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26歳での挫折が、30代を変えた

26歳での挫折が、30代を変えた

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

当ブログ「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/harada6stars/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


「あなたは今、新しい赴任地である○○支店にきている。本来の業務はX月X日からであるが、昨日行われた支店のイベントで、取引先に挨拶する必要があったため当地に赴いた。今日は土曜日で誰も出社していないが、赴任前に現状を把握しておきたいと考え出社したのだ。今から帰りの電車の予約時間に間に合うための10:30までの約2時間、デスクの未決箱に目を通し、出来る処理をしておこうと考えている。」

2011年の取り組みをご紹介する前に・・・

007のミッションを彷彿とさせる?(させないか 笑)冒頭の文章は、1995年に私が体験した、組織における管理能力を測るための診断"マネジメント・アセスメント"のインバスケットというツールの指示文書の一部です。(原文そのままではなく、私の記憶をたよりに書き起こしています)

昨日のブログで、今年の私(と私の会社 Six Stars)が"30代を元気にする"という取り組むことについて、「具体的にご紹介します!」と、宣言いたしましたが、その前にまず、"30代を元気にする"という考えに至った、私の原体験をご紹介させてください。

それは、私がまだ若く美しい(?)、26歳の頃にさかのぼります。

 

26歳の挫折

私が26歳で入社した人材育成のコンサルティング会社は、"マネジメント・アセスメント"という商品を主力としていました。マネジメント・アセスメントを詳しくご紹介すると、組織を通じて成果を上げる上で必要な、管理職としての能力の有無を測る研修です。具体的には、自己統制力、思考力、対人関係力 の側面を、会社ごとに必要な能力要素で細分化し、複数の演習を通じてその能力を評価します。評価にあたっては、複数の講師が関わり、客観的な観察と記録を元に行います。観察するポイントは、"具体的な行動(言動、文章表現など)として表れていたか"という、顕在化している能力に着目するのが特徴です。

マネジメント・アセスメントを導入する企業の目的は、昇進・昇格の基準とする場合と、将来マネジメントにあたる層の啓発です。いずれも、自分自身の能力の強弱を把握できるので、自己の能力開発課題が明確になります。

そのアセスメントの演習の1つに、インバスケット演習があります。インバスケット演習では、冒頭でご紹介した文書と一緒に、組織図や様々なデータと約20件ほどの案件課題が渡されます。それを一定時間で処理するよう指示されます。

インバスケット演習には様々な種類がありますが、私が体験した演習は、読み込むだけでかなりのボリュームがある文章を、2時間で処理しなければならないという結構タフなレベルのものでした。それもそのはずです。約10名ぐらいの組織を任せることができる、30代半ばの昇格対象者に合わせて提供していたものだったからです。

取り組んでみたものの、文章で使われている用語がわからない、何をどう読んでいいのかもわからない。唯一分かったのは、部下からあげられた"休暇の申請"に、どう返事をするか。

しかしそれも、業務の関連を考えると、難しい判断を迫られる内容のものでした。

2時間経過後、へとへとに疲れ、ペラペラになった私は、"30代になったら、この演習レベルの仕事が出来るようにならなければならないのか・・・"と感じ、自信を失くしました。

 

35歳になってわかったこと 

それから約10年後、ちょうど対象となる世代になってインバスケットに改めて取り組む機会がありました。そこで気付いたのは、意外にも出来るようになっていたことです。手も足も出なかった26の時とは全く違います。様々な影響も考え、判断で来ている自分に自分でも驚きました。

出来るようになった理由は、インバスケットにある資料やデータなどを、実務の中で意識して読み取るようにしてきたことが訓練となり、自分の力となっていたのです。

26歳で自分が出来ないことを知っていたおかげで、約10年後の35歳では、その年で求められる水準を満たせられるようになっていたのです。この経験が、30代の育成に力を注ぐ必要性を、強く感じるきっかけとなりました。

 

10年あれば、出来るようになる

この経験から私が学んだことは、"期待する水準を明示して、本人に自覚を持たせたうえで、時間と機会を与えれば、能力は開発できる"ということでした。自分がその年に求められることが予め分かっていれば、自分なりに計画を立てたり、同じ立場の人を観察したりして、吸収していくんですね。

26歳の頃、自分が起業するなんて全くイメージしていませんでしたが、30代に入り起業し何とかやっていけているのも、26歳での挫折経験があり、それ以降、無意識のうちにでも努力ができたことが大きかったと感じています。

このことからも、約10年スパンで育成を考えていくことは、有効だと考えています。

 

前置きが長くなりましたが・・・

こうした経験を1つのきっかけとしながら(他にも色々あるので、それはおいおいご紹介しています)"30代を元気にする"という志望や決意を持って取り組んでいます。そして、"環境づくりと支援"とお伝えしていた今年の具体的な取り組みは、

1.人の育成には、長期的な取り組みが不可欠であることの訴求

2.これからのマネジメント(あるいはリーダー)育成に必要なプログラムの開発と提供

3.そのための情報発信と交流の場として、『人材育成ご担当者様のためのワークショップ』の開催

に取り組んでいきます。

2.3.については、明日、少し詳しくご紹介させてください。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。