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就職率の罠~真実を掴む癖

就職率の罠~真実を掴む癖

細島 誠彦

株式会社TransamManagementSystem代表取締役。 中央大学法学部卒業後、ベンチャー企業その他企業の経営企画室長、管理本部長、CFO、取締役を歴任。経営戦略構築、マーケティング戦略構築、新規事業の立ち上げや財務戦略、M&Aなど、企業の参謀業務に従事。

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新卒の就職率が下がったという情報が最近よく流れている。
これを聞くと、普通はどう思うかというと、

「あー、景気が悪いから、就職できないんだな」

であろう。

新聞やTVは、"就職率が下がった"という事実しか流さないので、
ここから真実を掴むのは、自分でやらなければならない。
これは『エンゼルバンク』という漫画で書かれていたことであるが、
真実を掴むためには"就職率"はどうやって計算されているかを考えなければいけない。

就職率=就職決定者数÷卒業者数

この計算式からわかることは、
就職決定者数が減れば就職率が下がるとは言えないということである。

つまり、景気が悪いから就職決定者数が下がったとは言い切れないということだ。
では、真実を掴むためには、"就職決定者数"と"卒業者数"の2つを見る必要がある。
実際に、今回の不景気に入ってから"就職決定者数"は確かに減ってきているが、
"卒業者数"はここ数年でかなり増えてしまっている。
"就職決定者数"は今回の不景気に入る前までは微増を続けてきていたのである。
よって、原因としてはどちらが大きいかというと、卒業者数の増加である。
大学卒業者数が増えたことが就職率の下がった大きな要因となっていることは間違いないことである。

このように、一つの事象をそのまま受け取り、何となく浮かんだ感想を自らの意見として出すのではなく、
一つの事象を奥まで考え込む癖をつけなければならない。
でなければ、真実を掴むことはできない。
新聞やTVが述べていることは一面の真実でしかないと割り切ることである。