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「円高は続くよ、どこまでも・・・」~円高が止まらない2つの理由とは?~
»2011年8月 2日
世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる
「円高は続くよ、どこまでも・・・」~円高が止まらない2つの理由とは?~
ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。
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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。
今回は、またまたこの話題、「円高」です。
先日、金融機関や商社に勤務する友人たちと会いました。その時の話の結論は「この円高は当分続くのではないか?」ということでしたが・・・・さて。
■円高、それは売れてないのに値上げしているようなもの
またまた円が上がっています。
アメリカの債務上限法案をめぐり、アメリカ国債の格下げ懸念も膨らんでドルが売られ、円が買われました。昨夜、一時、戦後最高値の1ドル76円25銭を伺う、76円29銭まで行きましたね。
「自国通貨が強くなるのはいいことだ!」という声は必ずあります。
でもそれは景気がいい時の話。
景気が良くて、企業収益が上がって、国民の所得も増えているときには円高でもいいんです。景気が良い時に怖いのはインフレですが、円高はインフレも抑えてくれますからね。
でも今の日本は不景気です。
さらなる円高はデフレ基調を強めますし、企業の国際競争力を弱め、ますます景気を悪化させます。
円高とは、つまるところ国際的にみて、日本のモノやサービスの値上げを意味します。
中国や韓国が経済的に強い一因は明らかに自国通貨安です。元もウォンもどんどん安くなっています。つまりモノやサービスがバーゲンセールの状態です。(そりゃテレビに韓流もあふれますよね)
ドルもユーロも元もウォンも皆安い。円だけが高い。これでは勝てるわけがありません。
■円高は当分続く?その2つの理由とは?
でもこの円高は当分続くだろうというのが私の友人たちの結論でした。
2つの理由があります。
ひとつは「向こう側の理由」です。
アメリカでは債務上限法案は何とか通ったようですが、依然として財政赤字問題や国債の格下げ懸念はあります。何より今回の債務上限法案などは完全に民主党と共和党の政治的対立が原因ですから、おそらくこの財政悪化をネタにした政治
的ゴタゴタは来年11月の大統領選まで続くのではないでしょうか。ユーロもいまだにギリシャやポルトガルなどの過大債務加盟国が足を引っ張っていて構造的問題を抱えています。
この消去法的に円が買われる状態がやっかいなのは円売り介入などの施策がまったく効かないことですね。日本政府は打つ手がないまま今まで通りの状態が当分続くと思います。
もうひとつは「こちら側の理由」。
こっちの方が問題の根が深いと思うのですが、どうも日本政府(もしくは財務省)は実は「円高のままでもよし」としているのではないかという気がします。なぜなら円高が今の日本の財政のダメな部分を覆い隠してくれているからです。
こんなに借金が多くて、財政が悪化しているのに、国債は順調に売れていて国は低金利で資金調達ができています。これはある意味、円高のお陰です。
■日本の本当のアキレス腱は?
震災復興予算は16兆~25兆円必要だとも言われています。
またすでに歳出の4割を占めている社会保障費はこれから毎年1兆円以上ずつ増加していきます。増税しても足りません。つまり日本はこれからも国債をもっと出さないといけません。
そんなときに日本が一番困るのは、「国債の未達」。つまり国債を発行しても市場で売れ残ってしまうことです。国債価格の下落は金利の上昇を意味しますね。すでに900兆円以上の債務を持つ日本にとって金利の上昇は命取り。利払い費が増えると財政が破たんしてしまいます。
今、なぜこの未達が起きないかというと、まだまだ日本の金融機関にお金が余っているからですね。日本の個人預金は約1,400兆円。それを預かる日本の銀行はただでさえ内向きで、あまり海外で資金運用をしません。また当然価値が下がっていくリスクのある通貨では運用はしません。
国内のお金は出ていかない。また安全な運用先として海外からもお金が集まってくる。これらのお金が日本の国債に向かっていきます。お金が海外に出ていかないから円売りは起きず、逆に入ってくるから円高が続きます。
円高が続く限り、景気は過熱しません。
景気が過熱しないし円高だから、輸入に頼っているエネルギーコストの上昇もありません。
インフレが起きようもない状態なので金利は全然上がらない。
国債の金利も低位安定するから利払い費が増えて財政に圧力をかけることもない、・・・ということです。
■日本の経済基盤が弱ってから円安になっても意味がない
一見良さそうに見えますが、もちろん良くありませんね。この間に日本の財政状態はますます悪化するでしょう。
借金が膨らみます。日本から企業が出ていきます。労働者の失業が増え、名目賃金は下がり、景気がさらに悪くなります。
日本の経済基盤そのものが弱体化します。そうなった後で国債が未達を起こし、国債価格が暴落して円安になったとしても、その時にはもう日本経済は復活する力がなくなっていることを心配しています。
今、日本が円安を願うことができるのは幸い外国に借金がないからです。もしドルで借金があったら円安にできませんよね。国内資金で国債が賄えている今のうちに円安になって経済基盤が強化されることを願うばかりです。
今回は以上です。
次回、もっと日本が良くなっていますように。
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