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研修営業 初めて物語3~先進事例を収集する
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経営者が目指す、組織を"なくてはならない存在にする"という、方向性やテーマは見つかったものの、それを具体的にどのように形にしてよいのかが全くわかりません。しかし、あるお客様との会話から、糸口を掴みます。
現場の変化を捉える
生命保険会社時代に営業経験があるとはいえ、個人への営業と組織への営業は、全く異なっていました。正直なところ、最初はその違いすら分かっていませんでした。そのため、何度訪問しても提案のきっかけもつかめず、落ち込む日々が続きました。
しかし、ある時40代の女性の研修ご担当者様と話をしていて、気付いたことがありました。それは、ご担当者様も、上司や同世代からのリクエストされたことに対して、どのようにアプローチするのが適しているのかわからないことがあるということでした。
1995年頃、ある時から急に髪を明るい色に染める方や、通勤時の服装が、タンクトップ、ミニスカート、ミュール、ジーパンで出社する若手の女性社員が増えていました。当時の上位職は、"オフィスには相応しくない"とい感じて、問題視ししていました。しかし一方で、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントと受けとめられる懸念から、職場で注意しづらいという実態がありました。
そこで、そうした職場でのマナー上の問題について、「研修で何とかしてくれないか」という声が、その女性のご担当者様に寄せられるようになったのです。
今思えば、バブル崩壊から数年経っても回復の兆しがなく、誰もが"未曾有の危機"と枕詞に使っていた時代です。管理職は"プレイングマネージャー"と呼ばれ、ほとんどの方が業績を上げるためにプレイヤーに軸足を置いていました。そのため、職場でメンバーと人間関係を作る時間がなくなり、注意できなくなったことが、組織全体へと拡がったのです。この変化はあっという間でした。
先進事例を収集する
このようなケースに対し、先にご紹介した女性のご担当者様からのリクエストが私に仕事の仕方を教えるきっかけとなりました。それは、「リーディングカンパニーではどのような取り組みをされているのか、教えてほしい」ということだったのです。
普通で考えれば、「マナー研修の企画があったら持ってきてほしい」となりやすいのですが、その方は違う角度から考えようとされていました。"世の中に対して影響力のある会社がどのような取り組みをされているのか、まずはその情報を収集し、分析したい"と考えられたのです。
最初は、その意図が掴めず、マナーに関する情報を収集しようとアプローチしていましたが、しっかり調べていくと、それは表層的な話で、先進企業は次の2つの取り組みをしていました。
1:自社がどうあるべきかを再定義し、その定義に相応しい身だしなみやマナーの基準を明確にした
2:対象となる社員ではなく、経営者を含めた全社員に対して、身だしなみやマナーを実践するよう求めた
自社へのアプローチを考える
収集した情報をまとめ提供したところ、世の中の動向を踏まえて対応策が必要ではあるものの、その会社では問題がそこまで大きくなっていなかったので、該当する層を対象に別のアプローチを取ることになりました。
そのアプローチとは、「ビジネススキルアップ研修」というテーマを設定し、上司や先輩の補佐役として効果的に仕事を進めるための課題解決の方法と、ワンランク上の身だしなみ・立ち居振る舞いについて、講師から指導を行うことにしたのです。
解決しなければならない課題は、"マナー"でしたが、直接的にアプローチはしませんでした。しかし、結果はご担当者様が考えていた以上に効果があったとのご感想をいただくことができました。
実はこの仕事が、私が研修の営業に携わって半年以上たってから頂いた、初めての受注でした。
今でも初受注の嬉しかった気持ちとともに、ご担当者様から示唆いただいた、先進事例を収集し自社の課題と照らすアプローチ方法は、私の礎となっています。
この後も、お客様から教えていただきながら、仕事を進めて行く日が続きます。