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「そうは言っても・・・」ある管理職の悩み

「そうは言っても・・・」ある管理職の悩み

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

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先日行ったマネジメント研修でのこと、キックオフとなる研修終了後の懇親会の席で、管理職がつぶやいたヒトコト。それは、

「そうは言っても、おれたちあと10年だし・・・」

昔の私だったら、"今日1日は一体何のためだったのだ!?"と、悲しくなり、気絶しそうになるほどの勢いで憤ったことでしょう。しかし、最近ではこのような言葉を聞くと、ラッキー♪と思うようになりました。

 

管理職世代が育った環境

さて、現在40代半ばの管理職層が就職した時期からの有効求人倍率と、その時代に起こったTOPICSをまとめてみました。TOPICSは、私の記憶に強く印象付けられているものなので、偏りがあることはご容赦ください。

 年 有効求人倍率 TOPICS 

1985年 0.68  男女雇用機会均等法成立 /日経平均株価 2万円突破・国鉄民営化(87年)/消費税導入(88年)

1990年 1.40  東西ドイツ統一/センター試験実施/湾岸戦争(91年)/EU発足(93年)/Jリーグ開幕(93年)                       

1995年 0.63  阪神淡路大震災/Windows95発売/金融ビッグバン(96年~)/山一證券自主廃業(97年)

2000年 0.59  アメリカ同時多発テロ(01年)/日経平均株価 最安値7,603円(03年)/新潟県中越地震(04年)

2005年 0.95  日本の人口が戦後初めて減少/ライブドアショック(06年)/食品メーカーの偽装事件発覚(07年)

2009年 0.47  オバマ大統領就任/民主党政権発足

(※有効求人倍率(全国)e-Stat:政府統計の総合窓口より、TOPICSは、Wikipediaを参照)

 

価値観が覆された時代-自分を支えるものが見えなくなる

現在の管理職が20代~30代だった時代を辿ってみると、仕事の進め方(IT化、グローバル化)、雇用のあり方、お金の流れ全てにおいて大きな変化が生じた時代です。その時代に彼らが求められた役割は、起こった出来事に対する処理が中心だったといえます。何かが起こるとそれに対応する。常にその繰り返しでした。

また、好況と不況を繰り返す中で、価値観も激変しています。バブル~ライブドアショックが起こるまでの期間(管理職世代で言うと20代~30代後半)、多くの人を支配していた仕事に対する価値観は、「お金」「地位」でした。しかし、ライブドアショック以降、「お金」「地位」よりも仕事に対する「やりがい」「働きがい」「意味・意義」を求める傾向が強くなっています。

 

「働く上での考え方・価値観に関する調査」2007年12月5日5049人の意識調査結果

上記を裏づける調査結果がないかを探していたところ、従業員満足などの調査をされている株式会社マネジメントベースで実施した調査結果がありました。

調査は、20代~60代で民間企業・官庁・各種法人で働く人を対象にしています。働く上でどのようなことが大事かを調査したところ、全体の結果としては、大きな仕事をすること(28%)、こつこつ仕事をすること(17%)、顧客・世の中・組織発展のため(16%)、報酬(14%)、スキルアップ(14%)、私生活優先(12%)となっていました。

年代別にみると、最も高いのは、「大きな仕事」で共通していますが、2位以下の項目にバラつきがあります。60代、50代が「報酬」であることに対し、40代は「こつこつ」、30代、20代は、全ての項目が14%~15%と似通っています。

調査結果は下記をご覧ください。

http://www.m-base.jp/news/20071205

 

自分を支えるものが見えなくなり、一緒に働く仲間の価値観もわからなくなった今、管理職が「あと10年」と思う気持ちもわかります。特に昨日ご紹介した「マネジメントの役割」は、彼らにとっては重荷に感じるでしょう。

しかし、 見方を変えれば、彼らが何に悩み、困っているのかがわかれば、できることが見つかります。次回は、管理職(マネジメントにあたる人)が鍛えたいことをご紹介します。