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目指すのはWin-Win-Win
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こちらの事情を理解して、"頼れる存在"として成長した技術担当者を頼もしく思っていたのも束の間、その人はエリア変更に。引き継ぎはされなくても、今までと同様のサービスを期待したその気持ちは、あっさりと裏切られます。
リーマンショックの余波
覚えていらっしゃるでしょうか?リーマンショックで日本の製造業が大打撃を受けた時、ありとあらゆる経費の削減があったことを。今でも印象に残っているのは、ある自動車メーカーが保有していた複合機の中で、使わないものを一箇所にずらーーーっと並べた映像でした。(その会社では、460台あったコピー機のうち、本当に必要な60台を残し、400台削減したそう)
象徴的な企業だけではなく、日本のほとんどの企業が、コピー機の削減、コピー枚数の削減など、ありとあらゆる削減に取り組みました。それにより、複合機メーカーの業績は著しく悪化したようです。
影響を受けた複合機メーカーも対策を打たなければなりません。その中に、技術担当者の業務効率の見直しもあったようです。
以下は私の観察によるところですが、大きく分けて2つの改善を図ったと見ています。
1.エリア制の導入
あるエリアの中で、メンテナンスが必要な(故障があった?)会社の周辺に行く技術
担当者が、その周辺企業のメンテナンスに行く。
⇒連絡をもらうタイミングが、「今、近くにいるので伺ってもいいですか?」に増えた。
⇒担当者が毎回変わる。
⇒「あらためて連絡します」から「お戻りになったら連絡を下さい」に。
2.メンテナンス頻度の変更
従来は、毎月1回コピー機のクリーニングを兼ねて訪問。
現在は、3カ月に1度。
このような変更が、何らかの情報提供があってなされたのであれば、全く問題はありません。
しかし、ある時を境に急に対応が変わりました。私は、その点に組織としての問題を感じています。
原点が見失われているのでは?
どの会社でも企業理念に"顧客満足"を掲げ、その実現に向けて取り組んでます。私が利用している複合機メーカーでも、毎年1回顧客満足度アンケートを取るなど、努力をされています。
残念なのは、顧客の声を聞こうという姿勢があっても、自分達から情報を発信し、顧客に理解を得ようという姿勢がないことです。
技術担当者が毎月メンテナンスを行っていた理由ー本来は次のような理由があったはずです。
それは、機械を導入した後(営業担当者の手を離れた後)、唯一の顧客接点となる技術担当者が、毎月お客様の経営の状況(事業計画など)をお聞きしたり、様子を観察したりしながら、様々なサービスを提供するパイプ役を担うという役割があったのではないでしょうか。お客様のパートナーとなり、経営に役立つ情報を提供するための、コミュニケーターという役割です。
しかし会社は、彼らの本質的な価値を忘れ、単なる"修理屋"にしてしまっているようです。そのため、技術の指導はしても、お客様とのコミュニケーションの基本はマニュアルを渡して済ませてしまっているのです。その結果、マナーや身だしなみはもとより、会社の動向などお客様に必要な情報をお伝えする役割も疎かになってしまっているように思うのです。
カスタマー・オリエンテッド・エンジニア
以前関わった技術者研修に次のようなタイトルのものがありました。「カスタマー・オリエンテッド・エンジニア(お客様の真のパートナー)」
最初にこの研修が企画された時、まだ駆け出しだったころの私は、"技術者に営業をさせようという魂胆か"と、組織に対してうがったものの見方をしていました。
研修に参加した技術担当者の多くは最初は戸惑っていましたが、知識やスキルが身につき、自分がお客様の役に立てることが増えることが分かると、熱心に取り組まれていました。技術担当者の多くは、この新たな役割を真摯に受け止め、現場で展開していきました。すると、お客様にとっては、売り込みが目的ではない技術担当者には本音が伝えやすかったようで、お互いにとって良い結果につながっていったようです。
このことから、一人一人のキャリアも視野に入れ、価値を再考することで、担える役割があるだけでなく、本当の意味での顧客満足が実現できるということを知りました。組織が向く方向1つで、お客様が受ける印象と言うのは、大きく変わるものなのです。
今回このようなことを書きつづったのも、このブログをお読みの皆さんの会社で、似たようなことが起こっていたら、今一度一人一人の本当の価値について考えてほしいと思ったからです。きっと、お客さまにとって、個人にとって、組織にとってWin-Win-Winになるポイントがあるはずです。
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