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微差は大差ー「あいさつ」

微差は大差ー「あいさつ」

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

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技術者を派遣する企業のご担当者様から、「マナーを見直したい」というご依頼をいただいたことがありました。その会社は技術力の高さで非常に評価されている会社です。しかし、顧客満足度調査の結果で、マナー面が普通よりやや劣る結果だったとのこと。そこで、再度マナーを確認するため、ご相談をいただいたのでした。

企画段階では「マナーなんて、参加する方にとっては今さら・・・という気持ちだろう」という風に想定していました。そのため、「マナー」という言葉を使わずに「ビジネスコミュニケーション」というタイトルにしました。そして管理職も含め、研修実施。

入室時の様子は案の定、皆さん暗い面持ちです。しかし、研修を進めるにしたがって、徐々に表情がイキイキとしはじめることに。その様子には、こちらの方が驚きました。

無表情な技術者の本音

あまりにも雰囲気が変わったので、参加者の皆さんにお話を伺ってみると、「こういう研修を受けたことがなかったので、ありがたい」「知っているようで、知らないことが多い」「誰かに聞きたくても、今さら聞けなくて困っていた」「あらためて確認することで、自信を持てる」という声が聞こえてきたのです。

そうなのです。「今さらマナーなんて」というのは、こちらの思い込に過ぎず「知らなかった」或いは「自信が持てていなかった」のです。

また、管理職に伺うと「身だしなみや挨拶の仕方などは社内で明確な基準がなかったため、指導しにくかった」というご意見も。

なるほど、皆さんこちらが思っている以上に「困っていた」ようです。

現場の変化

研修実施後、しばらくしてからその後のご様子をうかがいに行くと、次のような変化が現場にあったと教えていただきました。

1.派遣先の管理職や担当者からよく声をかけてもらえるようになった(それまでは、朝来て夜帰るまで話さないことも)

2.クレームが減った(話かけやすくなったことにより、ちょっとしたことを相互に伝えられるようになった)

3.技術者の雰囲気が明るくなった(今までは無表情だったのが、コミュニケーションが増えたことにより、自ずと会話をするようになった)

引き上げ湯葉効果を生むためのワンポイント

実は、現場が変化したのは理由があります。講師が「挨拶」を指導する際に、次のようなことを意識的に行っていたからです。それは、「挨拶をするときは、相手の近くに行き、目を合わせてから「おはようございます」、或いは「ありがとうございます」、「それでは今日は失礼します」を伝え、一礼する」ということを場面を変えて繰り返し伝え、できるようになるまでトレーニングしたのでした。

「ビジネスコミュニケーション」は範囲が広く、敬語、話の仕方、聞き方など、様々な要素があります。しかし、仕事の中で最も頻度が高い場面を取り上げ、そこでの具体的な言動を明確に伝え、実践してもらうことで、相手からの反応が得られます。

相手からの反応が得られれば、自分でも手ごたえを感じられるため、結果として身に付きます。良い反応が得られると、モチベーションが高まるので、その他のコミュニケーションスキルについても、徐々に取り組むようになります。ここが引き上げ湯葉効果です。

本ケースは、毎日繰り返すこととその「質」に着目し取り組んだことで、「差」が生まれた好例です。「あいさつ」でコミュニケーションが取りやすくなったことで、仕事そのものの評価が高まることにつながったことも付け加えておきます。

次回は、「電話応対」で成果をあげた事例をご紹介します。

本ブログは、職場で20代(若手)を育てたい方ののために、どなたでも、5分でできる人材育成のヒントをご紹介しています。