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「相手の立場に立って考える」のは難しいから
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私たちはよく「お客様の立場に立って考えろ」と言われます。とはいうものの、それが出来ている人はそう多くはないという現実があります。それは一体なぜなのでしょうか?
例えば私の場合は、以前、ある複合機メーカーの営業担当者から
「急なんですが、30分でいいのでお時間をください」
という連絡をもらったことがありました。(その会社は「お客様の立場に立って考えること」を重要視し取り組んでいる会社です。)
私はその電話を受けた時点で(月末ぎりぎりだから、今月の売上がきついんだろうな。あと1年でリースが切れる時期が近付いてるから、新しい機種をお勧めされるんだろうな・・・)と察しました。
ということで、次のような選択肢を自分の中で用意していました。
A:コストも抑えられるはずなので、再リースする
B:業務品質を高められる機能が付加されて、今よりさほどコストが上がらないようであれば、検討する
そこに営業担当者がやってきました。そして話し始めて数分で、出た一言は
「お願いです。買ってください」
でした。
さすがの私も、ここまでストレートなアプローチにびっくりし、愕然としました。
「お客様の状況を知り、それに合った提案をする」
ということを、営業担当者は知っているはずなのに、なぜそれができないのか。こちらの方が情けなくなる思いでした。
そのような営業担当者の様子から、なぜそのような対応になっているのかを考えてみました。そして、2つの理由に思い至りました。
1つは「指導されていない」ということ。上司(もしくは先輩)は、知識を伝えてあるんだから、そんなことは当たり前だと思っている。けれども彼は、「知って」はいても「出来ていない」。それを上司(もしくは先輩)は確認していない。その確認がない上で、成果は問う。きっとその問い方は、彼を気持ちの面で追いつめているのでしょう。彼は、自分のお客様へのアプローチが間違っていることに気づく余裕のないまま、私にしているのと同じように訪問し、「数」をこなすことが大事だと考えていました。
もう1つは、その営業担当者自身の「問題意識がない」ということ。私は、その営業担当者には、最初に会った頃に、Six Starsの業務特性、目指すサービスの品質、クライアント企業が求める品質、その中におけるドキュメントの位置づけや重要性などを伝えていました。営業担当者にとっては提案のヒントとなる情報です。
このような面から提案できるかどうかは、日常的な問題意識の持ち方に起因しています。問題意識がないと、「コスト」、「時間」、「スペース」など、どこの会社でも言われる、表層的な問題を提案の要素に掲げることになり、結果として、競合との差異がなくなり価格競争になります。
もし営業担当者自身に問題意識があれば、「ミッション」、「価値観」、「質」の面から情報を集め、付加価値を相手(この場合は私)が認識できるように提案することができます。
ただ、この「ミッション」、「価値観」、「質」などの面は、自分がそこに「問題意識」やある種の「こだわり」を持っていないと、気づくことが出来ません。そのため、前回の記事でお伝えしたように、意識的に「自分」であったり、自分以外で観察をしたり話を聞きやすい「上司」、「後輩(部下)」の「価値観」に関わる、「第二領域」に意識を向けることが必要になってくるのです。そのため、前回の記事をご紹介したのでした。
次回は、別の角度から「第二領域」の重要性をご紹介します。