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『茂木健一郎先生』に学ぶ、能力の引き出し

『茂木健一郎先生』に学ぶ、能力の引き出し

原田 由美子

HRD(人材育成)サービスを提供するコンサルティング会社の代表です。

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『ザ・ベストハウス123』(フジテレビ系列をメインに、一部、日本テレビ系列、朝日テレビ系列で放映)2010年9月15日放送分は、脳科学者の茂木健一郎先生のプレゼンテーションでした。世界各国の驚異の脳を持つ人の特集で、人間の可能性の拡がりを感じさせてくれる番組でした。今日は、その番組の中で紹介されていた、「すべての曲を一度で記憶しピアノで奏でる!人間iPodと呼ばれる青年」から、"能力を引き出す"ことについて、ご紹介します。

ipodと言われる青年とは?

イギリスの由緒正しい家に生まれたデレク・パラヴィッチーニは、体重680gと超未熟児で生まれたため、肺が未成熟。高濃度の酸素吸入を行ったことから、視覚を失い、脳にも大きなダメージを受けます。そのような子供に両親は絶望します。常に命の危険にさらされながら、話せる年齢を迎えますが、自分から話すことができません。唯一できることは、母親が言うことを真似ることだけ。

4才になり、両親はデレクを視覚障害者の学校に入学させます。初めて学校に行くと、たまたまピアノの授業にあたりました。デレクはピアノに駆け寄り、ピアノを弾いていた女の子を押しのけ、めちゃくちゃに演奏をしはじめます。その演奏ともいえない演奏に、衝撃を受けた人がいました。当時、この学校で音楽を教えていたアダム先生です。

可能性を感じたアダム先生は、自ら申し出、デレクにレッスンをすることにします。けれども、デレクは、先生を受け入れません。"これでは何もできない"と感じたものの、先生はあることを思いつきます。彼が"言葉をオウム返しにする"という習慣を持っていることに目をつけたのです。そこで先生は、デレクを部屋の隅にいさせて、ピアノを弾いたのです。すると、デレクがピアノに近づき、アダム先生を押しのけ、同じ音階を弾く。それを繰り返していました。

そして1年が経った頃、いつものようにレッスンをしていると、なんと、デレクがアダム先生を押しのけず、横に座ります。アダム先生の手に自分の手を乗せ、練習をするように。この時から、ピアノの演奏を覚え始めます。デレクがアダム先生に心を許した瞬間だったそうです。

しかしそれから約1年。デレクの両親が離婚してしまいます。両親は、デレクをひきとらず、視聴覚障害者の学校に預けました。以来、アダム先生は、デレクの生活の面倒も見始めます。

そんな中、アダム先生は、デレクに秘められた驚くべき能力に気付きます。今まで聞かせたことがなかった、「虹の彼方に」を聞かせたところ、初めて聞いた曲を完璧に弾きこなしたのです。デレクの驚異的な記憶力が花開いた瞬間でした。それ以来、デレクは、人間ipodと言われるほど、曲を吸収し、わずか9歳で初舞台。音楽界で注目される存在になります。ついには、生前のダイアナ妃の前で演奏するまでになったそうです。

(『ザ・ベストハウス123』ホームページを元に作成)

 

生きる力

テレビで紹介されるケースを見ると、とても特殊なケースだとお感じになるかもしれません。しかし、決してそんなことはないのです。もう1つのケースをご紹介します。

特別支援学校に勤める山本加津子先生(作家でもあり、『1/4の奇跡~本当のことだから』というドキュメンタリー映画にも出演されています)のサイトにそのことが書かれていました。

そのお話は、山本先生と宮ぷーと言われる、ご自身をサポートしてくださっている方とのお話です。

宮ぷーと言われる方は、平成21年に、脳幹出血で倒れられたそうです。生きる望みもないほど危険な状態だったそうです。しかし、そのような状態から何とか一命を取りとめます。お医者様は、「一生植物状態、一生身体のどこも動かない」とおっしゃったそうです。

そのように言われても、山本先生は、「宮ぶーは大丈夫です」と、答えられ、以降、ご家族とともに看病を続けながら、毎日日記を書き、それを読み続けたそうです。それからのことを、山本先生のホームページより引用してご紹介します。

(山本加津子先生 ホームページより引用)

 私はずっと特別支援学校に勤めています。そこで、子どもたちといて思い続けてきたことは、子供たちがたとえどんなに重い障害を持っていたとしても、だれもが気持ちを持っていてそれを伝えようとしているということでした。そして、子どもたちの気持ちを知りたいと思いながら、毎日を過ごしてきたように思うのです。

 宮ぷーの目の光が、話しかけると確かに違うと思い込んだ私は、思いを伝えられずにいる宮ぷーの思いをなんとしても知りたい、お互いに気持ちが伝え合えるようになりたいと思いました。どこか、宮ぷーが気持ちを伝えてくれるところはないか? 私の問いかけに、返事をしてくれるところはないかとずっと探し続けました。指でもいい、瞬きでもいい、頬の動きでもいい、どこでも、一箇所でも自分で動かすことができたら、そこに私は、「"はい"だったら、動かして」と話をすることができると思ったのです。けれど、それは、なかなか難しいことでした。けれど、宮ぷーが頑張り続けてくれたことがよかったのでしょうか? 思いを知りたいとあきらめずにいられたことがよかったのでしょうか? 宮ぷーが、最初は小さなまばたきで、そして、頭が動くようになり、指が動くようになって、気持ちを伝えてくれるようになりました。

(引用了)

このお話は、山本加津子先生の「おはなし大好き(宮ぷー心のかけはしプロジェクト)」のホームページに詳しく紹介されています。(参考情報)欄にアドレスを掲載しますので、是非そちらもご覧ください。

 

お話を昨日の番組に戻しますが、昨日の番組の最後に茂木先生がおっしゃっていたメッセージが素敵でした。

「脳は、自分のことだけを考えていると、自分の分の脳しか活用されない。しかし、人のために活用すると、その人数分活用されるようになる。」

上記の言葉の表現は、録音したわけではないので、正確ではないかもしれません。ただ脳は、損傷を受けても、人が関わることで修復され、新しい能力を発揮し始めるようです。ということは、人との関わりにより、多くの人の能力が引き出せるのかもしれません。どのように関わるか。それ次第で、自分も周囲も、驚くことが起こる可能性は、誰にでもあるようです。

 

(参考情報)

 ザ・ベストハウス123 ホームページより引用

 http://www.fujitv.co.jp/123/oa.html

 

 おはなし大好き(宮ぷー心のかけはしプロジェクト) ホームページ

 http://ohanashi-daisuki.com/index.html