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学生時代、サボった授業のツケを、今払っている話
当ブログ「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/harada6stars/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
新しい年が始まりはや1週間。皆様いかがお過ごしでしょうか?私は、昨年夏にいただいたコメントへの対応をそのままにし、ブログを更新できず、気になったまま年を迎えました。
そこで今回は、そのコメントについて考えをまとめてみました。「勉強に関心がない」「理系科目が苦手」な人が身の回りに居る人のご参考になれば幸いです。
コメントは、8月に「とある地方の大学教員」という大学の先生からいただいた次の内容です。
果たして、学ぶことが自分の今後にどのように役に立つのかが見えないから、なのでしょうか?。よく中高生あたりが、学校の勉強が社会に出て何の役に立つのか、と言ったりしますよね。実は彼らは、勉強する目的を知りたいのではなく、勉強したくないのでしなくて済む理由を探しているだけだったりします(フェスティンガーの認知的不協和理論ですね)。大学生たちの目的はただ単位を取るため、そしてそのために出来るだけ楽をしたい。そう考えると、彼らの言動を説明できることが多々あります。
それから学生たちは、本質的なことを理解するのではなく、暗記と丸写しで済ませようとする傾向があります。丸暗記するな、理解しろ、と口を酸っぱくしているのですが、彼らの心には届きません。は受験勉強の弊害なのでしょうか。彼らにとっては数学でさえ暗記科目なのですから。
まぁ、私が相手しているのは大学生なので、原田さんが相手にしている社会人とは随分状況が異なると思います。私も企業で会社員相手に講習会をする機会がありますが、彼らは大学生とはモチベーションがまったく別物だと感じますね。
このコメントを読んだ私の率直な感想は、
「先生、本当にごめんなさい」
でした。
サボってばかりの学生時代
と言うのは、私は大学生の頃、正にこの先生のおっしゃるような学生だったからです。代返がきく授業は誰かに代返してもらい、代返がきかない授業は教室の隅に席を取り、内職したり睡眠学習をしていました。当時の私は「要領よくやる」とか「うまくやる」ことがカッコいいと、誤った価値観を持っていた時期でもありました。
決して勉強が嫌いだったわけではないのですが、自分が興味があることとないことがはっきりしていて、自分の興味のないことは「スルー」するような学生でした。
そのため、興味がもてない授業は「いかに出席しないで済むか」を考えることに、時間とエネルギーを割いていました。今考えれば、何とモッタイナイことをしていたのでしょう。
さて、このような学生生活を送り、現在企業の「人材育成」という仕事を通じて痛感していることは、「今受けたら、あの授業面白かったのかも・・・」ということです。
理系科目が苦手だった本当の理由
私が特にスルーした教科は理系科目で、数学、物理、化学など「自分で考えなければならない」教科でした。しかし当時の私は、その教科が「自分で考えなければいけない」という認識をしていませんでした。
というのは、小学校時代に中学受験準備で、とにかく短い時間で大量の答えを出す、量をこなすことが大事だと言われ、丸暗記する訓練をしてきたからです。そのような考え方を基にいくら問題にあたっても、算数や理科の成績は伸びません。すると、やっても伸びない算数と理科は、どんどんやる気がしなくなり、勉強時間も減ります。勉強時間が減れば更に成績も伸びず、いつしか「苦手科目」となりました。苦手意識は、中学以降払拭されることはなく、とにかく、逃げる、避ける科目でした。
営業成績の頭打ちにより、苦手な領域に取り組むことに・・・
そのような学生時代を経て社会人になり、人材育成の営業としてそこそこ成果を上げていた30代半ば。ある時急に成果が上がらなくなった時期がありました。その理由は、教育テーマのトレンドが変わり「論理思考」という考え方が重要視されるようになったためです。そのため私の会社でも、教育テーマの1つに「論理思考」を加える必要性が出てきました。その時に戸惑ったことがありました。それは、論理系のプログラムを提供する講師の先生方のほとんどが理系出身。自分には全くなかった思考パターンに接する必要性が出てきたからです。
その最たる先生の一人が、本誠ブログでも執筆中の開米瑞浩講師。
http://blogs.bizmakoto.jp/kaimai_mizuhiro/profile.html
開米講師の「情報構造化ー情報の読み解き」に出会った時は、私は「(私にとって)地獄の特訓だ」と思ったほどです。(今はプログラムが進化し、取り組みやすくなっています)
というのは、私は研修プログラムをご提供するにあたり、可能な限り自分でそのプログラムを体験し、自分の言葉で説明できるようにしています。そのため、開米講師のプログラムも体験したのですが、これがかなりキツイ。キツイ理由は、情報を構造化するためにロジックを組み立てる必要があるのですが、今まで「暗記」や「直感」に頼っていたので、そのロジックをどう作っていいのかがわからない。その上、「短い時間でさっと答えを出す」という習慣となっていたため、じっくり考えること、1つ1つ組み立てて検証することができないのです。
このことに気が付いたのが、36歳頃。今までは「スルー」で済ませられてきたものに、改めて向き合わなければならなくなった瞬間でした。
苦手なことも乗り越えたいと思った2つの理由
しかし、その時はこれをスルーしたらダメだ・・・と考えることができました。その理由の1つは、企業経営には戦略や論理などが不可欠であると認識していたからです。一時的な業績であれば、経営者やその事業のトップの感性で上げることが出来ますが、継続的に業績を上げるには、戦略や論理といった「筋道」が不可欠です。それは、企業の規模が大きくなればなるほど必要です。
その「筋道」を描くためには、考え抜くことや、1つ1つ組み立て検証する思考力といったものが必要です。それが出来なければ、お客様の方向性を一緒に考えるパートナーになれない。それでは私が目指す仕事が出来ない。そう考え、この時から、本来ならば小中高で鍛えることが出来たであろう思考の訓練に、積極的に取り組むようになったのでした。
まさか、一生やらなくても済むと思った理系的思考力をを、ビジネスの世界で求められることになるとは思ってもいませんでしたが・・・。
しかし、学生時代に「答えを出すプロセスを楽しむ」という考え方や、「時間をかけてもいい」ということを知っていれば、もっと理系分野の勉強も好きになることができたかもしれません。
と言うのは、このようなトレーニングをする最初の段階で、開米講師が
「脳の筋トレ」をしておけば、最初は時間がかかっても、どんどん筋力がついてきて、後は楽にできるようになるから。やればやるだけ力がつくわけです。
と言ってくれたからです。これにより、「時間がかかる」ことを肯定的に受け止めるきっかけを得ることが出来、このことが乗り越えたいと思う気持ちを強めてくれました。
実は私は、勉強が出来る人を見ると、サッと見て答えを出しているように見えていました。しかしその裏に「思考筋」があったのです。「思考筋を鍛える」ことであれば、コツコツ取り組めばよく、凡人にも出来そうでした。そう考えるようになってから、気持ちが楽になり取り組む気力が沸いたのです。これは私にとって、とても大きなことでした。
学生時代を振り返りながら、見えた事
長々と、私の経験をお伝えして参りましたが、お伝えしたかったことは、私のように間違った考え方を持ったままの学生さんも、多いのかもしれないということです。
・受験で点数を取るためには、大量の問題にあたり、「暗記」をすることが大事だと思い込んできた
・自分より頭のいい人を見ると、自分とは違うと感じてしまい、努力をしようと思わない。「思考筋」という考え方はない
・興味のない科目も、いずれ自分の人生で必要になるタイミングがくる(かもしれない)という考え方を知らない
今回の記事をまとめながら、勉強すること=いい点を取る事=「暗記」だと思っていたことに、私の失敗の全てが凝縮されているようにも思えてきました。「暗記」という呪縛を解くことが出来たら、もしかしたら、勉強への関心はもっと違ったものになるかもしれないですね。
以上となりますが、「とある地方の大学教員」様、コメントをいただき、ありがとうございます。書くとお伝えしていた記事が半年もかかり申し訳ありませんでした。「こんな学生もいる(かもしれない)」と思っていただけると嬉しいです。
また、違う着眼点をお持ちの方や、「学生時代は勉強しなかったけど、社会人になってから勉強しておけばよかったと思うようになった」というご経験をお持ちの方、よろしかったらコメントをお寄せください。
それでは、2014年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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