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カタカナ英語の多用は危険?

カタカナ英語の多用は危険?

柏野 裕美

1975年生まれ。大阪 → シンガポール → 今、東京。2007年に帰国し、外資系ITベンチャーで広報を担当。2013年に独立。PRコンサルタント、文筆業、地域再生プロジェクト、英語学習分野で活動中です。

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 1月〜3月は学びの意欲が最も高まるシーズンと言われています。この時期、みなさんの周りでも何かを始めようとか、もう一度頑張ってみようとしている人が増えているのではないでしょうか。今日は、ビジネス英語をなんとかしようと思っている人にお知らせです。

 iKnow! 英語学習サービスから、入社を控えた新社会人や異動のタイミングで英語力アップを考えている皆さんの参考になりそうな「間違えやすいビジネス英単語・フレーズ ランキング」が発表されました。

 最近では英語習得を意識するあまり、仕事でカタカナ英語を多用する傾向が見られるような気がします。しかしながら、カタカナ英語は日本語の意味は一つしかないのに対し、英語は文脈によって意味が変わる単語がたくさんあります。iKnow! の分析データからは、うっかりカタカナ英語を使うことに慣れてしまったために、それが正しい英語を学ぶ障壁になっている様子が伺えます。

「ビジネス英語」で間違えやすい4つの理由:

  • カタカナ英語にまどわされてビジネスに適切な正しい英語の意味を覚えにくい
  • 日常会話とビジネス会話では言葉の意味が変わる
  • フレーズの意味が、含まれる各単語の意味のコンビネーションと異なる
  • 同じビジネス環境でも会話する相手により使う単語が変わる



◆ 調査概要 ◆

調査対象:120万人以上の iKnow! ユーザーの中から、「ビジネス英語シリーズ (入門、基礎)」を学習した約5万人の学習データを分析しました。

調査の対象となったシリーズの「iKnow! ビジネス英語入門」と「iKnow! ビジネス英語基礎」では、プレゼンテーション、交渉、面接、電話やメールなど様々なビジネスシーンでそのまま使えるフレーズやおさえておきたい英単語が監修されています。

調査期間:2011年1月27日〜2014年2月28日までの学習履歴データ

※「間違えやすい英単語」とは、脳科学の研究を基に開発された「iKnow!」の学習アルゴリズムにより、覚えていると判断したタイミングで出題された復習クイズの中で、正答率が低い単語のことです。


■ 間違えやすいビジネス英単語 ランキングと解説

1. remuneration 給料、報酬
2. impasse 行き詰まり
3. adversarial 敵対的な
4. sticking point 障害
5. appraisal 評価、査定
6. service 修理する、点検する
7. common ground 合意点、妥協点
8. address (人に)話す・話しかける、対処する
9. competence 能力、力量
10. present 示す、伝える
11. memorandum of understanding (MOU) (正式な)覚書
12. stall 時間稼ぎをする
13. intimidate 威嚇する、畏縮させる
14. project 予測する、見積もる
15. turnover 売上

《解説》
  カタカナ英語が使われる頻度が増えている。日本語では「サービスしてもらった」という文脈で通用する「service」、プロジェクトに関わるなど名詞で 馴染みのある「project」、住所のアドレスとしての「address」など、画一的に覚えがちなカタカナ英語がランキングに入っている。このことか らわかるように、一般に使われているカタカナ英語は英語の意味とは異なるケースが多い。

 先述の「project」は、日本でも「プロ ジェクト」というカタカナ英語が使われることが多く、単語自体には馴染みがある。そのため、「予測する」という意味の動詞としては不慣れである傾向が見ら れる。「present」も同様に「プレゼント」という意味を思い浮かべがちだが、ビジネスでは「Today we'll be presenting the quarterly sales results.=本日、四半期の販売実績を発表させていただきます。」というように「示す、伝える」という意味の動詞で使われることが多い。単語の第 二、第三の意味も習得し、ビジネスに使えるボキャブラリーを広げたい。

 最も間違えやすいビジネス英単語は「remuneration」だった。サラリーマンという言葉があるように毎月決められた日に支払われる報酬には「salary」を使うのがごく一般的であり、「remuneration=報酬」は正式な場面や文書でのみ使われるためあまり知られていない。ビジネスでは、同じ意味を表すにも同僚との会話などカ ジュアルなシーンと契約書などのフォーマルなシーンでは使う語句が違うことがよくあるので注意したい。

 「stall」は名詞では、海外旅行の際に「露店、売店」という意味で耳にすることがある。しかし、ビジネスシーンでは「時間稼ぎをする」という意味の動詞として使われることが多く、意味が大きく変わってしまうので覚えるのに苦労する傾向がある。


■ 間違えやすいビジネスフレーズ ランキングと解説

1. fall from~ から減少する、~から低下する
2. budge on price 価格に関して譲歩する
3. settle for ~で妥協する
4. in the foreseeable future 今後しばらくの間
5. make a concession 譲歩する
6. produce results 成果を上げる
7. form an alliance 提携する、協力関係を作る
8. fall apart 決裂する、白紙に戻る
9. (be) proficient in ~に熟練している、~に堪能である
10. pursue a career キャリアを積む、仕事を続ける
11. back down 引き下がる、撤回する
12. work for ~に都合が良い
13. incur costs 費用を負担する(被る)
14. pose a challenge 難局をもたらす
15. drop by ~減になる、~減少する

《解説》
 フレーズの中には、その意味が個々の単語の意味のコンビネーションとは大きく違うものがあり、間違える原因となっている。また、同じフレーズでも日常会話とビジネス会話とでは意味や使い方が若干変わるため文脈に気をつける必要がある。

  「fall from」は日常会話では「〜から落ちる」という意味で「Leaves are falling from the trees.=葉が木から落ちている。」というような使い方が多い。しかしビジネスでは「Revenue this year fell from 70 to 50 million dollars. =今年度の収益は7000万ドルから5000万ドルに減少した。」などのように「〜から減少する、低下する」を意味することが多い。 「fall from」はビジネスニュースでよく使われるので、正しい意味を理解できるようにしておきたい。

 「settle for=〜で妥協する」は、 「settle=落ち着く、定住する」という意味だけで覚えてしまうと、「妥協」と結びつきにくくなる。

  「work for」はビジネスシーンでも「〜に勤めている」という意味で使われることが多いが、「Does that work for you? =そういうことでよろしいでしょうか?」というように「〜に都合が良い」という意味でもよく使われるので覚えておくと便利。

(ランキングと解説は発表の内容をそのまま転載しています。)

以上、iKnow!からの分析レポート「間違えやすいビジネス英単語・フレーズ ランキング」でした。

英語は英語、日本語は日本語、きれいに使うように心がけたいところですね。