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復興日本のために  東北に起業特区を!

復興日本のために  東北に起業特区を!

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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復興日本のために  東北に起業特区を!

 今回の復興案の中心に据えるべきなのは、東北地方の働く場の大量創設なのではないか。

 避難した被災者の住宅だけでなく、避難しなかった人々の働く職場も、一瞬にして無くなってしまった。
 このまま放置すると、東北の人々の働ける人は、日本の他の地方に移るか、出稼ぎに行くかせざるをえなくなる。それをやっていたら東北はますますみじめになる。

1 起業特区 
 東北全体を起業特区とすることで、多数の新規ビジネスを創設することを目指そう。大胆な企業復活、製造業への支援、新規事業への国や財界が中心となっての投資が必要だ。

2 起業のための経営者育成センター
 起業特区とするためには、起業をしようとする人たちを集める必要がある。起業の成功率を高めるために、起業を希望する人たちのための集中教育を用意してはどうか。
各県ごとに、起業を希望する人たちのための「経営者育成センター」を創設する。この大学には寮もついていて、2年間は、ここで生活して学ぶ。費用は国が負担する。起業に必要な発想、経営のための資金、経理、労務などを学び、あとは経営に至るまでの発想の煮詰めを行う。

 これらの起業を目指す人たちを2年間ほどかけて経営者候補に育てていこう。ここで一定以上の成績をおさめると、卒業時の卒論は新規事業プランであり、国や民間が投資する。
東北での多くの人たちが職を失ったことは、多くの真面目に働ける人たちがいるということだ。これらを活用しない手はない。

 大企業は、すでに東北地方の事業所を復活させているが、中小企業は、今が大きな新規事業のチャンスだろう。多数の新規事業を奨励し、推奨し、新規ビジネスのブームを作っていこうではないか。

3 東北経済復興開発資金
 東北地方で、一件数百万円から数千万円程度の実質返済不要に近い起業奨励金を国と財界が負担して、インキュベーター組織をつくる。若い人たちからのビジネスプランを募ってはどうだろうか。数千件の新規ビジネスを起こす計画を立ててはどうだろうか。

 大学や大学院を卒業したが、就職できていない多数の優秀な若者たちは、チームを組んで、これらの新規ビジネスに挑戦してみてはどうだろうか。

 東北で、若者による若者のための若い企業を作るのを支援し、雇用をどんどん増やしていこう。最初は、給料も良くないかもしれないが、競争力を付けるまでは、我慢しよう。

 起業のための国の支援の形態で、前例のないほどの大胆な方策を、日本はバブル以来の最後の力を振り絞って始める必要がある。

 このために、「東北経済復興開発資金」のような母体を作って、その下に銀行を加えて、組織を作っていくことだ。

 このインキュベーターの調査官は、すでに定年を終えて、十分な年金で生活している初期高齢者が束になって若者たちを育成する。場合によっては、新規ビジネスに顧問や監査役として入ってでもよいができるだけ、若者のバイタリティあふれる新規事業で進めて欲しい。

 これらの起業の多くは、もちろんすんなりと行かないだろう。多くは失敗し、多くは損失を出すだろう。しかし、その中の生き残りが、ひょっとすると未来の日本を支え、日本からグローバルに展開する企業が現れるかもしれない。

 また失敗した者の中からも、その失敗を活かして、再度起業に挑戦することも可能としていこう。

 もちろん、返済不要だからといって、いい加減な経営や計画が許されるものではない。もちろん、すんなりとお金を与えられるものではない。書類さえそろえば、お金をもらえるような官僚のシステムにしてはいけない。更に、このような美味しい制度を悪用しようとする悪徳商法の専門家もいるかもしれない。それらはもちろん注意深く見抜かないといけない。

4 日本版グラミン銀行を!
 バングラデッシュのノーベル賞受賞のグラミン銀行とモハメド・ユノスが、バングラデッシュの貧民層の救済のために、低金利で小額の小さなビジネス資金を、貸し出している。
 これに似た、日本版を作ってはどうだろうか。
 特に製造業の復活も重要だ。本当は、日本全体を起業特区にしたいところだが、今こそ、まず起業特区のモデルを東北で開始しよう。