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視点が低い残念な人の事例 ビジネスでボランティア精神を発揮した担当者Tの場合 ~視点の研究3~

視点が低い残念な人の事例 ビジネスでボランティア精神を発揮した担当者Tの場合 ~視点の研究3~

細島 誠彦

株式会社TransamManagementSystem代表取締役。 中央大学法学部卒業後、ベンチャー企業その他企業の経営企画室長、管理本部長、CFO、取締役を歴任。経営戦略構築、マーケティング戦略構築、新規事業の立ち上げや財務戦略、M&Aなど、企業の参謀業務に従事。

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これもまた、ある会社のコンサルティングをしているときの話だ。
ある大型のプロジェクトが進行していたのだが、
クライアントの方で、採算が合わない可能性が浮上してきたために、
クライアントから、コスト削減をしたいという申し出がでてきていた。
担当者の一人Tは、プロジェクト発足当初からクライアントのために、
まさに寝食も忘れて粉骨砕身働いてきた。
プロジェクトの成功のためには、様々な提案も行い、
いくつかは採用されてもいたのだが、
今回のコスト削減の申し出により、提案のいくつかはクローズされてしまった。

会社としても、このプロジェクト自体の採算が合うかどうかの検討が必要となり、
会議が行われ、私もその会議に参加していた。
その会議で、担当者Tは、
「私ががんばりますので、何とか続けてもらませんか?
 私が無料でやれば、コストはかかりませんよね」
と言った。
担当者Tが動いていること自体、つまり給料をもらっている人が、
無料で働いていることなどあり得ない。
コストとは、人も当然入る。人も原価なのだ。
その人が何時間このプロジェクトに時間をかけたのかは原価に反映される。
当然、この担当者Tの願いも虚しく、
この会社はこのプロジェクトから降りることになった。
採算割れすることが明らかだったからだ。

担当者Tはどう考えるべきだったのか?

・プロジェクトの収支を明らかにすること。
・プロジェクトの目的達成を前提にした上で、のどの部分を止めるかなどコストを削減できるところはないかを検証。
・クライアントを説得してもう少し売上を確保できないかを確認。
・その上で、利益がでるのかを確認。

ということを考えた上で提案すべきだった。