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食べ物珍体験 菜食主義 その2 菜食工場

食べ物珍体験 菜食主義 その2 菜食工場

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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食べ物珍体験 菜食主義 その2 菜食工場

南部低地にある菜食主義のネパール人の経営している大きな金属工場を見学したとき、見学後、工場のゲストハウスで、昼食が用意されていた。

 2階の居間に座ったら、昼間だったが、ビールが出てきた。ナンとチャパティが山盛り出てきた。チャパティは、あらびきの小麦を煎餅のようにして、揚げてあるが、それにたっぷりとカラフルな野菜が載っている。

「おう、これは立派な菜食主義だ」

 私も、同僚もパクパク食べた。皿にナンも出てきた。ナンが何回も皿に出て、ビールの栓が開けられ、昼間というのにどんどん盛り上がった。

「さて、そろそろ、行きましょう」と、私の部下が言った。

 全員がソファーから立ち上がった。お腹も満腹だし、飲んだし。

「ここから、非常に短い距離の飛行機に乗るのですね。そろそろ飛行場への時間ですか...。ちょっとおしっこに行きます」と、正直言って、相当我慢していたのを捨てに行った。

(さあ、これで空港に行こう)と、鞄を持って、居間から隣の部屋に出たら、そこに食事の用意がしてあった。

「な、なんだ。昼食はもう済んだのでは」

「いや、いや、あれはチャパティとナンだけです。昼食はこれからです」

「エエッ、そんな。私の胃はもう、一杯ですよ」

「とにかくほら、これから本式の菜食主義の料理です」

「まいった」これだから食べ過ぎてしまうのだ。

 それから、出てきた、出てきた。野菜を中心としたカレーが数種類。そしてまたナン。フライドライス、果物となって、もう予備のタンクを開放しても、詰め込みは不可能になり、あふれてしまった。

「この工場には何人の人が働いているのですか」

「約700名ほどです」

「それらの方々は、菜食主義ですか」

「全員がそうです。それを条件に雇用してはいませんが、この工場では菜食主義の食事しかできません。菜食主義になってしまいます」

「なんとなあ...」完全な「菜食主義工場」だったのだ。

工場の昼食で時間を食っていたら、ふっと見ると、飛行機の出発時間の15分前ではないか。

「こ、これは大変だ。遅刻になりませんか」

「大丈夫です。空港は、この工場の裏で、5分です。また先に運転手が皆さんの切符を持って、空港に行っています。それと、皆さんが乗られる飛行機に、私(工場長)も乗りますから。カトマンドゥからまだ飛行機は到着していませんよ。到着前に、到着の音が聞こえますから、それからでも間に合うのです」

 こうして、ゆっくりと3時間を掛けての飲み会と昼食会が終わって、空港に向かい、これで飛べるのか思うような古い双発の飛行機に乗り込んだ。

機内では、カートンジュースと飴が配られ、カトマンドゥの大盆地の端ぎりぎりの上空を飛行して、カトマンドゥのトリブバン空港に滑り込んだ。

 私はこの出張で、一つの決意をした。それは、私の人生を、ゆっくり、ゆっくりと菜食主義に移行するアイデアである。最初は、多量の肉を食べないことで始めよう。その段階では、菜食移行期として、考える。

ネパールに滞在している間に、その菜食主義を、

  最低限の肉しか食べない。

  自称フィッシュベジタリアンであることを公言する。

これが私にとって、とても良い状況を造るだろう。更にそれに食事の量を減らし、節酒を加えると、これはもう完璧である。