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IDEOのブレスト その4 「Be Visual」
»2010年4月28日
力重の「ブレインストーミング考」
IDEOのブレスト その4 「Be Visual」
アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。
当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
IDEOのブレスト、独自ルールが3つある、と申しましたが
本記事が、その3つ目です。
Be Visual
(ビジュアルにしよう)
簡単言いますと、
"アイデアを、絵とか形とか、ビジュアルなもので示そう"
というものです。
この辺は、プロダクトデザイン(※)の会社であるIDEOの
特徴的ルールであって、一般のブレストに必ずしも当てはまる
わけではないかも知れません。
※プロダクトデザインの会社、と言いましたが、IDEOはもののデザインばかりじゃありません。
サービスや体験をデザインすることもあります。
たとえば、Bank of Americaのカードのユーザを増やしたい、という要望に対して
彼らのしたことは実に鮮やか。
このワークでは、彼らのした仕事は、カードの物体的なデザインじゃないんですね。
ユーザがとっても喜ぶことを彼らは発見してサービスとしてデザインしました。
英語ですがIDEOのサイト⇒ http://www.ideo.com/work/featured/bofa
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ブレスト的には、あっさりとした解説はここまでなのですが、
IDEOをめぐる情報の中にはいくつか関連した情報で
面白いものがありますので、続けます。
IDEOの会議室にいくと、巨大なホワイトボード、
スケッチブックやカラフルなペン(それに、カラフルなマーブルチョコも)
たくさんあり、その場で、絵を描いて示す行為が非常にしやすくなっています。
本(発想する会社)の中では、ブレストの時の机の上に、
モールのようなものがあって、それをねじって形をつくっているシーンもあります。
そのワイヤーにスポンジをカバーしたような道具はとても
仮の形を示すのによさそうなものでした。
筆者は昔から、これは、なんだろう。とおもっていて、
IDEOの方にこれはなに?と聞きました。
彼は、「この写真はずいぶん古い。今はこのモールの
ようなものは見ないな。何なのか分からない」とのことでした。残念。
・・・
また、その即興の図示だけではなく、
アイデアをビジュアルにすることを彼らはとても重視して
仕事をしていることが分かりました。
社内を内覧させて貰ったときに見せてもらった「医療用の治療器具のモデル」
これは、IDEOの本にもでてきますが、実物は本当に簡単なつくりでした。
フィルムケース、ペン、ビニールテープ、洗濯バサミ。
それでも、形を示すことがとてもよい効果を発揮した、とされています。
また、ある種のハイテク製品の場合は、それを身につけたユーザの早朝の様子が
ビデオでつくられていました。
(今思えば、アレが今のこれか、と思うのですが、いえないのが歯がゆい・・・)
そのビデオの各シーンは、製品の機能とコンセプトをビデオ映像の上で
再現していました。
道具がまだ世の中に存在していなくても、
十分にその新しいコンセプトを、魅力的に表現しているものでした。
あるいは、キッズ用のおもちゃのビデオでは、
現実なったらこれは楽しい(しかし、多分、技術的には可能)なコンセプトが
示されていました。
・・・
ビジュアルで示す、といっても、ここまでくれば、
かけるコストと可視化の効果の見合い、となるので
おいそれとは、人材、部材は投入できないでしょうけれども
そこに通じる第一歩として、ブレストの会議室に
「コンパクトなスケッチブックとカラフルなペン常備しておく」ぐらいは、
あってもいいでしょう。
(関連情報 = 本連載の「ブレストの発展形【その2】カード・ブレインストーミング)
筆者のチームは、クライアントの業種に特化したブレストの道具を、ときどき、作ります。
そういう打ち合わせの時には、極力、クライアントの会議室に、手ごろなスケッチブックと
プロッキーを束ねて持参しています。
アイデアを出してもらうときに、小ぶりのスケッチブックに
書いてもらい、文字だけでも、絵でもいいですよ、ということで
話していると、そのうち絵で示す人が出てきます。
言葉で言うのはかなり難しいけれど、絵で示せばすぐ、という物事も
結構あります。特に構造物のようなものを議論するとき。
ぜひ、そんなあたりも試してみてください。
・・・
なお、技術開発の分野の発想を引き出すツールとして
「TRIZ」「USIT」がありますが、この発想の場において、
概念をビジュアルで示すことは、非常に良い効果があります。
筆者は、USITのトレーニングを受けたことがあります。
(※筆者は発想技術のトレーニングを、よく受けに行きます。自腹は痛いですが・・・)
その中で、改良の案をだすまえに、さまざまな単純な絵を描くことを推奨されます。
私のチームは、ある種の文具の改良にとりくんだのですが、
刃先が紙に当たるその部分を、非常に大きく拡大して書きなさい、という
ワークがありました。
「えー、そんなの、書いたって新しいことなんか無いでしょ。こんな単純な構造の道具・・・」
とおもったのもつかの間、実際に書き出してみると、書くだけでかなりいろんな分析が進みます。
「あ、なるほど、紙を切るというのは、こういうプロセスなのか。」
「そうか、触れている位置は実は非対称だな」などなど。
アイデアはコトバで出現させれば、「早い」です。、
でも、文字にしたり、絵にしたりすると、より具体化した状態になります。
この「時間がかかるけど、具体性があがる」というのが、Be Visualの根底にある(と筆者は思います)。
具体的に考えよ。
この言葉は、ビジネス書でも、よく聞きますが、それは
アイデアワークで言えば、
「紙に書け」ということであり、さらには「絵で描け」ということだ、
とおもいます。
具体的に分析することは、具体的なアイデア、を生成しやすい。
これは一つの事実ではあります。
今回も長くなりましたが、コツ、としてまとめて終わりたいと思います。
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今日のブレスト・コツ
アイデアを、ビジュアルで示そう。
会議室には、「スケッチブック」と「太いペン」を、椅子の数だけ、常備しよう
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前にも書きましたが、
100円ショップで結構立派なスケッチブックが手に入ります。
8人の会議室なら、
スケッチブック105円×8
ペン105円×8
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合計 1680円
ぐらいで、ぐっとアイデアフルになります。
ちなみに、ですが、ポストイットのかわりに、これを張り出す、と
アイデア会議の温度はぐっと盛り上がります。
そのためには、メンディングテープ(きれいにはがせるテープ、300円ぐらい)も
もっておいて、出してもらったそばから、貼る。
壁一面が埋め尽くされるまで、大体、40枚前後(15分ぐらい)です。
それからペンは、細いものは避けてください。
細い線は、認知のための労力をわずかですが必要とします。ぜひ太いペンを。