにお金持ちになりたいと思っている。でも日本では、地道に努力してやっとのことで成功する人を見ると喜ばしい気持ちになったりする。家族もそのような生き方を望む場合が多い。お金持ちになれ!と叱咤激励する家族を私は聞いたことがない。それに、ちょっとした運でお金持ちになった人を見ると少しはうらやましく感じるものだが、そうなりたいとは本気で思ったりはしない。どちらかと言うと、貧乏でも地道な努力を続けささやかな幸せがある人の方が好きだ。日本人は本当にお金儲けにマイナスイメージを持っているんだなと改めて思う。不景気になってそんな気持ちもなくなってきたような気がするけど。。。NHKドラマ「ハゲタカ」でこんなセリフがあったのを思い出しました。
きっと今まで日本人は、お金を稼ぐということにマイナスイメージを与えることで、平等と平和を保ってきたんだと思う。だけど、それが出来たのはみんながお金を平等に稼げていたから。今のように不景気になってみんなが平等にお金を稼ぐことが出来なくなった以上、「お金を稼ぐ=マイナスイメージ」という感覚は薄れていくだろう。だって、ささやかな幸せは欲しいけど貧乏は嫌だってことに気付き始めたから。お金を稼げなければ生きてはいけない。お金がなければ老後はもっと生きていけない。これは日本人が本当の意味で気付いていないようなことのような気がする。
逆に中国人は、お金を稼ぐことにストレートすぎるのではとも思った。少ない労力で大きな利益を上げようとするのはよいがそれだけでお金が入ってくるとはあまり思えない。他にも様々な要素が必要になってくるのだと個人的には思っている。
■中国は仕事でも自分中心
日本人ビジネスマンは取引先に対して自己紹介する時に会社名と所属先を先に言ってから名前を言うことから分かるように、会社を大事にしてることが伺えます。家族と同じぐらいに思ってる人は多いのではないでしょうか。これに対し、中国人は自分の名前を先に言う。会社名はいちいち言う習慣がない。そして家族が1番、その次に会社というふうに考えています。給料を上げるためには転職の手段しかないと考えている人が多く、職を転々とする人の多さからも分かると思います。
日本人は就職活動のころからこう言われ続ける。人生の中で最も時間を費やすのは仕事だ。だから、どんな仕事を選ぶのかは、どんな人生を生きるのかとほぼ同義だと。確かにそうだ。私もそう思っている。そのようにして日本人は仕事に就く。でも、日本人にどんな生き方をしているのかと聞いて答えられる人がどれだけいるのだろうか?長時間働いているのになぜどのような生き方をしているのか答えられないのだろうか?人生で最も時間を費やす仕事は、日本人にとって一体何なのだろうか?無理やり会社のやり方を自分の生き方に合わせてはいないだろうか?
中国人は違う。先に言ったように仕事は家族を幸せにし、そして豊かにするための手段だ。だから、少しでも良い待遇の仕事があればすぐに転職する。自分のやり方に合わなければ辞める。だって、そっちの方が家族が喜ぶから。よく転職ばかりするような生き方をバカにする日本人がいるが、中国人は何ら悪いことをしているわけではない。仕事に対しての考え方が違うだけだ。仕事に対する考え方がいまだ定まっていない日本人が言えた立場ではない。
きっと日本人は、自分自身を自制し組織全体を中心にして考える民族なのだ。みんなが自分を自制することによって平等と平和を獲得した。でも、その代り失っているものも多い。きっと中国人は、家族を中心とする民族なのだ。家族のために、一生懸命に働く。でも、組織のためには動かないから、平等ではないし日本ほど平和でもない。ただ、それだけだ。
何だか、努力が報われないと考えるのはなぜか?というテーマからだいぶずれてきてしまったが、中国人は、努力が報われないとかいう以前に根底にある考え方が日本人と異なることがお分かり頂けたと思う。中国人は努力が報われるとか報われないとかあまり関係がないところで生きているのだ。どんな方法を使っても家族を幸せにして豊かにするという日本人では考えられない程の気持ちの強さがあるだけだ。
逆に日本人は、何に努力すれば良いのかよくわかっていないのではないか?とさえ思える。自分を抑え無意識に会社の組織を自分よりも大切にし、貧乏でも地道に生きて小さな幸せがあればよいと考えている。誰かに言われてそうしているかのようだ。そのうちに、そもそも何に努力するべきなのかさえ忘れてしまったかのようだ。そんな声にならない声が聞こえてくるような気がする。
■ビジネスにおいて感情が大きな部分を占める
【質問】先ほど、「確かに中国は努力が報われない」と言っていましたが、具体的にはどのようなことでしょうか。【回答】中国独特の習慣から来てると思う事ですが、社会や社内の不公平によるものです。法律や取り締まり制度等がまだ完全に出来てない為、依然として賄賂が当たり前に存在するのはよく知られていると思います。そのため、日本のように成果を上げれば昇進するとかそういう部分があまり重視されていません。仕事が出来なくても権力のある人から気に入りられやすい人はどんどん昇進していきます。人間関係がうまくいかなければ成功はなしといっても過言ではないんです。また、何事にも感情が入ってくるので人間関係の築き上げが複雑で難しく、物事が理屈で公平に進められません。何でも感情に左右されてしまうことを知ってしまうと誰もが日本で言われているような努力は、する意味がないんです。法整備が整い、国民の公平意識が中国より高い日本では頑張れば頑張った分、報れるのが当たり前です。実際そうでなくても中国よりはるかに優れているのは間違いないと思います。少なくとも中国人の私からすればそう感じています。日本社会はいかに暮らしやすいものか私は10年の日本での暮らしから体で感じています。また、20年前までは国営企業が多かったから、頑張っても頑張らなくても同じ給料という考え方の影響、後遺症がまだ残っているように思う部分もあると思います。努力して成功してきた人が少ないために、どうやって楽に金儲けが出来るのかというふうに安易に考える人のほうがまだまだ多いのだと思います。
自分を自制して、地道に生きていくことはそれはそれで間違いないと思う。平和な国になり、多くの人が平等になるし、自制なくしてお金持ちにはなれないという側面もあると思う。でも、それが良い側面ばかりではないことはすでにお分かり頂いたかと思う。そういう一つの生き方でしかない。
また、自分を押し出してばかりでもダメだ。人は一人で生きているものではない。だから、人を大切にしなければ、自分自身も幸せになることなんてありえない。しかし、自分のやりたいことをやり、我慢しない生き方ではある。自ら自分の可能性を小さくしたりもしない。だから、お金も入ってくる可能性もある。それも一つの生き方でしかない。
日本人と中国人、違うけど、同じ。そんな気がしました。
【中国人プロフィール】男性:29歳高校卒業後、18歳で日本へ留学。卒業後、いったん日本企業に就職後、大学院に再入学。現在は、部品メーカー勤務。将来は、日本の「ものづくり」を中国にもたらしたいと考えている。
【対応可能調査(一部)】
【対応可能国籍(一部)】