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不安なことを伝えられれば、安心感が得られ、いざという時に身体が動く
ひといくNow! -人材育成の今とこれから-
不安なことを伝えられれば、安心感が得られ、いざという時に身体が動く
HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。
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4月に入り、社会では新年度、学校では新学期を迎えています。プロ野球も開幕し、一歩一歩前を向いて歩き始めている実感があります。そんな矢先に、大きめの地震が頻発し、原子力発電所の事故評価のレベルが引き上げられました。いい方向で進んで欲しいという希望を持ちたい一方で、"これからどうなるの?"という不安をお持ちの方も多いでしょう。今日は、今できることに取り組むことで、不安の軽減につながるヒントをご紹介します。
意外と決まっていない、地震時と事後の対応
3月11日の地震後に、ある会社で月に1回行っている業務改善の研修で、次のような意見が出ました。それは、「地震が起きた時の対応が具体的に決まっていない」ということでした。例えばそれは、"建物の中が安全なのか?、建物の外が安全なのか?"といった基本的なことからです。毎年、最低1回は防災訓練を行っているものの、それは"火災"の想定で、しかも①防災ベルが鳴るか?②避難経路は確保できているか?③消火器の使い方などの確認までであったーということでした。
しかし、今回のような震災を経験し、(1)地震が起きた時にすること、(2)地震が起きた後ですること、(3)地震後に業務に影響がある場合にすること、などが不明確であること、また、役割分担もできていなことについて、見直しが必要なのではないかという意見が出ました。
その意見を聞いた時に、自分の会社も含めて、確かにそうだな・・・と思いました。
企業では、安否確認などを仕組み化し、社員の無事を確認するといったことは出来ていますが、実際に震災などが起こり、停電になり、携帯電話も不通、情報が入ってこない、交通機関も麻痺した状態が継続する状態まで想定しているかというと、そこまでできているところは少ないのではないでしょうか?
まして、今回のように沿岸部が震源となり、津波などが発生すると、海だけでなく、川も危険になります。(横浜の神奈川区のある川では、普段は数㎝の水かさがの川が、地震後に増水し1mになっていました。その川がそんなに増水するなんて、考えたこともありませんでした)
気づいたこと、不安に思ったことなどを伝える場をもとう
研修でこのような意見を聞いた後、職場で"今回の震災から気づいたことや不安に思っていること"など感じていることを伝える場を持つこと、まずはそれが大事なのではないかと思いました。
今までの地震は、一度大きな地震が起きると、その後で起きる地震は規模が小さくなり、収束していくことが一般的でした。そのため、こうした話し合いをする間もないまま、のど元過ぎれば・・・となっていました。しかし今回は、気象庁でも「半年ほど続く可能性がある」ことを示唆しています。
小さな地震で収まってくれていればよいですが、比較的規模の大きな地震が頻発すると、色々な影響が出る可能性も、あります。
一人一人が気づいたことや感じていることを情報交換しておけば、リスクに気づくことができ、対応策についても検討できるかもしれません。そうすれば、何かが起こっても"想定できていた"ことになるので、機転が利いたり、落ち着いて対応することができます。
それをしているか、していないかは、大きな違いになることでしょう。
伝える場を持つことの、心理的効果
日本人のメンタリティとして、"ネガティブな話は避ける"傾向があります。言葉を大切にする日本の文化という側面と、イメージすると、"悪いことが本当に起こるような気がして怖い"という感覚を持っているからかもしれません。
しかし、不安や心配に思っていることを、誰かに聞いてもらうことができたとき、ほっとした経験はないでしょうか?更に、似たようなことを感じていた人が「やっぱり?」とか、「私も同じ」といったように、共感してもらえたとき"言ってよかった"ということもあるでしょう。
不安や心配に思っていることは、話すことで気が楽になります。また、気が楽になった上で、具体的な対応方法を考えることができれば、そのことが起こっても大丈夫という安心感が生まれます。
安心できていれば、何かが起きたときも、心に余裕をもって行動することができるでしょう。
研修などでお会いする人にお話を聞いてみると、意外にも身近な人たち(家族も含めて)には"心配させたくない"という気持ちから、自分が抱えている不安や心配事についてはほとんど伝えていないとお聞きします。
このブログをご覧の方が、ちょっと自分の気持ちを伝えていただければ、似たようなことを思ったり感じていたりする人が、話しやすくなるかもしれません。その際に、たとえそれが今までであれば"とんでも話"の部類の話であったとしても、"そういうこともあるかもね"と聞いた上で、その情報の元や根拠などをお互いに確認するようにしていけば、建設的な対応ができることでしょう。
新年度、新学期に加え、震災後の対応で忙しい時期だと思いますが、ちょっとだけ時間を作って、話す場を持ってみてはいかがでしょうか?大きな効果があるかもしれませんよ。