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日常のちょっとした変化が「企画」の入口

日常のちょっとした変化が「企画」の入口

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

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 今朝(2015年2月19日)電車に乗ると「あれ?いつもと違う」という感覚が。その違和感の正体は、セブンイレブンの広告。英語、中国語、韓国語でかかれた「日本円への交換は、セブンイレブンへ」という案内文。(そうか、今日から春節で、中国からの観光のお客様が増えるのか・・・)今まで、それほど春節を意識したことはありませんでしたが、この広告で、あらためて春節が日本にとっても大きなイベントに加わったことを感じました。

 今日の話に似た、1年前のある出来事。毎年GWの頃に石川県の温泉に通っていますが、昨年(2014年)訪れたとき、ロビーに溢れていたのは、アジアからの観光目的でのお客様らしき人たち。仲居さんが「ここ1年ぐらい急に増えてるんですよ。露天付の1泊10万円以上のお部屋には、20代ぐらいのカップルの宿泊が多いです。皆さん、お金をよく使う。あとは、バスでお越しの方は、ドラッグストアに行って1家族1万円ぐらいはお買い物をされる。薬とかストッキングみたいなものをよく買われるようで、手にいっぱい荷物を持っていかれますよ。あと、時間はちょっとあてにならなくて、15分~20分遅れてこられるんです。なので、入口で大型バスの停車時間が長くなるので、ご迷惑をおかけして申し訳ないです」といった話をお聞きしたことがありました。

「定点観測」
 
定期的に同じところを観察し、その変化を捉えることを「定点観測」と言います。様々な分野で行われていますが、小売やサービス業などでは、定期的に街やお店に足を運び、人の流れや動き、どんな人が増えたり減ったりしているのかなどを捉え、店舗の運営に活かすために使われる手法です。毎日、同じ時間、同じ場所を通る通勤は、定点観測に適した状況かもしれません。
 定点観測で大事なことは、1つ1つのケースを「アジアからの観光が増えてるんだな」といった事象を捉えて終わりにしないこと。その背景となっていることに結び付けて考えていくことです。例えば、「2020年を目標に訪日客2000万人を目指す」という国を挙げての目標や類似した情報に意識を向ける。そして、その情報を組み合わせながら「新たな価値を生めないか?」と思考し続けることです。

定点観測結果と客観的データとつなげて見る
 
しかし、定点観測だけでは、個人の主観や「たまたまその状況が重なっただけ」ということもありえます。そこで活用するのが客観的データです。
 例えば、先に挙げた海外からの観光客であれば、百貨店やテーマパークなどとのリンクが考えられます。そうした業界の業績を見てみると、数年前には「経営危機」を伝えられていた企業も、ここ最近発表されるデータでは、業績好調が伝えられています。
 そこで、業績のよい百貨店の動向を調べてみると、数年前から各国言語の対応を進め、サービスを強化しています。さらに、先日のニュースでは、春節で来日されるお客様向けの「福袋」や各国の生活様式にあった品揃えを強化するなど積極的な取り組みを進めているとのこと。特に、免税範囲の拡大と円安効果が見込まれ、今期は更なる売り上げ拡大を狙っています。
 また、テーマパークでも似た傾向がうかがえます。例えば、サンリオピューロランドは、海外からの観光客の割合が10%を超えたと報道されていました。他施設の具体的なデータは公開されていませんが、同程度以上と見込んでも大きくは外れないでしょう。

テーマを持つと、違う分野の情報も入りやすくなる
 
「海外からの観光客に対するサービス」。こんなテーマでモノを見始めると、直接接する業界以外の分野の情報も自然と目につくようになります。例えば今朝(2015年2月19日の日経新聞朝刊には「訪日客に道案内/映像・音声伝送」という記事が。

『NTTは18日、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年を目指して開発中の新技術を報道陣に公開した。高精度な物体検出技術を活用した訪日外国人の移動支援サービスや、大人数が遠隔地で試合を観戦するパブリックビューイングへの応用を想定した映像・音声技術などが柱。外部企業とも連携し、実用化に向けた取り組みを加速する』

 具体的には、道案内の表示を撮影すると、それが英語に自動的に変換され、目的地まで案内してくれたり、店舗の外観を撮影すると、そのお店の情報が表示されるサービスなどに展開されるそう。
 例えば飲食店などで、英語版の「食べログ」のような情報やそこで使っている食材(アレルギー)表示、待ち時間案内など、様々な用途が考えられます。仮に、こうしたサービスが実現すると、お店側はどんな対応をしておく必要があるだろうか・・・など、考えていくと面白いものです。

たくさんのチャンスが生まれつつある
 
このように、日常のちょっとした変化をとらえると、今後のビジネスにつながる情報は無限にあります。そうした情報にコツコツとアクセスし蓄積しておくことで「企画」につながる可能性が出てきます。
 さらに、2020年の東京オリンピック開催までの期間は、多くの地域や企業で今までにない「魅力」を打ち出すために、「新しいこと」に積極的に取り組むタイミングです。同時に、2025年の超高齢化社会を視野に入れた取り組みも進んでいくことでしょう。いずれにしろ、これから数年は、たくさんのチャンスが生まれる時期です。ここで、「何かに取り組んでみよう」と思い何かを始めるか、「言われたことだけやっとこう」と思うかで、ずいぶん差がついていきます。

 「何かに取り組んでみるのも面白そうだ」と思えれば、次の取り組みは自分に合った「企画」のテーマや進め方を見つけること。次回以降では、様々な「企画の進め方」をご紹介していきます。

[参考情報]
 2015年1月19日配信 日本百貨店協会
2014年12月の外国人観光客売上・来店動向【速報】欄参照http://www.depart.or.jp/common_press_release/list/1

2015年2月17日配信 日本経済新聞
テーマパーク・遊園地の14年売上高、初の6000億円超えhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HP5_X10C15A2EA2000/

 2014年12月6日配信 アイティメディア
サンリオピューロランド、訪日外国人観光客への消費税免税サービスを開始http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1412/06/news001.html

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