誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
新規事業は失敗する!
»2012年12月 3日
細島誠彦ブログ【参謀の戦略眼】
新規事業は失敗する!
株式会社TransamManagementSystem代表取締役。 中央大学法学部卒業後、ベンチャー企業その他企業の経営企画室長、管理本部長、CFO、取締役を歴任。経営戦略構築、マーケティング戦略構築、新規事業の立ち上げや財務戦略、M&Aなど、企業の参謀業務に従事。
当ブログ「細島誠彦ブログ【参謀の戦略眼】」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/hosojima/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
昔、ある社長から新規事業を任せたいと言ってきたことがあります。
「お前、この◯◯事業の責任者やれよ!」
「・・・えー、それは受けられないですね」
「ちっ!」
と社長はちょっと怒ってましたが、なぜ、私が断ったのかといいますと、
"その新規事業が失敗することがわかっていた"
からというのが理由になります。
1.新規事業は失敗する
新規事業の多くは失敗します。
新規事業とは、その企業にとって、全く別分野の新しい事業であるものから、
本業の派生事業まで様々なものがあります。
当然といえば当然ですが、新規事業の成功率はかなり低いものとなります。
しかし、企業は存続のために新規事業を模索せざるを得ないために、
チャレンジし続けます
なぜ、新規事業の多くは失敗するのか?
多くの失敗理由は簡単で、
「思いつきの事業を勢いだけでやってしまうから」
ということになります。
そんなことは経営者ならばわかるだろうと思いますが、勢いは止まらないのです。
「だって、楽しいから・・」
2.何が足りないのか?
新規事業はなぜ失敗しやすいのか?
それはいくつかの理由がありますが、一つだけ言えば、
「ちゃんとした事業戦略を練らないから」
ということに集約されます。
大企業ではちゃんとした事業戦略を練っていても失敗するときがある!という反論も聞こえそうですが、
「事業戦略を練ることは成功確率を高める」
ことに他なりません。成功が約束されるものではないのです。
どのぐらい確率が高まるかということが正確に測れる種類のものではないので、
何%ということは言えませんが、
私の感覚で言えば、何もしないよりはかなり上がると言っていいと思います。
少なくとも、時間とお金の無駄はかなり省けます。
ではなぜやらないのか?
「だって、楽しいことは早くやりたいから・・・」
では、事業戦略とは何か?と細かくみると、
・マーケティング
・目標
・事業計画
そして・・・
3.撤退シミュレーション
"撤退シミュレーション"です!
こんなことを考えると、
「やる前から負けることを考えるバカがいるか!」
とアントニオ猪木に怒られそうです、これがかなり重要となります。
新規事業は一度始めるとなかなか止められなくなるものです。
事業というのは日々変化していて、実際に事業に従事してしまうと、
"少しずつ売上が上がっている"とか
"1年後にはこのぐらいの売上があがる"とか、
"たまたま大きな案件一つとれただけで、事業を成功したかのように勘違いする"とか・・
いうことが生じます。
特に企業のTOPが新規事業に従事してしまっていると、こういうことは起きやすいものです。
だから、やる前から、こうなったら撤退するというシミュレーションを作っておく必要があるのです。
例えば、
・投資額は◯◯億まで。
・新規事業の肝となる部分の読みが外れた場合は撤退
・提携企業との折り合いがつかなくなった場合は撤退
・2年以内に売上◯◯億にいかなかった場合は撤退
など。
4.後はやるだけ!
これだけ準備すれば、後はガムシャラにやるだけです!
でも、何からやればいいのかと立ち止まる必要はありません。
なぜなら、事業戦略が練られ、事業計画が作ってあるからです。
こういった準備をしなかったために、新規事業が失敗した例は多々あります。
新規事業が失敗するだけなら、まだ大したことはありません。
新規事業の失敗が本業に資金的に影響して、企業が傾いたという状況も、
個人的には多く見てきました。
多くの場合は、こうした助言は耳に入りません。だから、怖いのです。
私が危ないと指摘した事業は100%失敗しています。そう、100%です!
だから、失敗することが明らかな新規事業はわかってしまいます。
しかし、それで立ち止まって考えることができる経営者の方は一握りでした。
どんな数字とロジカルで証明しても、勢いのついた経営者は止まらないことがほとんどです。
後戻りなんて、ほとんど不可能なのです。
だからこそ、戦略を構築した上でPDCAサイクルを回す必要があるのです。
冒頭の新規事業責任者をお断りした後、
当然、なぜ失敗するかを説明しました。
社長は、(不承不承?)納得してくれましたが、事業は継続!
そして、当然、1年後に失敗しました。。。