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青年よ海外に雄飛せよ その16 海外は滞在初期の驚き感覚が大切
読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~
青年よ海外に雄飛せよ その16 海外は滞在初期の驚き感覚が大切
アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。
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青年よ海外に雄飛せよ その16 海外は滞在初期の驚き感覚が大切
約8年 前に短期間我が家にホーム ステイしたオーストラリア人が、すでに大学を卒業し、日本に来た。彼の友人たちと一緒だった。
ヨメサンの作った料理を食べたあと、我がアイデアマラソン研究所で、発想大会を開いた。課題は、「日本 がユニークなところ」を考える。「アイデアマラソン発想方式」だ。
一部を公開すると、下 記のような意見が出た。
(1)日本では、何と言っても自 動販売機には驚いた。どこ にでもあり、すべて動いている。安心して、コインを入れられる。故障をしている自動販売機が一台もない!
(2)みんなまだ現金を普通に使っている!どうしてクレジットカード払いに変わっていかないのか?
(3)地下鉄がくねくねしたルートであるのに驚いた
(4)地下鉄の駅で、安全用の2重の扉のある駅と無い駅があ るのが分からない。
(5)救急車がサイレンと一緒にマイクで「救急車が通過します」と丁寧に言っているのには感心した。
(6)日本のレストランの食べ物の種類の多いことには、いまさらながら驚いた。
(7)日本の家のトイレの明かりのスイッチが扉の外にあることに感心した。(オーストラリアではトイレのスイッチはトイレの中にある)
(8)車の通らない信号で、きちんと青を待っているのに驚いた。「じゃ、その時、君はどうどうと信号無視(Jウォーク)したかい」と尋ねたら、「自分も信号を守っていましたた」とい う。「その心理なんだよ」
(9)スカイツリーに3時 間の待ちの列に並んでいるのに驚いた。「君はどうした?」「やめました」「じゃ、何しに行ったの」「仕方がないので、水族館に行きました。また、日本のどこにでも、たくさん水族館があるのにも、驚いています」と言っていた。「ワンパターンなんだよね」と私。
(10) 成 田から東京までJRに 乗って、途中(千葉までと 思うが)まだいくらでも、田んぼや土地があるのに、なぜ東京に集中するのかわからない。
(11) (ホームステイした一人が8年前に日本にいて)その時と同じ100円ショップがあり、同じ値段で驚いた。
(12) 日本では、フリーのWifiが 少ないのに驚いた。
(13) 日本ではなぜ1円がまだ堂々と通用しているのかわからない。
などなど、面白い時間だった。
彼らは、これらの驚きをすべて、きちんとノートに書き留めていた。帰国後、日本に関してのエッセイを書くという。
留学でも仕事でも、長期に特定の海外の国に初めて滞在するならば、即ノートを持とう。ノートにどんどん考えたことを書き始めよう。
新しい国に観光旅行する場合でも、その国の様々な珍しいことを見つけるとうれしいが、その国に長期間住むとなると、これはもうどんな国であっても驚きの連続だ。もっと正確に言えば、最初の数ヶ月ほどは驚きの連続だ。
新しい国に駐在することが決まると、私はノートに、赴任までの①予定の表②その国の資料集め③その国での仕事の着想④その国で家族でどのように過ごすかなどを書き始める。
今まで赴任した国でその国を楽しむことで、仕事もうまく動き出すと考えてきたので、ノートにはできるだけ"日本人的感覚でもよいから"アイデアをたくさん書き留める。
熱帯雨林のナイジェリアでも、砂漠の真ん中の超乾燥のサウジアラビアでも、山岳地帯のネパールでも、滞在を楽しんでこそ、良い仕事ができるとしていた。特にサウジアラビアでの砂漠の楽しみ方は、当時の私のアイデアノートに満載である。
砂漠は真夏でも夕方からは、気温が下がり、本当に気持ちのよい夜になる。毎週のように、週末になると砂漠に出かけていた。
専用の大きなカーペットを車の上にくくりつけて砂漠に出かけた。カーペットの厚さが小石のゴツゴツを消す。周りに何もない砂漠(といっても堅い地面の土漠だが)、そこで単純にバーベキュー、人工衛星の動いているのが肉眼で見える輝く星空鑑賞、化石ひろい、サソリ狩り、大トカゲ追いかけ、羊丸一頭のカプサタンサウジーアの料理を食べる食事会、砂漠のバラ、肝ためし、天体望遠鏡観測、花火、ベドウィンテントに宿泊、謎の大穴、砂漠の植物観察など、様々な楽しみ方があった。
海外のどんな国に新しく生活する場合でも、滞在には様々なエピソードを体験するだろうし、それらのエピソードをエッセイ風にしておくことも可能だ。
私の趣味はエッセイを書くことだったから、海外での滞在中は、週末になるとパソコンでエッセイを書いていた。
私の場合は、エッセイを書く時には、エッセイのタイトルを、ノートに発想扱いして書きためていた。書きためたタイトルを見れば、エッセイの内容(私はエッセイのシナリオと呼んでいる)が分かるようになっていた。エッセイを書くときには、その場で思いついた内容でどんどん書くこともあったが、多くの場合、すでに思いついて書き留めていたエッセイのネタ・タイトルでどんどん書き始めていた。
留学でも仕事でも、海外に何年か滞在するなら、その体験記を本にすることを念頭において、エッセイを書いてもよいと思う。同じ日本人であっても、すべての人は、海外で異なった体験をすると思う。それらのエッセイのタイトルをノートに集めよう。 いつも何かおもしろいことはないかという感覚で見ていると、海外生活は、非常に楽しくなり、学ぶことが多く、深くなる。
海外生活者が体験するのは、「お土産は到着したときに買っておこう」というのがある。初めて滞在する海外の国に生活を始めたころ、マーケットで、「あっ、これは珍しい」と思うものがたくさん見つかる。その時に、「まだ長く滞在するからいいや」と思っていると、だんだんそれらの珍しいという感覚が慣れてしまって、買う気持ちが失せてしまうというものだ。
そして数年後に帰国した後で、それらの買わなかった土産を懐かしく思い出すという現象だ。
これとまったく同じなのが、海外生活が始まった直後の、珍しく感じる体験だ。海外では、初期に珍しいと思った体験をどんどんノートやパソコンに書いておくことだ。