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お勧め上手の美人と、お勧め下手の美人に学ぶ

お勧め上手の美人と、お勧め下手の美人に学ぶ

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

当ブログ「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/harada6stars/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


自分の意見や提案がすんなり通るときもあれば、「考えておく」と言われたまま放置されてしまう。同じように対応しているはずなのに・・・ということはないでしょうか?
ビジネスは、放置されたままでは成果が上げられません。今回は、「考えておく」と言われたままになっている状態を抜け出すためのヒントを、私の体験談からご紹介します。

ある化粧品会社のお話。私はその会社の商品のファンです。そのため年数回、販売員さんに接する機会があります。その際、自分が買おうと思っていたものとは別に、お勧めされた商品をついつい欲しくなるときと、お勧めを受けながら「早くしてくれないかな」と感じるときがあります。なぜそのような違いが生まれるのでしょうか?

そこで、販売員さんの対応を分析してみることにしました。

美容部員Aさんの対応
Aさんは、スラッとした体型の面長の美人です。
商品を眺めている私に、「お探しのものをご用意しましょうか?」と声をかけます。そして、「ご体調はいかがですか?」「今回は、どんな感じにされたいですか?」など、私の状況や希望を聞きながら店内に誘導し、「こちらにおかけください」と席を用意してくれます。
私が必要な商品を伝えると、すばやく準備しながら「お待ちになっている間、最近出たこの商品のご案内をご覧ください。今回は、サンプルをご用意しておきましたので、お渡しする商品と一緒にお入れしておきますね。この商品は、先ほど原田様がご希望されていた、お顔色のトーンをあげてくれるものですので、是非使ってみてください。効果を実感いただけると思うので、楽しみにしてください」と言って、実に嬉しそうに対応してくれます。

そして私は、Aさんお勧めの商品を、すぐに使ってみたくなりました。使ってみると、Aさんが言った通り、確かに自分が求めていたものだと思ったので、数日後に、再度お店に行くことにしたのです。

美容部員Zさんの対応
お店に行くと、その日はAさんは不在。Zさんが対応してくれました。Zさんは、目鼻立ちのはっきりした、モデルさんのような印象の美人です。
Zさんは「今日は何をお探しですか?」と声をかけてくれます。
「以前いただいたサンプルの商品がいただきたいのですが・・・」と伝えると、「わかりました。少々おかけになってお待ち下さい」と席へ案内。そして、名前を確認した上で私の購買履歴を見ながら「こちらの商品だったようですね。お試しになりますか?」と言いつつ準備。お願いすると、手際よく対応してくださった上で「いかがでしょうか?」と一言。
「こちらでお願いします」と伝えると、「こちらはシリーズになっておりまして、この商品を組み合わせて使っていただくと、さらに効果が高められます。ご一緒にいかがでしょうか」と言って、商品を見せてくれます。
私は、内心は(良さそうだな・・・)と思ったものの「考えておきます」と伝えました。
すると「では、サンプルをお入れしておくので、よろしければお試しください」と言い、サンプルを入れてくださったのでした。

そして私は、サンプルをいただいたものの「旅行用に取っておこう」と思い、すぐに使うことはありませんでした。

なぜ、気持ちの違いが生まれたか?
この経験から私は、自分がなぜ、Aさんのお勧めには反応し、Zさんのお勧めには反応しにくかったのかを考えました。

するとそこには、根本的な違いがありました。それは、
・Aさんは、私のことを理解し、対応してくれた
・Zさんは、私が言ったことを理解し、対応してくれた
ということです。

同じ会社で、同じ商品を扱っている美容部員のお二人ですが、ほんの10分前後のコミュニケーションの中で、対応される側は、このような違いを感じ取るんだと気づいたのでした。

職場で「考えておく」と言われた状態を脱出するには?
営業を対象にした研修や、販売員を対象にした研修ではよく「商品ではなく、自分を売れ」といいます。その言葉の背景には、「相手に関心を持つこと」や「思いやりをもって接すること」という意図が含まれています。

「相手への関心」や「思いやり」を表現できていたかどうかでみると、AさんとZさんの対応の違いが、より明確になるのではないでしょうか。

さて、このようなことは、販売現場だけの話ではありません。
上司から依頼されたこと、お客様から依頼されたことでありながら、あまり進展しないことはよくあります。しかし、状況が進展しないのは何か理由があるはずです。

そうした状況の時、相手に関心を持つことや、思いやることが出来ていたかどうかを振り返ってみると、何かが不足していることが多いようです。

もし、「そういえばあの件、進展してなかったな・・・」と、思い当たることがあれば、相手の背景や、相手のご希望など、もう少しコミュニケーションをとって掘り下げてみると、突破口が見つかるかもしれません。

かくいう私も、少々停滞気味の案件があり、その理由がわからないでおりました。それもそのはず、ご提案先とのコミュニケーションが不足していたことに、AさんとZさんの違いを考えることで、気づいたところです。人間「成果」を追い過ぎると、大事なことを見失ってしまいます。なので是非、気をつけてくださいね。

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