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海外旅行・出張危険回避講座 (一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その4 出入国のマナーと知恵
読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~
海外旅行・出張危険回避講座 (一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その4 出入国のマナーと知恵
アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。
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海外旅行・出張危険回避講座
(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ)
その4 出入国のマナーと知恵
まだ東欧がガチガチの共産圏だったころ、私はオーストリアから、ハンガリーまで列車で単独旅行をした。
列車での共産圏の国境を超えるのは、不安だった。すでに辺りは暗くなって、ハンガリーの国境に到着し、ハンガリー側の係官が乗り込んできた。
窓ガラスを通じて、見える景色に緊張した。銃を手に持った兵隊が、列車の両側に十メートルごとに、立っていて見張っている中で、別の何人かが、列車の車輪の間を懐中電灯で調べている。密入国者がいないかと探っているのだ。
こんな緊張感のある国境を越えたのは、これが初めてで、最後だった。
列車の私が座っていたコンパートメントは、6人掛けだったが、私以外に、ハンガリー人夫婦と、オーストリア人夫婦と、私と同じ年齢のフランス人だった。
コンパートメントの扉が開けられて、カーキ色の軍服のコートを着た係官が二人、後ろに銃を背中の兵隊が一人立っている。コンパートメントの入口に立って、私たち全員の顔を懐中電灯で照らした。
「パスポートを出してください」
私たち全員が入国カードとパスポートを渡して、係官がパスポートを覗きこんでは、乗客と顔を照合しながら、紙に書き込んでいた。もう一人の係官は、座席の下を懐中電灯で調べている。
私のパスポートも返ってきた。係官は、私と同年代のフランス人に、
「あなたのバッグはどれですか」と尋ねて、フランス人が棚のバッグを指さすと、私たちも全員、自分のバッグを示した。
「じゃ、あなたのバッグを持って、出てください」と、フランス人に指示をした。「検査です」
フランス人は、気分悪そうに、荷物を持って、外に出ていった。寒い季節だった。そこで、照明されたテーブルの上で、彼のバッグが開かれて、2名の係官が徹底的に調べているのが見えた。
結局、何もなかったのだろう、彼はバッグを持って返ってきて、席に座りなおした。
「なんで私だけがチェックされるんだ」と、プリプリして怒っていた。列車が出た後も、まだ怒っていた。
オーストリア人夫婦の男性が、
「どうして、共産圏に入るのに、あなたは汚れて、破れたジーンズのズボンをはいているんだ」
「......」
「この国に入るには、ほら、この日本人のように背広とネクタイをしているのが一番、良いんだ」と言い切った。
「今回は休暇だから、背広を持って来ていない」とフランス人。
「だから、あなたが代表して検査を受けてくれたんだよ」と、ハンガリー人の男性も言った。「私たちのように夫婦なら、別だよ。一人で旅行しているなら、服装はきちんとしないと、検査されるさ。税関はね、顔では判断できないんだ。だから服装だけしか調べようがない。もちろん、事件が起こったり、何か緊張していると、ここで、全員のバッグを持って、寒くても外で並んで検査を受けて、その間に、警備隊が車両を隅から隅まで調べるんだ。今回は、あなたが私たちの代表だったんだ。気にしない、気にしない。あなたが行かなかったら、私だったかもしれないよ。ありがとう」
フランス人がニコニコしたので、みんなで笑い出した。列車がゆっくりと動き始めた。
私は、海外旅行で、入出国には背広を着ることにしている。
ずっと何十年間に、何百回も五十数カ国の入出国をしてきたが、子どもたちを連れた家族一緒の時以外の、たとえ夫婦であっても、必ず背広を着て、ネクタイをして、出国、入国することにしている。
日本に帰国するときでも、背広にネクタイをしている。アフリカや中近東では、どんな服装をしていても、調べられることがあるが、今、出かけている国々では、ほとんどバッグを開けさせられることはない。もちろん、開けても何も無いが手間が掛かるだけだ。
女性も、私は詳しくは分からないが、やはりオーソドックスな服装をしていることが望ましい。
あと二つだけ大切なことがある。
飛行機から降りると、できるだけ早くパスポートコントロールに向かった方が良い。預入荷物が出てくる時に、間に合うことが安全だからだ。間違ってか、故意か、自分の荷物を持っていかれると、大問題になるからだ。
もう一つは、預入荷物を受け取って、キャリーを押して税関に向かう時、何もなければ、免税のランプが点いた税関を通るが、その時には、パスポートを右手にしておいて、係官にパスポートと、所持品申告書を一緒に、何も言われない前に、さっと差し出して、渡すようにすることだ。
相手から見ると、パスポートを提示しないで、無税で出ようとする人を、
「はい、ちょっと荷物を検査します。パスポートを見せてください」と、指示されることになる。私は積極的にパスポートを提示することにしている。
ポイント
(1)男性なら、一人で海外に出かけるならば、背広を着ていく。日本に戻る時もやはり背広とネクタイだ。
(2)夫婦で、その国が観光国ならカジュアルでも構わない。子どもがいれば、服装はほとんど自由だ。
(3)飛行機は、早く乗って、早く降りるのが良い。そして、できるだけ早くパスポートコントロールを通って、預入荷物を受け取るのが良い。
(4)荷物を押して、税関を通る時には、パスポートと所持品申告書を、手にして、税関の係官に積極的に渡すのがよいだろう。
募集
読者の海外での苦い体験をこのブログの感想にお書きください。巧妙な犯罪や詐欺は、手口を知っていれば、引っかからないで済みます。
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アイデアマラソンは、1984年に私がまだ商社マンだったころに、開始したものです。
ビジネスの国際競争に勝つために知恵をノートに書き留める方法でした。その後、28年間、ほとんど毎日、ノートに思い付きを書き留めてきました。その最新ノウハウと、電子アイデアマラソンまでを、書いたのが、「仕事ができる人のノート術」(東洋経済新報社)です。
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