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「フラット35の金利優遇期間延長!?」~駆け込み申込みはなくなるか?~

「フラット35の金利優遇期間延長!?」~駆け込み申込みはなくなるか?~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

東日本大震災により被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
今回は住宅ローンについてです。

住宅ローンの金利優遇で人気の住宅金融支援機構の「フラット35」。
先日、住宅購入検討者にとって気になる記事が日本経済新聞の一面に出ていましたね。


■「国交省 住宅ローン金利優遇継続を検討」

<フラット35 下げ幅1%は圧縮、住宅投資の下支え狙う>
(2011年7月10日付日本経済新聞)
『国土交通省は、独立行政法人の住宅金融支援機構が手がける長期固定金利型住宅ローン「フラット35」の金利優遇措置を来年度以降も継続する方針だ。
現在1%としている金利の優遇幅は縮小し、利用者の必要額に対して実際に借り入れられる比率を圧縮する。
先行きに不透明感のある住宅投資を下支えする狙いがある。(後略)』

「フラット35」とは最長35年の長期固定金利の住宅ローンのこと。

住宅金融支援機構が住宅ローン債権を民間金融機関から買い取って、証券化手法を使い資金調達をする仕組みのローンです。
「フラット35」の融資実績は導入された2003年度から2010年度までの8年間で約7兆5000億円。
住宅ローンの新規融資全体のうち、およそ2割程度のシェアを占めているそうです。

特に人気が出たのが昨年2月、「フラット35S(エス)」が導入されてからです。
「フラット35S」は省エネや耐震性などの一定以上の性能条件を満たした住宅に対しては当初10年間の金利を基準金利から1%を引き下げる、というものです。
この「フラット35S」が爆発的に人気が出まして、昨年2月から今年の3月までで約19万件、金額にして約3兆円も融資実行されたそうです。


■フラット35Sの利息軽減効果はどれくらい?

実際、フラット35Sの利息軽減効果は結構インパクトがあります。
例えば、「フラット35S、20年金利引き下げタイプ(当初10年間1%引き下げ、11年目~20年目まで0.3%引き下げ)で試算してみましょう。

例えば、借入額3,000万円と35年固定基準金利が2.5%とすると・・・
借入額:3,000万円
(1)     基準金利:2.5%の場合
→35年間総支払額       :4,504万円

(2)     20年引き下げタイプの場合
・当初10年間 :1.5%
・11年目~20年目      :2.2%
・21年目~35年       :2.5%
→35年間総支払額       :4,128万円

総支払額の差は、約376万円

上記、20年引き下げタイプの場合、35年間の総支払額をひとつの金利に換算すると1.93%になります。
35年間平均で2%を切る金利というのはかつてない水準です。
性能のいい家が安く買えるだけでなく、変動金利のように金利がどれだけ上昇するか心配する必要もないので家計設計が組みやすいという利点もあって爆発的に人気が出たわけですね。


■フラット35Sの駆け込み申込みはなくなるか?

この「フラット35」の金利優遇の原資は、もちろん国が負担していますね。
経済対策の一環として住宅着工を促進させるために政府が補正予算をつけたわけです。
これが予想以上に利用者が多くなったために、当初は23年12月末までの申込み期限が前倒しされるのではないか、と住宅業界では常に噂されてきました。
「フラット35Sは10月までには予算枠に達するらしい」とか「いやもっと早くて9月には終わるらしい」などとひそひそと話されていたわけです。

買う側のお客様にしてみたら気が気じゃないですよね。
一生に何度もない住宅購入。じっくり検討したいのに、住宅会社からは「早くしないとこれ終わっちゃいますよ!」とせかされるわけです。
そこに冒頭の「金利優遇継続」の記事が出ました。
これで駆け込み申込みをすることなくじっくり検討することができるようになるでしょうか?
いや、私はむしろ駆け込みに拍車がかかるのではないかと思っています。


■継続しても条件は悪くなる!?

冒頭の新聞記事は次のように続きます。
『国交省は継続の際、金利の優遇幅を現在の1%から0.5%前後に引き下げる。
最小でも0.3%の優遇幅は残す。住宅取得時の利用者の必要額に対し、実際の貸出額の比率を示す融資率も現在の100%から70~80%程度に下げて、民間銀行の融資も増やす案が出ている。
規模を縮小しつつ、金利優遇の延長期間は1年程度とする。』

期限は1年間延長するものの条件は今よりは悪くなりますよ、という話です。
つまり今回の報道のポイントは「予算枠がなくなっても、まだ景気悪いんだからまた補正予算を組んで同じ条件で延長するんじゃないの?」という淡い期待がなくなった、というところです。
「フラット35S」は「10年間1%優遇」だからインパクトがあったわけです。
それが「0.3%~0.5%」とかの優遇では軽減メリットは知れています。
民間金融機関の「10年固定型」でも2%を下回るものも多いのですから、0.3~0.5%優遇程度では競争力はありません。

だからむしろ「1%優遇のうちに!」と駆け込み申込みに拍車がかかるように思うのです。

ちなみに、住宅金融支援機構にこの記事について真偽を問い合わせしたところ、「報道のような事実の決定はありません。予算枠がいっぱいになることも当面ありません。」
とのことでした・・・。
ま、正式決定前ですから、そういう回答しかできないものですよね。

今回は以上です。
次回、もっと日本が良くなっていますように。
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