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会社を辞める人に捧ぐ"働く"意味

会社を辞める人に捧ぐ"働く"意味

細島 誠彦

株式会社TransamManagementSystem代表取締役。 中央大学法学部卒業後、ベンチャー企業その他企業の経営企画室長、管理本部長、CFO、取締役を歴任。経営戦略構築、マーケティング戦略構築、新規事業の立ち上げや財務戦略、M&Aなど、企業の参謀業務に従事。

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なんとも憂鬱な気分だ。
期待していた人が会社を辞めるというのは。

社会において転職する人は一部であり、
その人が何度も転職するために、転職市場は存在できているという話もあるが、
実感では、かなりの人が、会社で働き、辞めて、
また他の会社に就職するように思える。
会社を辞めるということは、新卒で会社に入るときに、
既に頭の中で、選択肢として入ってしまっている世の中だ。
人は何のために働くのだろう?

「お金」のため。
「生活」のため。

そんな安易なものが答えとは思わない。
確かに重要なことではあるが、生活のためだけなら、
そんなに無理をする必要はないし、そんなにつらい思いもしなくてもいい。
その解答を求めるためらしき本は何冊もでているが、
満足な解答は得られないように思える。

会社と人とは縁で結ばれる。
しかし、会社が思うほど、人は思ってくれてはいない。
その逆もあるだろう。
世の男女関係と同じなのかもしれない。

最近、本屋でよく目にする本の内容で、
「人間、好きなことをすべきだ!」
というものがある。
そんなことが現実にできている人が、どのぐらいいるのだろうか?
そもそも、「好きなことって何だろう?」と
考えなければならない人の方が多いのかもしれない。
ほとんどの人は、好きでもないことに、人生の大半を費やしているということだ。
好きでもないことにそれだけの時間を費やすというのは、
相当のことだ。
それだけ、人生の中で仕事は意味があるに違いない。

様々考えたあげく、私の結論は、

「自らを磨くため」

というシンプルなものに落ち着いた。

好きでもないこともやらなければならない・・・
嫌な上司の下でも仕事をしなければならない・・・
家で寝ていたくても、行かなければならない・・・
デートに行きたくても、仕事をしなくてはならない・・・
旅行もおいそれとは行けない・・・
嫌でも飲み会に参加しなくてはならない・・・
嫌な顧客に頭をさげなければならない・・・

それもこれも、
「自らを磨くため」

そう考えれば、すべては解決する。
では、磨くというのはどういうことだろう?

人としての高みを目指すため・・・
徳というものを身につけるため・・・
仁というものを人混みの中で発揮するため・・・
「人に尊敬されたい!」ということとは違う。
あくまでも、自分の中でのこと。

そう考えれば、嫌だから辞めるという選択肢は消えていく。
新たに得たいものが他の会社にあるからという選択肢が依然として残る。
それはそれでいい。前向きな退職ならば。
後ろ向きの退職はほとんど失敗する。
同じ事を繰り返すことになるからだ。
自らを磨かない限りは、その壁は超えられない・・・。