誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
講演会・セミナー参加で、何を得ているのか?-講演者編
当ブログ「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/harada6stars/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
前回の記事で、自分やお客様の業績アップにつなげるために、視点や視野の拡大を目的とした、いくつかの取り組みをしていることをご紹介しました。そこで今回は、その1つである「業界をリードする経営者や専門家の講演会やセミナーなどに参加する」という取り組みで、どのようなことにメリットを感じているか、また、それが実際のビジネスにどのように役立っているかをご紹介します。
講演会やセミナーなどに参加する時、私は大きく分けて3つの要素に意識を向けています。その3つとは、話し手である「講演者」、その場に集まった「参加者」、その講演会やセミナーを企画し運営する「運営者」です。それでは、それぞれの要素について1つずつご紹介します。
1.講演者からメリットを得る
業界をリードするような影響力のある講演者から得られるもので、最も有益なのは講演者が伝える「情報」です。やはり、講演者が置かれている立場や環境で様々な経験をされており、多方面のネットワークをお持ちですので、その情報そのものに価値があります。聞き手となる私たちの視点を高めたり、視野を拡大するには近道と言えます。
またその情報は、そのままビジネスにも活用できます。
その1つとして、私の場合は、お客様とのコミュニケーションに役立てています。
例えば、お客様のビジネスに影響力がある人の講演を聞きに行くと、その講演会後、「先日〇〇の講演会で、〇〇さんが業界動向を次のように話されていました。そして、各社で必要な取り組みはこのような方向だとおっしゃっていました。聞いていらっしゃった方の反応は〇〇でした」と伝えてみます。そこで、お客様がその話に関心を示されれば、要点をまとめた資料を差し上げます。すると、それだけでお客様のお役に立つことができます。
或いは、お客様が読んでいらっしゃる本などから、「先日、この方のお話をお聞きして」とお伝えすれば、会話も弾みます。
しかし「情報」だけでは、講演会以外の媒体から得ることも可能です。(講演会の場合は、情報が早かったり、その時にしか語られないこともあるあので、それもメリットの1つではありますが)
そこでもう1つの側面として、自分自身のスキルアップにつながる面をあげます。一般的には「プレゼンテーション能力」と言われる「立ち居振る舞い」、「話し方」、「話の組み立て方」などの面です。
私の印象では、伝わる話しをされる人ほど、一般の人でも真似しやすい、基礎的な話の枠組みで話をされるという傾向を感じます。
例えば、ある大手電機メーカーの経営者が、厳しい環境下にある地域の中小企業経営者や自社の取引先企業経営者、数百人を対象に、問題提起とこれからの取り組みの方向性について話された講演会でのことです。
その経営者は、いわゆる「オーラ」のようなものが発せられているタイプではなく、恐らく会場で聴衆と同じ席に座っていたら、誰も気づかない普通のおじさんというタイプでした。
しかし、その経営者が話をはじめて数分後には、聞き手はその人の話に引き込まれ、危機感や一体感が生まれていました。
さて、その方はどのように話されたでしょうか?
実は、次の8つの組み立てで話をされていました。
1.イントロ:身近な話(提起したい問題につながるような)
2.問題提起:世の中の動向(全体的な傾向を裏付ける)
3.方向性の提起:私たちのあるべき方向性(夢が描けるように)
4.現状:業界及び自社における厳しい現実を裏付けるデータ
5.対応策の示唆:今後の取り組みの方向性(具体性があり、絞り込んで)
6.ご自身の決意:「私は、このような局面を変えるために〇〇に取り組み始めている」
7.聴き手への賛同依頼:「是非、力を貸してほしい」というシンプルなメッセージ
8.方向性の再確認
何も、特別な組み立てではないですよね。私たちが日頃行っている「提案」と似ています。
このようなことであれば、すぐに仕事に取り入れられそうではないでしょうか?
なお、話し手がこのような組み立てで話をする理由を考えてみると、そこからも得ることができます。
この場合は、人の気持ちに働きかけ、動かさなければならないという局面でした。そこで、伝えたこととそれに対する聞き手の反応を、相手の表情やリアクション(うなずき、メモを取る、居眠りなど)から読み取っていたのです。組み立てをしたうえで、反応に応じて話の内容をアレンジすることで、効果を生んでいたのです。
(この講演者の方がそのような意図があったかはわかりませんが、組み立てをしておくと、対象や内容が変わっても、データや挿入する話を見直すことで、多くの場面に対応しやすくなります)
ご紹介した話の組み立ては一例です。上記以外にも様々な組み立てがあるので、ご自身のビジネスのスタイルや場面に合った組み立てをみつけるのも、面白いかもしれません。
さてここまでは、良い面でのメリットでしたが、反対の面ももちろんあります。業界に影響力がある講演者の話でも、お話が下手だったり、内容が薄いこともあるからです。その際は、なぜお話が下手なのか、なぜ内容が薄くなってしまっているのかを考えることも、得るものにつながります。
今回は、「業界をリードする経営者や専門家の講演会やセミナーなどに参加する」ことで、「講演者」から得られるメリットの例をご紹介しました。次回は「参加者」から得られるものをご紹介します。