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なぜ新入社員は打たれ弱いのか?
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新入社員に打たれ強くなってもらうために、彼らにとっては難易度の高いテーマを与えたり、厳しい口調で叱責しながら取り組ませる研修を、テレビで紹介していたことがありました。私が新入社員だったバブル前後の時代は、新人営業の根性を鍛える?ために、飛び込み営業をさせ、名刺を100枚集めるまで戻ってきてはいけないとか、お客様のリストを渡され電話にガムテープを巻かれ、アポイントが取れるまで電話をかけ続けなければならないなど、様々な訓練方法?がありました。
このことから言えるのは、20年前も今も、新入社員は打たれ弱いので、何かしらの訓練が必要だと感じている人が多いということです。
しかし、訓練方法は様々な試行錯誤が続いているものの、「これだ!」という素晴らしいアイデアは、未だ見つかっていないように思います。
上記のことをふまえ、今回は、新入社員を「打たれ強くする」ためにできることを考えてみます。
その前に、まずは新入社員が打たれ弱いと言われたケースを3つほどご紹介します。
ケース1:上司から注意を受けた新入社員A君
ある日A君は、1週間先の有給休暇を取るために、休暇届をOJT担当のS先輩に手渡しました。S先輩は、その休暇届をT上司に提出しました。
T上司はA君のところに行き、「休暇届は先輩ではなく、上司である自分に提出すべきもの。自分で申請するのが筋」と、厳しい口調で伝えました。
その後、A君はその日の午後ひどく落ち込んでしまい、仕事が手につかなくなりました。そして翌日、会社を休んだそうです。
ケース2:怖い上司に震え上がるB君
新入社員のフォローアップ研修に参加したB君は、同期や講師に「上司が怖くて仕方がない」と訴えていました。
「上司のどんなところが怖いの?」と聞くと、「会議資料の綴じ方やホチキスの留め方が悪いと、どやされるんです」
「どんな風にどやされるの?」、「"ざけんなっ、こんな留め方するやついるか?前にも言ったろう"みたいな感じでとにかく怖いんです」
ケース3:先輩の対応が「理不尽」と訴えるC君
入社2年目を迎えるC君は、1年間の出来事を振り返るワークを終え、皆で話し合う場面で次のような発言をしました。
「社内で発表をしなければならない機会があって、先輩から任されて取り組んでました。資料作りが凄く大変で、残業したりしながら作成して、先輩に見てもらったら、ダメ出しされて・・・。そしたら先輩が、昔、俺が作ったやつ見る?って机の中から出してきたんですよ。だったら、最初から出してくれればいいじゃないですか。一生懸命やったって、無駄ですよね。
こんな理不尽な対応ってないですよね」
さて、ケース1~3をご覧になっていかがでしょうか?この3つのケースは、企業名を聞けば知っている方も多い企業で、実際にあった話です。時期は、1998年~2010年の間です。ご紹介したケースの人達の人柄は、例えば、研修参加者として30人ぐらいの人の中に居れば、元気がよく、メンバーをリードできるタイプです。話を聞くまで、こんなことで凹んだり、ビクビクしたり、憤慨したりするタイプの人達には見えません。また、ご紹介した例以外にも、似たような話はたくさんあります。
このようにケースとして取り上げ、改めて見てみると、1つ1つは大した話ではなく「なんでこんなことぐらいで・・・」と思われるのではないでしょうか。しかし、社会経験が少ないうちと言うのは、この程度のことでも、1つ1つを大きなこととして捉える人もいるということを、知っていただきたくて取り上げました。
「打たれ強さ」を求める理由
それではなぜ、近年になってより「打たれ強さ」を求めるようになったのでしょうか?
主な理由は、3つほどありそうです。
1つ目は、なかなか成果が上がらないことや、お客様からの要求も厳しくなっており、辛いことも多い。厳しい局面に直面しても、乗り越えるための耐性をつけさせるため
2つ目は、上司や先輩にその兆候を見せることもなく、急に辞めるケースの増加
3つ目は、メンタル面に問題を抱えるケースの増加
などです。
先にご紹介したケースと、打たれ強さを求めるようになった理由を元に、組織の現状を推察すると、ちょっとしたストレス発散がしにくい環境にあるといえそうです。
言葉を変えると、強く言われてしんどいことや、悩んだり、困ったりしたことを、身近な人に言うことができない。また、それをどのように表現して良いのかわからない。ということがあるのかもしれません。
「打たれ弱い人」への対応
実は、私はとても打たれ弱いです。
20代前半、ある1人の女性の先輩が怖くて怖くて仕方がありませんでした。
何が怖かったか。それは、次のようなことです。
・「この伝票、何を書いているのかわからない。こんなんじゃ、伝票もらった人、読めないじゃん」
・「誰これやったの。ずいぶん雑ね。こんなんじゃ、お客様に失礼でしょ」
と、やったことを1つ1つチェックされ、直接だったり、皆の前でダメ出しされたように感じていたからです。
とにかく、その先輩の存在が怖くて、その先輩と仕事が一緒になる日は、めまいがしたり、胃が痛くなり吐いていました。
しかしその時に、それ以外の先輩が、「なんかあった?大丈夫」、「凹むかもしれないけど、がんばろう」、「〇〇さんきっついよね。でも、大事なことだからさ」、「一緒に練習しようか」など、声をかけてくれました。
恐らく、その女性の先輩と自分だけだったら、落ち込んだままミスを繰り返し、辛くて辞めてしまったかもしれません。
しかし、その女性の先輩以外の上司や先輩が、様子を見ながら声をかけてくれたことで、厳しい時期を乗り越えることができ、時間が経つにつれ、その女性の先輩が指導してくれようとしたことの真意も、理解できるまでになりました。
この経験から、「打たれ弱い人」を「打たれ強く」と考えるよりは、新しい環境で、毎日今までの自分の価値観や経験とは違うことをインプットする必要があり、時に厳しいことを言われることや出来事に直面することが続く、1ヶ月~半年は、直接指導する先輩だけでなく周囲も「様子を見る」、「声をかける」、「話を聞く」など、日頃のちょっとしたコミュニケーションが効果的だと感じています。
その際気を付けたいのは、同調したり指導はしないことです。
あくまで、「大変だけど、やれることをやってみよう」という雰囲気で接しておき、後は、自分は自分の仕事に取り組む姿勢を見せれば、十分です。
時に扱いにくさを感じることもあるかもしれませんが、コミュニケーションを取る上でのヒントになれば幸いです。
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